文芸広報:2000年12月分


目次



文芸広報:2000年12月分


文芸広報:2000年12月01日号

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> creative impulseは、創作家を応援します!
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 情報の山の中に埋もれた創作文芸物を発掘し、読むことを楽しみたい人々へ
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 創作小説、イラストストーリー、小説を書くうえでの論考、ネットワーク利
用の共同創作、詩などを取り扱っていきます。


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いー・あーるの他愛の無い話:連打


 だだだだだだだだだだだだだだだだ

 連打。
 打ちつける行為が、撃ちつける音を形作る。

 だだのだだ
 だだいずむといえばそれは一つのイメージを伴う言葉になる。
 けれども『だ』の、連打するおとでそれが終始するならば
 それはそこまで昇華されたものとしてではなく、
  ただ撃ちつけ、叩き付ける音として終始する。

 だだだだだだだだだだだだだだだだだだだだだ

 連打。
 釘づけ、叩きつけ、それを連続して息もつかずに行なう擬音。

 擬音。
 しかしそれはたしかにこの一瞬、形となって。


 ふっと。
 それを取り出して、眺める。

 だだ、だだ。

 叩き付ける、己の姿ごと眺める。

 ただ、ただ。


 ……他愛の無い話である。



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 に書き込むか、 sf@cre.ne.jp へとメールで紹介するページのURLとタイト
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 今回掲載されたかたでも、個別の作品についてや更新情報などを再度登録し
た場合にも、ちゃんと告知させていただきます。最初はページ全体の告知で良
いわけですが、新着小説ができるたびに告知していっていただけますと読み手
にも書き手にも便利だと思われまから。
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いませ。

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 私ども遊房グループでは、小説塾、仕事塾、演劇塾の3つを、大きな柱とし
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 とりわけ小説塾は、全国にプロ作家を配し、バックボーンに主にテレビ、映
画、舞台といった、集客可能な興行を決定付ける、原作、原案を創作する集団、
原作工房によって発足。この10年の間に、多くの新人作家を世に送り出してき
ました。
 とりわけユニークなのは、小説ではなくストーリーそのものを構築するため
のノウハウを、徹底指導することで、確実に売れる小説が書けるようにしてい
ることです。
 よく、私は純文学しか認めないなどというかたもいますが、純文学や大衆文
学、時代小説や童話といったジャンルというのは、絵画の世界でいうところの、
油絵や水彩画、鉛筆画といった、技法であり、これから小説を学んでいこうと
いう駆け出しのみなさんが、本来学ぶべきことは、そうした技法でなく、被写
体をどうとらえるか。を知ることなんですね。この絵画でいう被写体が、小説
ではストーリーなのです。ストーリーを知れば、小説は書けます。この理論で、
私たちは多くの有望新人を育ててきたわけです。
 塾では最低が公募二次審査突破です。ほかでどうしようもなかったみなさん。
確実に実力アップが計れる、小説塾「遊房」で公募最終ノミネートまで、駆け
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 遊房小説奨励賞というものも募集中です。
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法論の検討の場をもうけ、インターネット上における文章技術、とくに創作小
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	http://www.cre.jp/ML/bun/
 に案内文や規約・ログがおいてあります。
 bun-ctl@cre.ne.jp にたいして
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語り部総本部作品告知

 ** 一行からできる創作、試してみませんか? **
	http://kataribe.com/
	語り部総本部
 TRPGをコアにした創作コミュニティ"語り部"では、各種のおはなしを量産し
ております。そのうちのおもだった新規登録作品の告知を、
	http://www.mahoroba.ne.jp/~furutani/kataribe/KATA_NEW.html
	語り部関連ページ新着情報
 より、こちらにも掲載します。


	http://kataribe.com/HA/06/P/E/HAP06E45.HTM
	狭間06エピソード1445『ドリアン』 / 球形弐型
 とある日曜日。
 光が、『果物の王様』と呼ばれるドリアンを買ってきて、みんなで食べよう
としました。
 さて、そのお味は……?

 伊佐見家の日常エピソード。
 ドリアンの臭気に恐怖する描写です。



銅大の読書万歳:M.G.H.

作品名:『M.G.H. 楽園の鏡像』
著者名:三雲岳斗
出版社:徳間書店
ISBN :4-19-861194-7

 本作品は、第一回日本SF新人賞受賞作である。
 といっても、作者は無名の新人というわけではなく、電撃文庫などでも本を
出している有力若手作家の一人である。つまり、ちゃんとご飯を食べている作
家さんなのだ。

 で、内容であるが本格SFミステリーと折り返しにあるように、推理小説でも
ある。
 推理小説であるからには人が死ぬ事件が起こる。
 どうも墜落死みたい。
 ……これだけではどこがSFかということになるのだが、あわててはいけない。
舞台設定が素晴らしい。なんといっても、場所は宇宙ステーション。
 そこの無重力区画での“墜落死”である!
 いったいどうやるんだこのやろう、てなもんである。

 三雲さんは他にも『海底密室』とかの推理小説 (こちらは深海の実験施設で
人が死ぬ) を書かれている。SFとミステリ、というかSFの周辺でうろうろして
いる読者さんをSFの道に引きずり込む作品を書かれている。まるでブラックホー
ルのような作家さんだ。

 が、しかし。

 推理小説として見た場合、私の好み(『黒後家蜘蛛の会』でお話したとおり)
からは大きくはずれるので、私としては本書をSFとして、冒頭の墜落死事件の
トリックを読み解く作品としてのみ評価させていただく。

 というか。

 『新本格』と名付けられた推理小説系では軒並み言えることかもしれないが、
犯人の動機とか行動の合理性についてうんぬんしだすと、どうにも「それはな
いだろ」としか言いようがなくなってしまうので。

 では「SFには興味ないもーん」という人には全然、この本を読む動機がない
かというと、そんなことはない。
 探偵役である主人公の従妹が、ワトソン役として、あるいは押し掛け女房役
として、話を動かすエンジンとなり清涼剤となっている。
 SFとか推理小説とかで客を引きずりこめなくとも、ラブラブな部分で読ませ
る。いや、さすが職人芸。

 賞をもらうだけでなく、ご飯を食べる作家というのはひと味違うものなのだ。


銅大(あかがね・だい):週末ライター     mailto:akagane@mb.infoweb.ne.jp
著者ページ: 銅大のRPGてんやわんや    http://www.trpg.net/user/akagane/



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	http://www.trpg.net/talk/IRC/
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文芸創作な一言:文脈に依存する名言

 気楽な問題提起や雑感、ノウハウなどを書いていく、コラムです。

 つらつらと鑑賞していて。奥の細道の俳句を単独で見ても、良さは見いだし
にくいよなあ。などと思いまして。それに限らず、詩のようなものは文脈に依
存しているんですよね。そして、作者の環境、そして時代環境にも依存してお
り。理解するためにはそういう"大きな意味での文脈"を把握していないと、不
完全なものになったりするわけです。
 このような文脈への依存性は、削り込まれた表現一般によくあることで。良
い台詞や描写も同様であると言えるんですよね。書いた当人は名セリフだと思っ
たり、名セリフを見つけて入れたつもりだったりしても。読み手には伝わって
いないような文章は、よくあることですし。

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奥付

 ご意見・ご感想は、 sf@cre.ne.jp への電子メールにてよろしくお願いしま
す。たんにこのメールにたいして返信するだけで、感想などを書くことが可能
です。
 なお、当メールマガジンの内容は出典を明記すれば、引用は当然自由ですの
でご活用いただければ幸いです。

創刊: 1997年07月15日 発行間隔: 毎週火金曜日予定  X-Mag2Id: 0000000405
前回の発行部数: 553部+melma!版30部
情報源とログ: 文芸広報    <URL:http://www.cre.jp/writing/maga/BK/>
【まぐまぐ版】                                   X-Mag2Id: 0000000405
登録・解除・バックナンバー <URL:http://www.mag2.com/m/0000000405.htm>
【melma! 版]                  X-MagazineID: melma.com magazine 25020
登録・解除・LOG   http://www.melma.com/mag/20/m00025020/index_bn.html
企画・制作: 電網工房・匠 (sfこと古谷俊一) <URL:http://www.koubou.com>
発行者連絡先: sfこと古谷俊一<URL:mailto:sf@cre.ne.jp> ICQUIN: 6549565
配送: インターネットの本屋さん『まぐまぐ』 <URL:http://www.mag2.com/>
文書フォーマット: setext 準拠 <URL:http://www.age.ne.jp/x/sf/SETEXT/>



文芸広報:2000年12月05日号

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> ****** どうぞ、私の書斎へ ******
> 子供の心を忘れていない貴方に捧げる大人の童話『昼の流れ星』シリーズ、
> 驚愕の犯人当て『臭い密室の問題』、SFミステリ『静止したエデン』、
> 詩集『風の行方』、JavaScript版クロスワードなど多彩な創作ページです。
> ****** http://www.sf.airnet.ne.jp/tsuki/ 月田家のホームページ ******
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ちょっと一言

 前回のメールマガジンのまぐまぐ版において、一部のかたに。「文芸創作な
一言:文脈に依存する名言」のとに丸数字の13が大量に入るという怪現象が発
生していたようです。発生したというかたがおられましたら、ご連絡いただけ
ればさいわいです。まぐまぐに調べてもらいますので。



いー・あーるの他愛の無い話:手

 世界にて。
 世界に向けて。

 広げる手。
 広がる手。

「それが善意に満ちた手ならば」

 どうだかね。

「それが善意に満ちた手ならば」

 ふと、続きを知りたくなって、見上げる。
 見上げる。
 目に。

「その掌は……開いているよ」

 それだけが証拠?

「さあねえ」

 世界に。
 世界に向けて広がる手。
 広げる手。


 一度だけ自分の手を見た。
 一度、ぐっと握って見た。

 ……善意だなんて、けったくそ悪くって言えたもんじゃないやねえ。

「それが善意に満ちた手ならば」

 不意にその繰り返しが、
 軽くなった。


 それで…………

 あたしは一つ笑って、歩いて行くことにした。


 ……他愛の無い話である。



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	http://www5b.biglobe.ne.jp/~kiku-ta/
	菊太郎わーるど / 菊太郎
 「WORLD」の第二話を載せました。読んでください。
 月読さんの作品は十二月中に載せたいと思います。

 ** sfより **
 異世界ファンタジー風の話です。急展開への繋ぎ……かなぁ。
 繋ぎのシーンは、それだけで情景そのものが楽しめるものにできると、ほん
ととうは良いんでしょうね。筆力が必要でしょうけど。


	http://www.cre.jp/user/ER/
	いー・あーるのホームページ / E.R
 迷いと、居直りと。
 まだ様々に腕に抱えながら。

 真帆の領域に、「孤独なる夜の為に」を更新しつつあります。
 欠けてゆく月になぞらえつつ。

 宜しければ、どうぞ。

 ** sfより **
 16夜の月より新月まで。一日一日にあわせた話を掲載しています。
 何事もないように見える、ふつうの日々も。うまくやればこのように、なに
かが伝わって来るようなものにできるんですね。



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銅大の読書万歳:ハイペリオン

作品名:『ハイペリオン』
著者名:ダン・シモンズ
出版社:ハヤカワ文庫SF/早川書房
ISBN:4-15-01333-5
    :4-15-01334-3

 実にスケールの大きな本である。
 それに合わせて本の分厚さも、また並ではない。ハードカバー2段組みで、
524ページである。(なお、ISBNは文庫のやつである)
 以前、寝ていると地震で本が崩れてきて『ローマ人の物語IX』が顔面を直撃
する騒ぎがあったが、この本も凶器としては十分すぎるくらいのスケールであ
る。
 これだけ長いと、読者が途中でだれてリタイアする危険がありそうなものだ
が、そのあたりもしっかり考えてある。

 本作品はの舞台は、銀河宇宙に人類が進出している遙かなる未来。そして7
人の男女が、それぞれ目的を持って惑星ハイペリオンという場所へ巡礼の旅に
出るという導入を取っている。惑星ハイペリオンには、時空間と関連した謎の
遺跡〈時間の墓標〉があり、その周囲では無敵の殺人鬼、シュライクが暴れ回
っている。この2つだけでもやっかいなのに、〈時間の墓標〉に動きがあり、
それに合わせて宇宙の蛮族アウスターが大規模な侵攻をかけてきている。
 加えて、7人の巡礼の1人は、アウスターのスパイだというのだ

 とまあ、こんなやっかいなシチュエーションで読者の気を引くまでが導入の
30ページまで。これぐらいならよほど飽きっぽい読者でないかぎり話に引き込
まれてくれるだろう。

 そして、そこからが本作品の真骨頂である。

 7人の巡礼者の一人一人に、なぜこの巡礼の旅に出たのかという物語を語ら
せるのである。いわば、1つの作品の中に7つの短い作品を入れ子にしている
わけだ。

・司祭の物語:神の名を叫んだ男

・兵士の物語:戦場の恋人

・詩人の物語:『ハイペリオンの歌』

・学者の物語:忘却の川の水は苦く

・探偵の物語:ロング・グッパイ

・領事の物語:思い出のシリ

 そして、これらそれぞれの物語は“まったく”毛色の違う物語となっている。
 このあたりも、読者を飽きさせないテクニックであろう。

・司祭の物語:神の名を叫んだ男
 この物語は、日記を読み解く型式の、典型的なホラー・タッチになっている。
ここで登場する謎の十字架は、本作品の完結編である『ハイペリオンの没落』で
も重要なキー・アイテムである。

・兵士の物語:戦場の恋人
 謎めいたラブロマンスを絡めたミリタリー・アクション物である。
 巡礼たちの中でただ一人、完全武装のカッサード大佐の物語だが、巡礼者とし
てはかなりまともな部類。

・詩人の物語:『ハイペリオンの歌』
 この物語は、失われた地球生まれの老詩人の奇妙奇天烈な人生から、世界の巨
大さとシュライクの不条理さを描いている。ちなみに私が一番好きなのが、この
口が悪くどこか憎めない老詩人のマーティン・サイリーナスである。

・学者の物語:忘却の川の水は苦く
 ある日突然、時が逆さまに流れ始め、1日ごとに若返り、そして記憶も失って
いくという呪いにも似た現象に巻き込まれた少女と、その父親の物語。泣かせの
演出入りまくりである。

・探偵の物語:ロング・グッパイ
 ハードボイルド風の物語。本作品のバックボーンとも言うべきAI同士の抗争が
描かれていて、一風変わった物語になっている。ちゃんとラブロマンスも入って
いて、これが後々、きわめて重要な役割を果たす。

・領事の物語:思い出のシリ
 空間と時間を超えて旅する宇宙船乗りと、その宇宙船乗りが恋した少女の物語。
 出会う度に少女は成長し、やがて年老いていく。このあたりの演出は他のSFで
もよく見られるが、情感を盛り上げてうまい。

 全員の物語が語られ、巡礼たちの旅も終わりへと近づく。
 そして、彼らは古い古い歌――あなたもおそらく知っている歌だ――を歌いな
がら谷底へ、〈時間の墓標〉へと向かうのである。

 それから先の物語、『ハイペリオンの没落』については、またこの読書万歳で
書く機会があるだろう。


銅大(あかがね・だい):週末ライター     mailto:akagane@mb.infoweb.ne.jp
著者ページ: 銅大のRPGてんやわんや    http://www.trpg.net/user/akagane/

 ** sfより **
 悔しいくらいの傑作。なんか六本分小説を読んだような充実感です。



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文芸創作な一言:ストーリーからプロットへ

 気楽な問題提起や雑感、ノウハウなどを書いていく、コラムです。

 事件を時系列的に整理した流れ(ストーリー)と、プロットとは。現代の小説
では、違うんでよすね。
 ストーリーを分解して再構成して、不要部分は削り重要部分との緩急をつけ
て。理解や感情移入やテーマの表現のために、そして狙いを実現するために、
組み立てなおしたものがプロットであると。そういう分類法があります。
 昔話などでは、ストーリーとプロットがほぼ同等なんですけど、現代小説で
は、別にすることができるんです。
 簡単な例をあげてみましょうか。馬鹿正直に、生まれたところから鬼退治ま
で時間を追ってストーリーを語らないで。たとえば鬼の襲撃とそれによる惨劇
のシーンからはいって。それにより鬼を退治する動機づけ・必然性を強調し、
読者に納得させるという狙いでプロットを組むことができるわけです。
 まずストーリーを思い付いたら、次はそれをどう組みなおせば効果的か考え
て、いくつかプロット案を考えてみるというのも、有用だと思います。

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> にて開催中です。                            ** 毎日何話も進行中!! **
> --------------------------------------------------------------------

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文芸広報:2000年12月08日号

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ちょっと一言

 オンライン書店は雑誌に弱いのが問題ですね。ほとんど外出しないもんだか
ら、雑誌の買いそこねが恐い。SFマガジンとか、しかたないのでハヤカワオン
ラインで買いそこねた分を入手しましたけど。



いー・あーるの他愛の無い話:珈琲一杯


 珈琲をブラックのまま飲んだ。

 飲み干す前に、ちょっと中身を覗いた。
 中に、星が散っていた。

 ぐるりと回すと、丁度銀河のように、綺麗な腕を作った。

 眺めていると、星がゆっくりとカップの底に沈んで行ったので
 そのまんま、珈琲を飲み干した。


 ……他愛の無い話である。



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	Antique Library / 軍光一
 わたしは、火を地上に投じるためにきたのだ。火が既に燃えていたらならと、
わたしはどんなに願っていることか。
 しかし、わたしには受けなければならないパプテマスがある。そして、それ
を受けてしまうまでは、わたしはどんなにか苦しい思いをすることであろう。
 あなたがたは、わたしが地上に平和をもたらすためにきたと思っているのか。
あなた方に言っておく、そうではない。むしろ分裂である。
 今から後は、一家のうちで五人が相分かれて、三人は二人に、二人は三人に
相対し、また父は子に、子は父に、母は娘に、娘は母に、姑は嫁に、嫁は姑に
対立することだろう。
                             Luka 12 49-53
 天使戦争三作目。1999年エルサレムです。


 ** sfより **
 告知の引用はルカによる福音書ですか。
 ちょっとわかりにくいですが、天使戦争関連はCreationの一番下にあります
ね。断章をそのまま本編になった模様。
 いつのまにか、あとがきがつくようになりましたね。あとがきを見てから、
狙いが上手くいっているのか、まずいならどの部分か、どう改善できるか、な
どと考えてみるのもいいかも知れません。
 しかしこう、調査して書いてるってのは、えらいよね。Webでは珍しいかも。


	http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Kaede/3163/zaimoku.html
	「材木置き場」 / eika
 神話と歴史と言葉のサイト「オーディンの森」にある材木置き場☆
 散らばる言葉の木片をあれこれつけてあばらやを素人よろしく作ってみまし
た(^^)
 行間に漂う奇妙な感じがお気に召せば幸いです☆

 ** sfより **
 「海の底の物語」が私的にはお薦めかな。こなれていないんだけど、これは
特に、それが味になっているかな。
 「0の男」も、文体と登場人物の相性がよいような気がします。ちと入りに
くいですが、読み出すとしっくり感じてしまう。イトウくんがいい味出してま
す。



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銅大の読書万歳:ブギーポップ・デュアル

作品名:『ブギーポップ・デュアル』1〜2巻
著者名:原案/上遠野浩平 作画/高野真之
出版社:電撃コミックス/メディアワークス
ISBN:4-8402-1526-X
    :4-8402-1705-X

 若手有望株の秋山瑞人さんと三雲岳斗さん、賀東昭二さんを紹介しておいて、
この人を紹介しないわけにはいきますまい。
 なにせ、売上は一番高そうだし。
 てなわけで、上遠野浩平のブギーポップ・シリーズの出番である。
 つーか、その中でもかなり異色作。コミックになったブギーポップである。

 別に、これは私がイロモノが好きだからというわけではなく。
 小説も含めた全てのブギーポップ・シリーズ中、一番面白いのが本作品だと
心から思うからである。ちなみに私の中での二番目はシリーズ第一作の『ブギ
ーポップは笑わない』である。

 これまでこの読書万歳で紹介してきた若手作家の秋山瑞人さん、三雲岳斗さ
ん、賀東昭二さんはいずれも職人肌の作家さんである。良い意味では安定して
いるし、悪い意味では先が読める。小説っていうのは、シェークスピアの時代
から比べても、それほどバリエーションが豊富になったわけではないのだ。
 ナニ? シェークスピアは劇作家だから小説ではなく戯曲だと?
 ええい、揚げ足を取るでない。

 だが、刺激に飢えた現代人はそれだけでは満足してくれない。
 かといって、入念な調査と凝ったプロットで大作を書くのは、名の売れたベ
テラン作家でないとできはしない。
 現代は何事もスピードと消費の時代なのだ。小説と作家もまたしかり。

 ここで登場するテクニックが『はったり』である。
 とりあえず、理屈よりも演出効果。
 忘れられるくらいなら相手の心を傷つけてでも記憶に刻め。

 しかし、それだけでは私の好みからはちとはずれる。やはり広げた風呂敷は
閉じてナンボである。
 ……話はまったく変わるが、『知性化戦争』のシリーズは大丈夫でしょうな?
デイビィッド・ブリン先生?

 閑話休題。

 この『ブギーポップ・デュアル』はとある学園で発生した連続する謎の事件
を扱っている。人類の運命がどーのとか、宇宙の謎がこーのとかという展開で
はまったくない。で、ナニが起こるかというと。

 “世界の敵”が現れるのだ。

 これこそが『はったり』のポイントである。コソボやカシミール、パレスチ
ナのような、そうでなくても暴力沙汰が発生する場所ではなく、本来は世界で
も最も平和な場所の一つであるはずの、現代の日本の学園でこともあろうに、
“世界の敵”である。
 『はったり』とはこうでなくてはいけない。

 そして、それに対抗して登場するのが、人の心の中から浮かび上がってくる
“不気味な泡(ブギーポップ)”。

 正体不明な“世界の敵”。

 そして、正体は明らかなのだがこちらも謎に包まれた“ブギーポップ”。

 現代日本の学園という、読者にとってリアルすぎるほどにリアルな場所で行
われる不条理な両者の闘い。

 だが、それは10年前にも行われた闘いでもあったのだ――

 そしてその結末は――

 読んでみてのお楽しみ。


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 書かれないことで妄想……といって悪ければ想像を誘うというのは、上手く
使えば有用な手です。特に好きになって欲しい人物とか、ものすごい存在とか
なんかを書くときには便利。
 乱用しないようにする必要はありますが、特にライトノベルなんかで、意図
的に病者を薄っぺらにして、読者の想像を刺激するようなものをちりばめると
いうのは。けっこう効果的ですね。
 記号化された容姿……たとえばメガネだとかメイド服だとかってのは、良く
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ちょっと一言

 色々とやってみたいことはあるのだが。金がないと時間も人も器材も回んな
いんですよね。金回り重要。
 しかしまあ、そろそろ月に数万くらいでなんか協力できる人を探してみるの
も手なのかも知れない。何をさせるか、何ができるかが問題だけど。



いー・あーるの他愛の無い話:硝子瓶の中の宇宙


 広口の硝子瓶の中に、宇宙が入っていた。
 コルクの栓が、ぴっちりとはまっていた。
 
 硝子瓶の中で、小さな銀河と球状星団が、
 ころころ、ころころと互いにまわりながら動いていた。

 あんまり嬉しかったから、手に乗せて歩いた。
 手の上で、小さな小さな光が幾億も、ころころ、ころころとまわりながら動いた。

 でも、なんだかちょっと窮屈そうだったので、コルクの栓を開いた。
 宇宙は、ちょっと口のところで躊躇うようにしてから、ふわん、と外に広がっていった。

 
 気がつくと、一面星空で。
 どちらが瓶の宇宙で、どちらがもともとの宇宙かわからなかったけど。

 なんだか嬉しくなって。
 空っぽの瓶抱えて、跳ねて帰った。



 ……他愛の無い話である。



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 徒然なるままに酒を呑み、言葉を散らかす。
 そんな風にして書いた短編や詩文をのせております。

 まだまだ数も質もすくないですが、お暇でしたら、どうぞ。

 ** sfより **
 verses.が、けっこう意味深で好みかな。
 「淡夜」が、奇妙な味で、ほんとうあるようでないような、微妙なとこが味
わい深く感じました。導入がちょっとひっかかるけど、ある程度読み進めると
するする行きますね。もう少しカットバック入っていても面白いかもしれませ
んね。


	http://www.cre.jp/user/ER/
	いー・あーるのホームページ / E.R
 「酒」そして「酒と携帯」。
 ……そして、ある遠い国の風景。

 『真帆の領域』より、
 「今宵玻璃杯に月受けて」「振り出しに戻る」を更新しました。

 尚、HPを再構築致しました。
 ……大して親切になってませんが。

 宜しければ、どうぞ。

 ** sfより **
 ちなみに真帆の領域は、トップからは無明長夜の中にあります。
 irc.trpg.net の #もの書き のテーマ競作「酒」関係だったかな。
 ごくふつうの日常のなかの、普通なら見逃してしまいがちな思いを。形にし
てしまえるのはあいかわらずのですね。



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銅大の読書万歳:くまのプーさん

作品名:『くまのプーさん』『プー横丁にたった家』
著者名:A.A.ミルン
出版社:岩波書店
ISBN:4-00-114008-X
    :4-00-114009-8

 ここに一冊の本がある。
 ぼろぼろの本だ。表紙はなくなり、綴じははずれ、紙は黄ばんであちこち破
れている。
 何しろ、30年以上も昔の本だ。

 本のタイトルは『くまのプーさん プー横丁にたった家』。

 私にとって、最初の本だ。

 この本は、語り手が息子であるクリストファー・ロビンに、お話を聞かせて
あげるという型式で書かれている。クリストファー・ロビンのお気に入りであ
るぬいぐるみのくまのプーさんが“本当に”存在する森を、その仲間たちを、
彼らの暮らしの中で発生したちょっとした事件を、語り手である父親はおっと
りとした独特の口調で優しく話しかけてくれる。

 ようするに、この物語は元々は子供に“読んで聞かせる”お話なのである。

 そして私は30数年前。まだひらがなもロクに読めない時分から、母にこの物
語を読んでもらって育った。母は、私と妹にこの物語を聞かせる時に、一部だ
け修正を加えた。
 この物語の中では、クリストファー・ロビンもまた、プーの住む森に友人と
して登場するのだが、文中で『クリストファー・ロビン』とある部分を、私と
妹の名前に置き換えて読んだのだ。
 だから私と妹は何の不思議も感じることなく、プーと一緒に不思議な森で暮
らした。ちょっと臆病なコブタとも仲良しだったし、気むずかしいイーヨーに
も愛情を感じていた。ウサギも、その親戚一同も、ルーも、トラーも、私と妹
の友達だった。

 プーがあれこれと引き起こす失敗の数々も「しかたないなぁ」と感じて手伝
ってやった。それは物語の中でそうしたのではなく、本当にそんな事件があっ
て、それが物語になったのだと、私はそう信じていた。子供である私にとって、
現実と物語とは、それほどはっきりとした境界があるわけではなく、どちらも
『本当のこと』だったのだ。

 やがて私は大きくなり、自分でこの本を読めるようになった。作品に登場す
るのが私と妹ではなく、『クリストファー・ロビン』という別の人間であるこ
とも知った。

 だが、だからといって私にとってくまのプーさんが違う世界の住人、物語の
中の、虚構の住人になってしまったわけではない。
 私の心の中の一部には、今でも自分と妹が大きな樹の中に住んでいる森があっ
て、そこにはくまのプーさんがいて、大勢の友達が住んでいるのだ。

 さすがに、最近はいろいろと忙しくてそこに立ち寄る機会は少ない。
 仕事もあるし、刺激にあふれた楽しい事でこの世の中はいっぱいだから。
 それでも。
 私が立ち寄る事がなくとも。
 くまのプーさんとその仲間たちは、いつものように森の中でのんびりと暮ら
しているに違いない。

 それが分かっているだけで、私には十分なのだ。

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文芸創作な一言:書くべきものはありますか

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 ライターとして書くべきテーマ、書きたい題材というものを持っているとい
うのは強いですよね。
 興味を持ち、積極的に調べ、みずから進んでかける題材と。そうでない題材
とでは、どうしても効率もできぐあいも違ってきますから。

 それだけでなく。ライターとして身を立てたいのであれば。自分こそが書く
べきテーマなのだというテーマとか。需要のある・需要を掘り起こせるうえに、
得意である分野を持っているかしないと。辛いですよね。
 たんに文章がきちんと書ける程度の人間は、ごろごろしているわけですから。
 ライター稼業で食って行きたい、そう考えているなら。まずは、己を知るこ
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ちょっと一言

 しかしこう、全然外に出ない生活名和家ですけど。最後に人間と身体的接触
があったのは、いつだっけかと思うと。けっこう寒いものがありますね。



いー・あーるの他愛の無い話:飛猫


 どーも車のエンジンのかかりが悪かったので、ボンネットを開けた。
 留め金を鍵で引っかけて、引っ張って開いた途端、
 ぽぽんと猫が、一列になって飛び出してきた。
 猫の背中には、それぞれ真っ白な翼があった。
 ほけ、として見ていたら、最後の一匹が振り返って、莫迦にしたようににゃ
あと鳴いた。
 そしてそのまんま一列縦隊で、色の淡い空へと浮かび上がって行った。

 ふと気がついて、ボンネットを閉め、エンジンをかけた。
 いつものように、エンジンがかかったので、大慌てでブレーキを解除して仕
事場に向かった。


 ……他愛の無い話である。



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	小野哲也のHP  /  OTE
 ども。
 最近日記しか書いてませんでした小野です。CRE_RULEにレスつけなきゃいけ
ないのに、気がつけば詩を書いてました(爆)
 こんな逃避行動全開の奴ですが、良かったら見に来て下さい。

 ** sfより **
 最近は詩をいろいろと書いているようです。日記とあわせて読むと、いろい
ろと意味深。


	http://www.trpg.net/user/ko_iti/
	Antique Library /  軍光一
 人はそれを甘えというかもしれない。少なくとも大人のすることではない。
 でも、誰にも甘えないで生きていける人間もいないのかもしれない。
 クリエーターズネットワークテーマ作品『酒』
 苦手です。苦労しました。

 ** sfより **
 視点人物の情けなさかげんが、なんかいい味です。女のほうの横暴というか
なんというか、勝手気ままぶりもふくめて。



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銅大の読書万歳:世界戦史

作品名:『世界戦史 歴史を動かした7つの戦い』
著者名:有坂純
出版社:学研M文庫
ISBN:4-05-901023-5

 かつて、TACTICSという雑誌があった。
 ホビージャパンという、プラモデル雑誌なども出している出版社から出てい
たその本は、この国で一時期小さなブームにもなったウォー・ゲームの雑誌だっ
た。ウォー・ゲームの多くは史実を元に作られているから、歴史を知ることは
ゲームに勝利するためにも重要だった。そして同様に、ウォー・ゲームをプレ
イすることで、歴史が――少なくとも戦史が――なぜ、あのような展開をたどっ
たのか、知る一助になったのも事実である。

 そして、そこにある記事が連載されていた。

 『新書英雄伝』

 その記事には歴史への冷静な分析と共に熱い情熱が伝わってくる名文の数々
があった。
 その筆者こそ、今回紹介する有坂純さんである。

 この『世界戦史』は歴史群像という雑誌に掲載されてきた有坂さんの文章が
一つにまとめられている。
 扱われている題材は次の7つ。

 1カイロネイアの戦い
	新興マケドニア全ギリシアを制覇

 2イッソスの戦い
	アレクサンドロス大帝国を出現させた一大決戦

 3カンナエ殲滅戦
	ハンニバルが演出した包囲戦の金字塔

 4アレシアの戦い
	カエサル「ガリア戦記」最大にして最後の死闘!

 5匈奴遠征記
	衛青、霍去病、長途漠北を征す

 6漢中争奪戦
	三国鼎立を生んだ劉備会心の戦い

 7襄樊包囲戦
	南宋の死命を制したフビライの大戦略

 いずれの戦いも、有坂節としか言いようのない淡々とした、それでいてふつ
ふつと滾るものがある文章で見事に描かれている。

 たとえば、3のカンナエ殲滅戦においては、まず二重包囲戦の定義から始ま
る。これが成功すれば敵軍を殲滅することができるという運動戦の極致である
と。だが、同時にそれがいかに困難であるかをナポレオンのアウステルリッツ
の戦いを例にあげて説明する。さらに、それだけでは足りないかのように文章
はこう続く。

***********************************
 また、これも忘れてはならないのは、自分と同じように、敵にも時間と頭脳
が与えられているということである。自分が孫子を読んでいるのなら、敵も読
んでいるのである。戦場は、彼我双方にとって平等に流動的であり、不分明な
のである。
 彼我の兵力差が圧倒的であれば、文字通りの「包囲殲滅」が現実となる公算
が高まるとも考えられようが、しかしそのような場合には、劣勢な敵はみすみ
す負けと分かっている野戦を拒否してさっさと逃げ出すか、堅固な洋裁に拠る
か、それとも降伏してしまうであろう。
***********************************

 このように、焦らすだけ焦らしておいて有坂さんはさらにこう書く。

***********************************
 しかるにここに、二重包囲による殲滅がほぼ完璧に、理論通りに行われた一
つの例がある。それは歴史における二重包囲が試みられ達成された「最初の戦
例」であり、また同時に、規律も装備も士気も我と同等か上回るところの、ほ
ぼ二倍の兵力の敵に対して勝利を得た、まことに希有な戦いであった。ナポレ
オンでさえ、生涯において二倍の兵力差を覆したことはないのである。
***********************************

 ここまで。このぎりぎりのラインまで引っ張るのが有坂さんの文章の独特の
持ち味である。私など、全ての結末まで分かっていても身体が熱くなる。
 そして有坂さんは一気にばん、と手札をオープンにする。

***********************************
 破られた軍隊をローマ軍、破った指揮官をカルタゴのハンニバルという。時
は前216年8月2日。ところはイタリア南東のアプリア地方、アウフィドゥ
ス(現在のオファント)河畔のカンナエである。
***********************************

 かくして読者は、もう一気呵成に引きずられるまま、なぜこの戦いが始まっ
たのか、そもそもの戦争の原因となる衝突はなんだったのか、そして決戦にい
たるまでの歴史を旅することになる。

 これが1冊に7本もあるのである。
 私としては実にお買い得と言わざるをえない。


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築方法、その他の話題で盛りあがりました。



文芸創作な一言:自分の銀と文章の気分

 気楽な問題提起や雑感、ノウハウなどを書いていく、コラムです。

 暗い気分の時に暗いものを書くとか、能天気な時に能天気なものを書くとか。
まあ楽は楽なんで、書く習慣を身につけるためには便利なんですけど。
 他人が読んで理解できる、読む会のあるものを作る場合には。意図的に自分
の現在の感情からずらしいてみるというのも、良いのかも知れませんね。

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用の共同創作、詩などを取り扱っていきます。


ちょっと一言

 自費出版の文芸社による電子出版のサイトができましたね。
	http://www.boon-gate.com/
 T-Timeを利用した電子書籍を制作販売するようですね。だいじなのは、原稿
を募集して評価を行い、優秀作を出版するということ。自信のある作家の皆さ
んは、挑戦してみてはいかがでしょうか。印税は50パーセントだそうですよ。



いー・あーるの他愛の無い話:ひらがなの中の子供


「ん」という文字をノートに書いて、しばらく眺めていた。

 眺めていたら、ふっとそれが人の足先に見えた。
 踵から足を落とした足の形に似ていないか、と尋ねた。
 ハイヒール履いた足に見える、と返事があった。

 そうかな、裸足に見えるんだけどな、と、思いながら見ていたら、
ある人が眺めて、乳母車に見える、といった。
 乳母車の中の子供が見えるのだろうか、と、ふと思った。
 それは多分
 箱の中の羊を見た、視線に近いのだな、と。
 やはりふと思った。

 考えているうちに、ん、の字に何となく車が二つついて。
 からからからと音を立てながら、どこかに行ってしまった。

 あれ、と、思わず口をあけてしまったけど。
 見送るうちに、なんだかおかしくなって、
 笑いながらノートを畳んだ。

 遠くから、微かに笑い声がした。
 ひらがなの中の、子供の笑い声だろうか。


 ……他愛の無い話である。



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 今回掲載されたかたでも、個別の作品についてや更新情報などを再度登録し
た場合にも、ちゃんと告知させていただきます。最初はページ全体の告知で良
いわけですが、新着小説ができるたびに告知していっていただけますと読み手
にも書き手にも便利だと思われまから。
 ページ全体に関する宣伝を継続的に掲載したい場合には、順繰り載せる予定
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いませ。


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	菊太郎わーるど /  菊太郎
 「WORLD」 第一章 <孤高なる精霊使い> 第三話 がついに完成!!
 どうぞ読んでください。
 書きこみ掲示板もよろしく。

 ** sfより **
 いろいろと状況が不安定化して、主人公も不安を抱え込みつつある感じです
が。ここからどう動かすのかですね。



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 読みたくなる文章を書くための修行の場、読みたくなる文章を書くための方
法論の検討の場をもうけ、インターネット上における文章技術、とくに創作小
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	語り部総本部
 TRPGをコアにした創作コミュニティ"語り部"では、各種のおはなしを量産し
ております。そのうちのおもだった新規登録作品の告知を、
	http://www.mahoroba.ne.jp/~furutani/kataribe/KATA_NEW.html
	語り部関連ページ新着情報
 より、こちらにも掲載します。


 語り部総本部の語り部のコミュニティについての案内情報を大幅に増補しま
した。
	http://kataribe.com/about.html
	語り部って何だろう
 を増補。
	http://kataribe.com/community.shtml
	コミュニティとしての語り部
 を増補して改名。 
 以下に、主要な説明部分を抜粋します。

 現在の語り部総本部では、TRPGを基本においた共同創作環境を提供していま
す。ゲームシステムと世界設定により構築された架空の世界を舞台に、その架
空世界における事実――物語を、作成し共有していくという遊びを行います。
具体的には、お話しをかいたり、イラストを描いたり、セッションをしたり、
キャラクター会話で遊んでみたり、設定を作成したりするわけですね。
 共同で"架空の世界の事実"を作成していくことで。一人で作成するだけでは
得られない、意外性や深み、そして楽しみを味わうことができるわけです。そ
して、その手段として、PBeMなどのような固定的な企画運営方法だけではなく
色々な方法を利用できることが、語り部の強みです。

 語り部の創作コミュニティとしての活動は。語り部とその活動に関心のある
人間が集まる全人格的なコミュニティをベースにして。そのうえで多様な企画
を自主的に運営して、参加者自身の自助努力により楽しんでいく環境を提供す
るというスタイルを取っています。つまり、自主性が無いと楽しみにくいとい
うわけです。

 もともと語り部の遊び方は草の根BBS(パソコン通信の掲示板)で発祥しまし
たので、全人格的なコミュニティ性が強く。なにかを遊ぶために集まるという
よりも、語り部のルールや共同創作活動に関心のある人間が集まったうえで、
あつまった人間がいろいろな方法で遊ぶという傾向が、PBeMなどに比べて相対
的に強いようです。

 なお、参加するためには、とりあえず語り部メーリングリストに参加して自
己紹介を流し、語り部関連IRCチャンネルで「こんなことに関心があります」
「こんなことがやってみたいんですが」などと相談してみることなります。



銅大の読書万歳:簒奪者

作品名:『簒奪者』
著者名:岩井三四二
出版社:歴史群像新書
ISBN:4-05-401070-9

 戦国武将の一人、斎藤道三。
 いわゆる「蝮」の道三で、戦国の下克上を代表する大名の一人として知られ
ている。己が才覚で美濃一国を切り取り、織田信長の舅となり、最後は息子と
大喧嘩をやらかしてくたばるなど、なかなかに波乱に富んだ人生を送っている。
 で、この人物が若い頃は油売りをやっていたか……というと、どうやらそう
ではないらしい。

 じゃあ何をしていたか、というのをネタに書かれたのが今回紹介する『簒奪
者』である。主人公は長井新九郎規秀。若き日の斎藤道三その人である。

 ここで簡単に美濃の国の歴史を振り返る。
 そもそも、美濃の国を守護として治めていたのは土岐氏であった。美濃源氏
の流れを汲み、鎌倉時代に力をつけ、南北朝の動乱では足利方について守護と
なったのである。絹や紙などの特産品もあり、日本のほぼ中央に位置していて
京の都にも近い。
 これが逆に災いしたとも言える。国内は多数の荘園があり、様々な勢力が入
り乱れる結果となった。その中で土岐氏は貴族化し、守護代の斉藤家が実権を
握るようになった。
 さらにその斉藤家の家臣に小守護代の長井家があり、そこへ家臣として仕え
るようになったのが、新九郎の父親の左右衛門尉である。
 ようするに、土岐氏の家臣の斉藤氏の家臣の長井氏の家臣という立場から、
親子二代にわたる国盗りが始まったわけである。えらくまた遠い道のりである。

 よって、本書で描かれる若き日の新九郎の物語も、まずは村一つを手に入れ
るという、これもまた小さい所から始まる。が、たかが村一つとはいえ、そこ
には様々な利権もからむ。村の住人だって乱世の住人だ。大人百姓ともなれば
武具だって揃えている。農民から武器を取り上げる時代はまだもうちょい先だ。
村同士の争いだってある。
 そのややこしい中を新九郎が鮮やかな手際で村を自分の物にする……わけで
はない。とにかく泥臭く、おどしたりすかしたり、搦め手を使ってみたりと、
そんな風に物語は進行する。世の中、自分だけに脳味噌がついているわけでは
ない。そうそう思い通りに行くと考える方が間違っている。

 そして物語の背後では、新九郎の父親である左右衛門尉が主導となって動く
斉藤家の権力争いが進行する。それはついに守護の土岐氏を巻き込んでのクー
デターにまで発展する。美濃一国を揺るがす争乱の中で新九郎はようように自
分の所領を得る。が、同時に大切な物を失う事にもなる。

 こうした事々を、作者の岩井さんは丁寧に、その場、その時代に生きる人の
視点で描く。神の視点、歴史家の視点ではなく。だからこそ、読者は新九郎の
悩みを共感を持って読むことができる。当時の武士が能を見て何を感じるかを
疑似体験することができる。戦の難儀さや恐怖を感じ取ることができる。

 残念なことに、本書はいよいよ新たな局面に――という所で終わっている。
 あとがきに著者が書いているが、本書の続きが出るかどうかは売れ行きしだ
いということだそうである。

 だから、この作品のファンである私としてはこうして援護射撃をさせていた
だくわけである。
 書店から姿を消す前に、ぜひご一読を。
 歴史に興味があれば、買って損はない作品である。


銅大(あかがね・だい):週末ライター     mailto:akagane@mb.infoweb.ne.jp
著者ページ: 銅大のRPGてんやわんや    http://www.trpg.net/user/akagane/



TRPG.NET IRCサーバ #もの書き のご案内

 文章を書くことについて、いろいろと語りあう場所として、
	http://www.trpg.net/talk/IRC/
 に解説があります、 irc.trpg.net の独立IRCサーバ上に #もの書き という
チャンネルを常設しております。
	http://www.cre.jp/writing/IRC/write/
 よりログが自動公開されております。
 お気軽にご参加ください。




文芸創作な一言:文庫目録からの発想法

 気楽な問題提起や雑感、ノウハウなどを書いていく、コラムです。

 シナリオ発想法のひとつに、ある文章の頻出単語(固有名詞や形容詞など)を、
自分の関心のあるなにか考えたいものに関係した単語に入れ換えてみるという
ものがあります。
 特に文庫目録なんかは便利ですよね。たくさんのストーリー紹介があります
から。その中からてきとうに単語を入れ換えてみるだけで、面白いものが出て
きたりします。
 異化作用といいまして、なんか変にみえるものを解釈することによって、新
しいものがくっきりと見えてくるというのはありますから、試してみてはいか
がでしょうか。


> -【宣伝】-----------------------------------------------------------
> TRPG専門の日刊ニュースメールサービス 語り部日報
>
> 毎日、TRPG汎用の各種情報提供を行うと同時に、創作TRPG語り部についての
> サポートを提供します。(TRPG.NET提供)                      姉妹誌案内
> http://kataribe.com/KN/                          語り部日報 HomePage
> --------------------------------------------------------------------

奥付

 ご意見・ご感想は、 sf@cre.ne.jp への電子メールにてよろしくお願いしま
す。たんにこのメールにたいして返信するだけで、感想などを書くことが可能
です。
 なお、当メールマガジンの内容は出典を明記すれば、引用は当然自由ですの
でご活用いただければ幸いです。

創刊: 1997年07月15日 発行間隔: 毎週火金曜日予定  X-Mag2Id: 0000000405
前回の発行部数: 553部+melma!版34部
情報源とログ: 文芸広報    <URL:http://www.cre.jp/writing/maga/BK/>
【まぐまぐ版】                                   X-Mag2Id: 0000000405
登録・解除・バックナンバー <URL:http://www.mag2.com/m/0000000405.htm>
【melma! 版]                  X-MagazineID: melma.com magazine 25020
登録・解除・LOG   http://www.melma.com/mag/20/m00025020/index_bn.html
企画・制作: 電網工房・匠 (sfこと古谷俊一) <URL:http://www.koubou.com>
発行者連絡先: sfこと古谷俊一<URL:mailto:sf@cre.ne.jp> ICQUIN: 6549565
配送: インターネットの本屋さん『まぐまぐ』 <URL:http://www.mag2.com/>
文書フォーマット: setext 準拠 <URL:http://www.age.ne.jp/x/sf/SETEXT/>



文芸広報:2000年12月22日号

> -【宣伝】-----------------------------------------------------------
> 想像力、あまっていませんか? |  大好きな小説の登場人物といっしょに
>                | 活躍したい、自分の夢見る世界でみんな
>  もうひとつの世界への扉   | と楽みたい、そんなあなたに送りたい。
>  「語り部」が提供します   |『ほんとうのRPG、試してみませんか?』
> http://kataribe.com/                                    語り部総本部
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ちょっと一言

 bk1の封筒が溜まる溜まる。受取はポスト投函が楽だよなぁ。



いー・あーるの他愛の無い話:静かなる


 ……静かなる、静かなる、静かなる
 真夜中の、研究室の中でふと耳を澄ます。

 ひりひりと、耳をこすってゆく音。 
 …恐らくは
 電気がこすれてゆく際のノイズ
 ノイズのみ

 人間一人、ノイズではないと断言できる時間の幅はどれほどなのだろうか。
 畢竟……大した時間の幅ではあるまい。

 静かなる、静かなる、静かなる
 コンピューターの、呟くような音の中………


 ……他愛の無い話である。



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	http://www3.ocn.ne.jp/~optical/h/
	オプティカヘヴン / イイクラマリコ
 カリヤカン公国記。
「指南の達人」全十三話完結編。
 せっせと書いたSSを、やっとアップしました!

 暗い森に住まう仮面の剣士(笑)チャルチャン=チャランのもとに、ぶしつけ
な態度で教えを乞う男、カイラ=ミールが現われた。
 殺された醜い愛人と、残された剣の経緯。
 彼が語る、剣と自分自身の昔話……。
 というような話。
 魅力的な紹介文って難しいですね……。

 ** sfより **
 探しにくいですが、SSと書かれたリンクから読みに行けます。オリジナル部
門の案内ページのほうではなぜかウィスタリア公国記となっています。ウィス
タリア公国記の外伝でカリヤカン公国の話という意味でもないようだし……。
 ボーイズラブが交じると(つーかバイばっかりか)人間関係がややこしいもの
ですね。愛憎関係を複雑化する機能としてのボーイズラブにはメリットがある
ものなんだなあと妙な感心をしました。
 『肖像の価値』の視点人物、サッカ大臣が結構いい味だしていますね。


	http://www.trpg.net/user/metral/
	小野哲也のホームページ / OTE
 あぁ、なんか、やるべき事をせずに、他の事ばかりしている気がしますが(^^;
 とりあえず宣伝。

 また、詩や日記などを増やしましたので、見に来てやってください。なんか
ダークな詩が多いと一部で噂です。本人は思った通りを書いてるだけなので、
ちょっとこー、日常を改善する必要があるのか? とか思ったりしてます。

 ** sfより **
 最近熱心に進めているようです。前も書いたけど日記と照らし合わせて読む
と理解しやすいかも。詩には書いている時期の周囲の環境を理解してこその味
わいとかもあるものですよね。



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	http://kataribe.com/HA/06/P/E/HAP06E46.HTM
	狭間06エピソード1446『優麻がIRCにやってきた日』 / 球形弐型
 季節が暖かくなる頃……。
 この春から大学生になる優麻は、兄・光に言われてパソコンの特訓中。
 そして、ついにネットデビューへ……。

 はてさて、優麻のネットデビューは如何なものだったのでしょうか?



銅大の読書万歳:夏への扉

作品名:『夏への扉』
著者名:ロバート・A・ハインライン
出版社:ハヤカワ文庫SF
ISBN:4-15-010345-3
http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi?aid=p-sf0023&bibid=00982319

 日本に棲息するSFファンに、古今東西、ありとあらゆるSFの中から

「あんた、どれが好きや? 正直にゆーてみ」

 と質問をしてくると、まー、回答は千差万別あれやらこれやら、中には「指
輪物語」、ちゅーて、あんたそれはSFちゃうやろゆーのまで返ってくる。
 まー、エルリック(※)がSFなわけだし、いいか。

 そして、このSFオールタイムベストでやたらひんぱんに登場してくるのが、
今回紹介する『夏への扉』である。

 どんな作品かというと、きわめてシンプルな作品である。

 友人と恋人に裏切られてすべてを失った男が、奮起して立ち上がり成功をつ
かみ取るという物語である。
 なんというか、小説や脚本のお手本のパターンにしていいんじゃないかとい
うくらい単純明快で、かつ面白い。

 しかし、それだけではSFファンの心をつかみとることはできないだろう。
 まずこの作品においては、重要なSF的なギミックが3つ使われている。

 1つは冷凍睡眠装置。
 2つめはタイムマシン。
 3つめは文化女中器を始めとするロボット。

 特にこの3番目、今風(?)の言葉に言い直すとメイドロボットである。
 ホンダやソニーが人型ロボットをわざわざ開発するように、我々日本人は、
おそらく世界でみても有数のロボット好きな国民である。もっとも、原作が掲
載されたファンタジー誌にそえられたイラストは、実になんとゆーかユーモラ
スで、はたしてこれが日本にそのまま輸入されたらSFオールタイムベストの常
連となれたかどうかはきわめて怪しい。

 次に重要なのが『進歩した未来社会』である。
 そこは決してユートピアでもなんでもないが、ハインラインの描写するその
世界は、おおむね前向きで、かなり自由な世界となっている。
 そして、その世界の年代は――西暦2000年。
 つまり、我々にとっての現代なのである。作品が書かれた1957年においては
はるかな未来であった西暦2000年であるが、現代の我々にとっては、どことな
く古めかしく、郷愁を誘う。
 実際のところ、未来予測という意味では、かなりとんちんかんな所が多々見
受けられる。だが、徹底して明日はもっといい世界になるという未来への視点
が、いくらひねくれているように見えても根っこのところで楽観主義者である
SFファンの心の琴線をかき鳴らすのだろう。

 そして最後に。
 天下御免のハッピーエンド。

 やはり、これにつきるのではないかと。


※マイクル・ムアコック著作のダークなファンタジー小説。エルリック・シリー
 ズはどういうわけかハヤカワ文庫FT(ファンタジー)ではなく、ハヤカワ文庫SF
 に分類されている。


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著者ページ: 銅大のRPGてんやわんや    http://www.trpg.net/user/akagane/

 ** sfより **
 bk1では24時間以内配送だそうで。今でも人気があり入手の容易な一品です。



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 表を利用したプロットの組み方、他の話題で盛りあがりました。



文芸創作な一言:たくさん書けるようにしよう

 気楽な問題提起や雑感、ノウハウなどを書いていく、コラムです。

 一般にエンターテイメント系で飯を食うために必要といわれる年に350枚の
文庫小説を四冊書くとして。単純計算してしまうと1400枚。一日四枚も書けば
良い計算になりますか。なんか、たいした分量にみえないかも知れませんね。
 しかし、実際にはかいた分量がすべて完成品となるわけではないので。そう
は問屋がおろさないというわけですね。
 たいした仕事があるわけではない、私の例で恐縮ですが。原稿料をもらう仕
事のときには。実差異に提出する原稿の数倍は書いて、削ります。構想段階を
含めると十倍くらいあるということもよくあります。
 効率的に書ける人も居るんでしょうけど。ふつうは、たくさん継続的に書く
能力を磨くというのは、必要なことなのではないかと思います。

> -【宣伝】-----------------------------------------------------------
>    ◆◆小説界のKOF98、鉄拳3「5KBのゴングショー」◆◆
> 投稿小説対決コーナーゴングショーはサイトのTOPに対戦2作品の冒頭を
> 載せ、読者が読んだ数と投票した数でポイントを競います。
> 詳しくは下記URLで。
>             http://www.asahi-net.or.jp/~ZL7Y-AOK/gong.htm
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文芸広報:2000年12月26日号

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>       オンライン生まれ、オンライン育ちのオンライン作家として、
>           オンラインで生きる道を、いざ、拓かむ!
>     『大食い姫』 『アトミック・ビーチで抱きしめて』 『八方天』
>         ☆うきうき書房 On-Line:電子書籍見本/即売市☆
>           http://homepage2.nifty.com/ukiuki/
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ちょっと一言

 03日の12時前に起きたら、うちの最年長の猫のラヤ君が静かに力尽きていま
した。腎不全の進行でどんどん調子が悪くなっていてました。正月は看病中心
の生活。
 あれだけ子細に観察していたのに、死に目を見取ってやれなかった他、いろ
いろと心残りだけど。16年間、ありがとう。だれよりもなによりも、長く密度
の濃いつきあいをした相手でした。
 ……ラヤの分まで頑張んないとね。



いー・あーるの他愛の無い話:懐音


 気まぐれに。
 家に帰りたい、と歌う曲を集めて、一本のテープにした。

 帰ろう、帰ろう、と歌う人ほど
 本当に帰る家を持たないのだろうな、と

 でなければ。
 帰ろう、という言葉に、これほどに
 切ないメロディを組み合せないだろうに……と。
 ふと、思った。

 帰ろう、天使の翼に乗って………

 ………帰る家は既にない。


 それは全ての代償。
 十全にそのことを知っていても。
 尚。


 帰ろう、天使の翼に乗って………

 ………天使の翼無しには、戻れぬ我が家へ。



 ……他愛の無い話である。



                        (BGM:BoDeans:Going Home)



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	別冊!彬兄 さらに別冊 /  彬兄
 メインのページ、別冊!彬兄から小説関連のページだけ独立させました。
 ゲーム(電源なし)な小説とか、テーマ掌編があったりします。
 てきとー書評日記などいくつか追加のコンテンツがありますので、お気軽に
お立ち寄りください。
 感想掲示板になにかメッセージ残しておいてもらえるとうれしいです。

 ** sfより **
 #もの書き でいろいろと話題にした作品や、テーマ企画関連などがいろいろ
とあります。短い書評はライトノベル系がたくさん。
 テーマ「夜に翔る翼」のやつが、個人的にお気に入りかな。過去と未来の情
景を想像したくなるし。



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銅大の読書万歳:デュマレスト・サーガ

作品名:『デュマレスト・サーガ』(日本では1〜31巻)
著者名:E.C.タブ
出版社:創元推理文庫

 デュマレストという男がいる。
 彼は“旅人”である。
 彼が旅を始めたのは10才の時。
 故郷の過酷な環境から逃げるために、彼は宇宙船に密航するという手段を取
った。本来なら、宇宙へ放逐されても文句は言えないところであるが、老船長
の温情で彼は死なずにすんだ。
 その後も彼は星から星へと旅を続けた。
 宇宙は広い。
 金がある時には低速代謝で。
 金がない時には下等の冬眠容器で。
 長い距離と、長い時間をかけて、彼は故郷から遠く離れた。
 彼の故郷の星のことを誰も知らないほどに遠くへ。
 やがて、大人になった彼は望郷の念にかられた。
 だが、彼の故郷を知る者はいなかった。
 どの星図にも、彼の故郷はのっていなかった。
 それどころか、彼の故郷は伝説か冗談となっていた。
 彼の故郷の名は、地球。
 故郷を目指す彼の旅が始まった。長い、長い旅が。

 本シリーズは、このような形で始まる。そして、31巻まで延々この調子で続
く。普通に続けていれば、書く方も読む方も飽きがきそうなものであるが、こ
の作品においては2つの点でそれを防いでいる。

 1つは、デュマレストが訪れる様々な惑星ごとの特色である。
 生態系が奇妙であったり、社会が奇妙であったり、あるいは奇妙な事件が発
生してそれにデュマレストが巻き込まれたりと、訪れる惑星一つ一つに、ユニー
クな特徴が付与されている。

 もう1つは、各惑星ごとにばらばらな社会を構築している中で、星系間にま
たがる巨大な秘密結社の存在である。名をサイクラン。純粋知性の集合体で、
謎の目的を持って行動するこの組織と、デュマレストはとある事から敵対する
ことになる。

 このように、前者でエキゾチックな設定を、後者で緊張感を、それぞれ出す
ことで長いシリーズを飽きさせずに読ませる手腕はさすがといえる。

 ちなみに、本シリーズは31巻まで刊行された時点で終わっている。
 1885年に31巻が出てからずっと、続刊が出なかったためである。(翻訳の31巻
は1989年出版)
 しかし、実際には1997年にGryphon Pressから最終巻が発行されている。
 タイトルは『The Return』。
 そう、デュマレストの旅は永遠に続くわけではない。彼は故郷に戻り、全て
に決着をつける必要があるのだ。
 絶版となっている本シリーズを含めて、この最終巻が発行されることを願っ
てやまない。


銅大(あかがね・だい):週末ライター     mailto:akagane@mb.infoweb.ne.jp
著者ページ: 銅大のRPGてんやわんや    http://www.trpg.net/user/akagane/

 ** sfより **

 『The Return』は『Le Retour』の題名で1992年にフランスで、出ていたよ
うです。このあたりには色々と事情があったんでしょうかね。
 ちなみに復刊コムでデュマレストシリーズが上がってますので、紹介します。
	http://www.fukkan.com/vote.php3?no=2403
 です。読んでみたい人は、ぜひ投票してみてください。



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 文章を書くことについて、いろいろと語りあう場所として、
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 テーマ企画「朝嫁」関連、職業の発生についてなどの話題で盛りあがりまし
た。



文芸創作な一言:題名で内容を読みやすくする

 気楽な問題提起や雑感、ノウハウなどを書いていく、コラムです。

 とくに論説分やコラム、ニュースなどで言えることですが。題名は具体的か
つ明確に、内容の要約となるものにするべきでしょう。このとき、おんなじ題
名でいろいろな内容が書けるようでは、絞りが甘いと思います。

 内容の全体のイメージがぱっとつかめるように題名がついていれば。詳細を
読んだ時に、内容をどのように頭の中で位置づけていけばよいのか分かり易い
んですよね。

 逆に、文章を読みやすいものにするために。題名をつけてから、それに合わ
せて内容を削ったり、順番いじったり、増補改定したりとか。また変更した内
容に合わせて題名を再び調整するとか。そういうことをすると「なにが言いた
いのか」が明確になって、結果として読みやすい内容になるとおもいます。
 言いたいことを題名として明確にできないようでは。書いている当人が、な
にを書きたいのか、なにを書いているのか、自分でも理解していないと考える
こともできます。気をつけましょう。

> -【宣伝】-----------------------------------------------------------
> 1995年1月6日。バブル崩壊もなく栄華を謳歌していた日本の首都東京に一
> 発の核爆弾が投下された。混乱、そして崩壊。国家は寸断され、いくつもの
> 勢力が外国の力を借りた地方政権として群居する、内戦の国と化した日本で
> 生きるありふれた人々は……。
> 【霙の街】                  http://kataribe.com/MM/
> --------------------------------------------------------------------

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す。たんにこのメールにたいして返信するだけで、感想などを書くことが可能
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文芸広報:2000年12月29日号

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> web創作家達へ……
> creative impulseは、創作家を応援します!
> 見せたい人                                        見たい人
> 文章・CGなどの作品を登録 −> creative impulse <− お好きな作品を検索
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 情報の山の中に埋もれた創作文芸物を発掘し、読むことを楽しみたい人々へ
の指針となることを目的とする、オンライン創作文芸の宣伝告知サービスです。
 創作小説、イラストストーリー、小説を書くうえでの論考、ネットワーク利
用の共同創作、詩などを取り扱っていきます。


ちょっと一言

 えらく遅れてしまっとりますな。



いー・あーるの他愛の無い話:True colors


 繰り返し、繰り返し。
 耳にも染み付くように。

 日本語訳を見た。
 「魂」と訳してあった。

 雲が掛かれど、富士は富士。
 そんな言葉を思い出しながら。

 本当の色って何だろう?
 その問いが、けれども
 空から降ってくるような
 高く高く、その問いを見上げているような……


 ふと。
 空を仰ぐ。
 ほんとうの色は、天から降ってくる…………



 ………他愛の無い話である。



                        (BGM:True Colors)



新規登録・更新の宣伝告知

 あなたの創作文芸関連ページの告知が、
	http://www.mahoroba.ne.jp/~furutani/crenovel/CRE_N_CM.html
 に書き込むか、 sf@cre.ne.jp へとメールで紹介するページのURLとタイト
ル、紹介文を送付することで行なえます。

 今回掲載されたかたでも、個別の作品についてや更新情報などを再度登録し
た場合にも、ちゃんと告知させていただきます。最初はページ全体の告知で良
いわけですが、新着小説ができるたびに告知していっていただけますと読み手
にも書き手にも便利だと思われまから。
 ページ全体に関する宣伝を継続的に掲載したい場合には、順繰り載せる予定
の五行広告という手もありますので、 sf@cre.ne.jp までお問い合わせくださ
いませ。

	http://www.cre.jp/user/ER/
	いー・あーるのホームページ / E.R
「収容所という極限状態にあって、一切が奪われようとも、何人も奪うことの
できないものをもっている少数の人たちがいる」
 ……フランクルの「夜と霧」の一節です。
 そこから発して、今現在の自分で出来る限りの文章を書いてみたい、と。

 『慈童翔空』に、「塚森奇談・冬」を追加しました。
 クリスマスプレゼントに、ぎりぎり間に合ったかな、と。

 宜しければ、どうぞ。

 ** sfより **
 春夏秋冬ときて、塚森奇談ついに完結ですか。細かい部分のちょっとした齟
齬とか手順を丁寧に書いているのが、ファンタジーとして魅力を産んでますね。
 冬は、前三話とは、すこし文体やなんかが変わってるような気もしますね。


	http://www21.freeweb.ne.jp/novel/galaxy_r/
	ショートストーリーの広場 / >銀河
 短編読み物専門の文芸サイトです、皆様から投稿いただいた作品をメールマ
ガジンにて発表しています

 ** sfより **
 けっこう元気に活動してますね。
 短くまとまったショートショートについては、BBSを利用して投稿できます。
テーマ競作とかもありますね。
 そのほかリンクの登録をして告知なども出来るようです。



文章研鑚メーリングリストのご案内

 読みたくなる文章を書くための修行の場、読みたくなる文章を書くための方
法論の検討の場をもうけ、インターネット上における文章技術、とくに創作小
説の技術向上を図るために設立しました。

	http://www.cre.jp/ML/bun/
 に案内文や規約・ログがおいてあります。
 bun-ctl@cre.ne.jp にたいして
subscribe 名前(英数字で)
end
 と書いてメールを出せば、参加できます。メールに題名は不要です。




銅大の読書万歳:本番台本

作品名:『本番台本』
著者名:ギャビン・ライアル
出版社:ハヤカワ・ミステリ文庫
ISBN:4150710546
http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi?aid=p-sf0023&bibid=00109040

 ギャビン・ライアルの冒険小説というと『深夜プラス1』が有名だが、私は
初めての人には今回紹介する『本番台本』をお勧めする。
 その違いはやはり主人公にある。『深夜プラス1』のルイス・ケインもいい
男だが、どことなく虚無感と哀愁が漂っている。一方『本番台本』のキース・
カーは不撓不屈、とことん前向きな点に好感が持てるのだ。
 ただ、『深夜プラス1』で主人公が扱うのが車(シトロエンDS)であるのに対
し『本番台本』は飛行機(ダヴとミッチェル)であるため、ちょっとイメージ
がわきにくい向きがあるかも知れない。本書に登場する主な機体の写真が掲載
されているページをご紹介しておこう。
 http://members.tripod.com/~eijiy/mono-aer.htm である。

 この物語は典型的な「主人公が陰謀に巻き込まれる」タイプである。
 かつてはRAF(ロイヤル・エア・フォース=イギリス空軍) パイロットとして
朝鮮戦争にも参加したことのあるキースだが、今はカリブ海、西インド諸島で
中古のダヴ輸送機を操縦して生活していた。
 ところがある日、キースは、いきなりヴァンパイア戦闘機(上述のWWWサイト
を参照。たいへんユニークなデザインである)に威嚇される。そして『休暇中』
のFBI捜査官にも探りをいれられる。 どうやらキースはとある小国の内戦に関
わっていると思われているらしいのだ。もちろん、キースは身に覚えなどない。
 そしてキースの思惑や立場がどうであれ、ダヴにはローンがあるし仕事はし
ないといけない。このあたりの、飛行機を持つパイロットの生活臭さも本書の
魅力の一つである。

 やがて、主人公は映画のロケ隊と契約を交わし、その仕事を始めるようにな
る。だが、陰謀の輪はぎりぎりと主人公を締め上げてゆく。愛機は取り上げら
れ、身近な所で殺人事件が発生する。
 何かが、そして誰かがキースを嵌めようとしているのだ。
 しかし、キースは決していいように操られる人形などではない。陰謀を推理
し、事件の背後にあるものを見つけだしていく。
 その上で、キースは自分の意志で決断を下す。それは金のためでも自分の名
誉のためでもない。
 やらねばならぬ事を、やるのだ。
 このあたりのキースの決断と、そしてそのために飛ばすおんぼろB-25ミッチェ
ル爆撃機の描写は、本作品の白眉である。 何しろ作者自身も元RAFパイロット
である。飛行機の描写は素晴らしい。

 その一つとして、おんぼろミッチェルがさんざん苦労したあげくにようやく
飛び上がったくだりを紹介して、おしまいにしよう。

***********************************
 機を水平にもどすとスロットルをひいて、こと新しく室内を見回した。相変
わらず、古道具屋のウィンドーのようだった。よせ集めの計器類、汗で銹びた
上に黒いテープが巻いてあるレバー、制限速度三百四十九マイルと書いてある
のを、線をひいて二百七十五マイルと訂正してある張り紙。彼女はたしかに厚
化粧の老嬢だ、しかし、かつては若く力強かったこともある、花やかなりし頃
のことを忘れ去っているのではないのだ。
 私自身が飛んでいる期間よりも長い二十年という年月にたえてきたのには、
それ相当の理由があるのだろう。
 やはり、金だけで割り切れない何かがあるのだ。「すまなかったな」私は静
かにいった。「お前をすべたなどと言って」
***********************************

銅大(あかがね・だい):週末ライター     mailto:akagane@mb.infoweb.ne.jp
著者ページ: 銅大のRPGてんやわんや    http://www.trpg.net/user/akagane/

 ** sfより **
 bk1のアフィリエイトになりましたので、購入リンクをつけてあります。
http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi?aid=p-sf0023&bibid=00109040
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 テーマ「朝嫁」関連、「ザ・スニーカー」誌の「キャラクター小説の書き方」
について、チャットで意味の通る文章を書くことによる即興訓練、などの話題
が出ていました。



文芸創作な一言:写生文で地力を磨く

 気楽な問題提起や雑感、ノウハウなどを書いていく、コラムです。

 小説中などでの描写では。いろいろと書ける中でなにを書くかによって、表
現し伝えたいことを伝達するわけで。その前提となる多様な「書くことを思い
つく能力」ってがないと、書きにくいものだと思います。
 しかし、わたしなどもそうですが、思ったほどに周囲について注意深く見て
いないもので、いざ書こうとしてみるとけっこうわからなかったり、定型的な
文しか出てこなかったりしがちです。
 そこでまあ、スケッチのように。なんでも良いからそこにあるものを全て書
き出すというのは、写生的な訓練にはなるかなと思います。いろいろと書ける、
書くべきものを思いつける、想像できる、そういう能力を磨くために、文章的
に写生するというわけですね。
 書き割り小説しか読んでないと、どうしても、書き割りでしか浮かばなくて
貧困になったりするような気がします。わかっていて描かないのと、書くこと
を思いつきすらしないのとでは、地力に大きな違いがありますよね。


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 ご意見・ご感想は、 sf@cre.ne.jp への電子メールにてよろしくお願いしま
す。たんにこのメールにたいして返信するだけで、感想などを書くことが可能
です。
 なお、当メールマガジンの内容は出典を明記すれば、引用は当然自由ですの
でご活用いただければ幸いです。

創刊: 1997年07月15日 発行間隔: 毎週火金曜日予定  X-Mag2Id: 0000000405
前回の発行部数: 556部+melma!版37部
情報源とログ: 文芸広報    <URL:http://www.cre.jp/writing/maga/BK/>
【まぐまぐ版】                                   X-Mag2Id: 0000000405
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