文芸広報:2000年09月分


目次



文芸広報:2000年09月分


文芸広報:2000年09月01日号

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ちょっと一言

 原稿料もらうほうの仕事の〆切の都合で発行が遅れておりました。申しわけ
ありません。



いー・あーるの短詩劇場:坂


 坂の途中で

 受話器を置いたら

 しゃがみこみたいほどさみしくなった


 道の途中ですわりこんだら なおさみしかろう




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 よろしければご覧ください。

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 サロメと千早振るなど、混ぜかたがなんか凄いですね。権利切れしてる作品
だと安心してパロディを作れるし、元ネタも示しやすいし、良いアイデアです
よね。


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	いー・あーるのホームページ / E.R
 忘れてしまいたいことがある。
 せめてどこかに封じておきたい、と、思うこともある。
 「石の記憶」更新しました。

 その他、「雑感積片」ちこちこ足しております。
 宜しければ、どうぞ。

 ** sfより **
 なんかリンクは砂の記憶になってましたが。どちらでもまあ、正しそうな内
容ですね。
 しかし姉妹編として砂の記憶も書いてもらうのも面白いかも知れませんね。



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銅大の読書万歳:飛鳥の国 国家誕生への道

作品名:『飛鳥の国 国家誕生への道』
著者名:氷鉋愛子(ひがのあいこ)
出版社:新紀元社/株式会社新紀元社
ISBN:4-88317-215-5

 私たちの住む日本がどのように誕生したのか。
 実ははっきりしたことはまだ良く分かっていない。
 史書としては古事記や日本書紀があるが、ここに記述してあるどこまでが本
当の事で、どこが神話や伝説、あるいは捏造・改変した部分なのか、学者によっ
ても議論の分かれる所である。

 さて、そういう学術的な論争はさておいて。

 私たちが『歴史』を感じるのはどんな時だろうか?

 子供の頃、高価で専門家しか扱えない機械だったコンピュータが、いつのま
にやら職場や家庭に入り込んで、事もあろうに自分が使っているのを自覚した
時。
 造船会社に入るのがエリートという時代に入社したのに、いつしか斜陽産業
になっていて。ついにはリストラされたんだよと親戚のおじさんが寂しそうに
話しているのを聞いた時。
 好きだった俳優や歌手、スポーツ選手などの引退や訃報を聞かされた時。

 そう。そういう時に、私たちは『ああ、時代は変わったんだな』と歴史を感
じるのである。
 当たり前の事が当たり前でなくなり。
 盛んであった物が衰退し。
 それまで思いもしなかった物が生活に入り込んで来る。
 そういう変化の積み重ねが私たちに『歴史』を感じさせるのである。

 今回紹介する『飛鳥の国 国家誕生への道』は、複数の王国の集合であった
倭の国が、大和王朝を中心に統合されていき、そして天皇を中心にすえた一つ
の国家へと変わっていく様を描いた物語である。

 この物語が『正しい』とは私も思わない。というか、私の知識では分からな
いので判断のしようがない。
 だが、前述した『歴史』を感じさせるという点では実に巧みな物語となって
いる。それは国家誕生の歴史を、ある一族の興亡の物語と重ね合わせているか
らである。

 その一族の名は蘇我。
 史書ではどちらかというと悪役的な描かれ方をする蘇我家であるが、彼らと
て最初から大貴族としてぶいぶい言わせていたわけではない。弱小の豪族とし
て軽んじられていた時代もあったのだ。

 物語は、辺境の豪族と思われていた大和の一族が吉備の国をうち破る所から
始まる。時代は6世紀初頭。ホトケ神が大陸から伝わってきた時代である。
 大陸とのパイプを持っていて、いち早くホトケ神(仏像)を目にした蘇我稲目
は、その上品な美しさにカラ文化のすばらしさを感じる──このあたりのくだ
りは実にうまい。当時の人間にとって、神とは実際に力ある存在であり、軽々
しく扱う物では決してなかったのだという雰囲気が伝わってくる。

 やがて九州の筑紫の国も大和との戦に敗れ、大和の国は名実共に倭を代表す
る国家となっていく。
 その中で、古い軍神を祭る物部の一族とホトケ神を信仰する蘇我の一族が対
立。蘇我の勝利に終わる。

 蘇我は飛鳥の地にカラの文化を取り込んだ都を造り、繁栄をきわめる。
 大きくなった蘇我一族は今度は自分たち同士で争いを始めるようになる。争
いは次第に大きくなり、ついには蘇我本宗家がクーデター(大化改新)により滅
ぶ。だが、そのクーデターは結局の所、蘇我家自身の自滅をも意味していた。
クーデターに参加した蘇我倉山田石川麻呂も力をつけてきた大王の陰謀により
自決。
 蘇我家は歴史の表舞台から姿を消す。

 しかしながら、大王の朝廷もまた、一枚岩ではなかった。
 後継者問題から飛鳥大乱(壬申の乱)が始まる。これに勝利した大海人大王は
王の中の王、『天皇』となる。そして大乱によって疲弊した豪族たちに代わり
朝廷に権力を集中させるようになる。

 蘇我の一族が憧れ、恋いこがれたカラ風の国家の誕生である。

 だが、その朝廷のどこにも蘇我の名前はなく。

 一族の血をひく石川朝臣石足も、国史編纂(日本書紀)のために自分の家の記
録を提出しながら──

 気に入らない大王を殺害したり、まつりごとを朝廷ではなく自分の家で行っ
たりという記録に。
「何やら秩序もないようで、野蛮な感じだ。とてもその世の中にはついてゆけ
ぬな」

 ──そう感じたりもするのである。

 そう。確かに時代は変わったのである。
 そして、人も。


 日本史に興味がなかったという方も、ぜひご一読を。


銅大(あかがね だい):週末ライター
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 新人賞の選考基準とは、文章後からさえあれば世界は奇抜でも問題ない、な
どの話題で盛りあがりました。



いー・あーるの短詩劇場:親愛なる友へ


 今日

 あなたを裏切りました



文芸創作な一言:世界と個人が変化する

 気楽な問題提起や雑感、ノウハウなどを書いていく、コラムです。

 世界に愛着があるのは、それはそれでいいけど。その世界を変えてしまうく
らいの事件を考えて、それを話にすることができたほうが、ほんとは良いんで
しょうね。なかなか、できない人が多いような気もしますが。
 登場人物の葛藤と世界の内在する葛藤を重ね合わせて、登場人物の成長とと
もに世界のありかたそのものが変わっていくことができるのは。SFやファンタ
ジーのもつ大きな力でしょう。
 ……いや、歴史小説なんかでも、個人の葛藤と社会の持つ矛盾を重ね合わせ、
歴史的な改革・激変と重ね合わせて人間を描くというのは、良く使われる手か
な。
 こういった世界を使い潰して変革しつつ話を進めるのは、上手くいけばカタ
ルシスがでかいんですが。魅力のある世界を使い潰すのは、もったいなく思え
てしまうのが、貧乏性ですかねぇ。

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文芸広報:2000年09月05日号

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ちょっと一言

 今回の銅さんの紹介文。泣けてしまうなぁ。くやしー。
 ああいう感情を喚起させるように、書けるといいねぇ。



いー・あーるの短詩劇場:輪


 なんとはなしに

 とても 狂いたくなって


 階段を1000回 のぼりおり

 その無意味さで

 狂えるんだろうか



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を募集しております。
 今月のテーマは、「猫」です。
 また随時オリジナル作品も募集しております。

 ** sfより **
 過去のテーマは「月」と「空」ですか。短めでまとまった作品を読み比べて
みるのも、良いものです。
 公募情報などもあります。


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	いー・あーるのホームページ /  E.R
 風の吹く街に住む少年。
 彼はエデと呼ばれていました……

 「エデ」更新しました。
 宜しければ、どうぞ。

 ** sfより **
 感情を他者に放送してしまう能力を持つものが、自然にとけこんだある街の
風景。そこに来る旅人……だが……。
 どきどきわくわくな、かなり正統派にジュブナイルな感じですね。うーん、
やられた。



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銅大の読書万歳:まんがサイエンス2 ロケットの作り方おしえます

作品名:『まんがサイエンス2 ロケットの作り方おしえます』
著者名:あさりよしとお
出版社:ノーラコミックス/株式会社学習研究社
ISBN :4-05-106222-8

 読書万歳で扱う最初の漫画である。
 それも、1巻から6巻まで出ている『まんがサイエンス』の中でもわざわざ
2巻である。
 なぜか?
 理由は簡単。
 私がロケットが大好きで。
 著者もロケットが大好きだからである。

 この本は、学研が小学生向けに発行している「科学」に連載している漫画を
まとめた物である。
 連載漫画の長所を生かして、ロケットの基礎から順に月ロケットまでが描か
れている。
 しかも、最後の最後には「ロケット好きの夢」ともいうべき代物まで飛び出
す。これが出た時、私は感動で涙が出た。

 まず冒頭の引用が泣ける。
***********************************
 わたしは、あらゆる面からこの問題を研究しました。
 そして
 砲弾を秒速1200ヤード(約11キロメートル)の速さで大砲から打ち出せば、
その砲弾は必ず月世界に着くとわかりました。
 わたしは皆さんに、このささやかな実験を行ってみてはどうかと
 提案いたします。

 1865年発行 ジュール・ヴェルヌ「地球から月へ」より
***********************************
 この作品に登場して小学生の主人公たちにあれこれアドバイスをくれるツィ
オルコフスキーもゴダードも、オーベルトもフォン・ブラウンも。
 この本を読み、宇宙へ、月へ行ってみたいと。
 願ったのだから。

 本書の構成は以下のようになっている。

第一部:大気の外へ
「人工衛星は、なぜ落ちてこないのか」
「人工衛星の条件」
「人工衛星を飛ばすために」
「ロケットの完成」
「宇宙へ行くために」
第二部:宇宙へのとびら
「月へ行くために」
「月ロケット、サターン5型」
「月着陸!」

 漫画という視覚に分かりやすい物で表現している上、小学生向けに平易な言
葉が使われているので、実に分かりやすい。
 特に第一部は、宇宙ロケットの黎明期の人物をアドバイザーとして順々に登
場させて実験させることで「何が問題なのか」「どうすればそれをクリアでき
るのか」というのがきちんと説明されている。

 最初に登場するツィオルコフスキー先生なぞ、「わしゃ研究はしとったが…
本物のロケットは1個も作らなかったからなぁ」である。

 それでもなぜ、ツィオルコフスキー先生から登場させたか。

 男の子の主人公がようやく試行錯誤の上に作ったロケット(女の子のロケッ
トは一足先に宇宙へ行った)に乗る時に──

「でも、本当にうまくいくのかなァ…」
「いくんじゃない?」
「……だってツィオルコフスキー先生はロケットを実際に作ったことないんで
しょ? 無責任なこと言わないでよ!」
「でも、わしの考えたロケットは、さっき飛んだぞ?」(女の子のロケット)
「え!?」
「わしの時代……20世紀のはじめのころのロケットエンジンはまるっきりパワー
がなかった……それでいろいろ宇宙へ行くためのアイデアを考えておったのじゃ」
 ひとつはエンジンをたばねる方法……
 そして、もうひとつは、ロケットを積み重ねる方法……
「結局、わしの生きているうちには、どちらも実現しなかったが…考え方は、
まちがってなかった」

 ──これである。
 これゆえにこそ、ツィオルコフスキー先生は「宇宙旅行の父」と呼ばれてい
るのである。


 さて、ここまで読んで宇宙やロケットに興味のない方はかなり辟易している
かも知れない。だが、逆にそういう方にこそ、この漫画は読んでいただきたい。
 職業作家、それもかなり人気の高い作家でさえも、この漫画に掲載してある
レベルの内容を知らないがゆえに恥をかくことがあるのだ。
 『終りなき戦い』の紹介で書いたように法螺を吹くのはかまわない。
 だが「知っていて、あえて嘘をつく」のと「知らないで嘘をつき、どうもお
かしいのでさらに嘘をつき続ける」のでは作品の質は雲泥の差となる。

 そして、宇宙やロケットについて充分な知識がある人も。
 もう一度、この本を手に取り、読んでみて欲しい。
 あなたの中の宇宙旅行への夢が、再びかきたてられる事だろう。


銅大(あかがね だい):週末ライター
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いー・あーるの短詩劇場:無題


 ステンレスのやかんの沸く音に

 死んだ女の声が混じる


 インスタントコーヒー一杯



掲示板より

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	創作小説座談会
 などより、最近の内容について。

	http://www.mahoroba.ne.jp/~furutani/book/BOOKFREE.html
	書籍雑談所
 オンライン書店のメリットデメリットの話題で盛りあがっています。



文芸創作な一言:編集者不在のオンライン文芸

 だいたいにおいて、良い作品を作り上げるためには、作者の能力や努力も大
切ですけど。編集者の協力・支援・分析、そして適切な要求や問題提起も、負
けず劣らず重要なんですよね。
 しかしこう、オンライン文芸ってやつは、なかなか編集者という概念自体が
不在のことが多かったりするわけで。もっとより良い、読み応えのある、商品
価値のある作品を作り上げたいと考えているなら。編集者を見つけるなり、自
分が編集者になるなりするべきなのかもしれませんね。


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文芸広報:2000年09月08日号

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> 投稿小説対決コーナーゴングショーはサイトのTOPに対戦2作品の冒頭を
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ちょっと一言

 そいえば、読書の秋ですね。
 みなさん、どれくらい読んでるんでしょうね。



いー・あーるの短詩劇場:千のナイフ


 千のナイフで 己が目を刳り抜け

 上から三番目の夢を追うことの無いように



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	Antique Library /  軍光一
 もしも人が滅びるとしたら、あなたはその残された時間をどう使いますか?
 「天使」たちによる制裁の執行猶予期間に必死に生きる人々。

 「天使戦争」はじめました。
 とりあえず第一話はLAです。

 ** sfより **
 謎がたくさん出でくる展開でしたが、いちおう話のメインラインは片づいて
ますか。これからどう展開するかですね。



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銅大の読書万歳:ウォッチャーズ

作品名:『ウォッチャーズ 上・下』
著者名:ディーン・R・クーンツ
出版社:文春文庫/株式会社文藝春秋
ISBN :4-16-713613-9(上)

 クーンツといえば有名なベストセラー作家である。
 SFファンとしては『人類狩り』あたりもお薦めしたいのだが、見あたらない
ので、クーンツの作品中もっとも好きな『ウォッチャーズ』を扱うことにする。

 クーンツの作品には、ある定型的な様式がある。視点を主人公からだけ追う
のではなく、複数の(特に主人公と敵対する側の)グループに分け、それをクラ
イマックスに向けてどんどんと盛り上げ、収束させていくのである。
 盛り上げるために時間をずらしたり、内面描写を多用したりもしている。
 これによって読者は善玉の描写には感情移入ができ、悪玉の描写には嫌悪感
と緊迫感を感じることができるという寸法である。

 さて、それでは『ウォッチャーズ』の登場人物をグループ分けしてみよう。

主人公グループ
 トラヴィス(対テロリストチームにもいた元軍人:トラウマあり)
 ノーラ(絵画が趣味な女性:トラウマあり)
 アインシュタイン(逃亡した実験動物:原型は犬。賢く優しい)

悪役その1
 ヴィンセント(殺し屋:性格はかなり破綻している)

悪役その2
 〈アウトサイダー〉(逃亡した実験動物:原型はヒヒ。凶暴で狡猾)

追跡チーム
 レミュエル(国家安全保障局の支局長:アインシュタインと〈アウトサイダー〉
を追う)
 ウォルト(郡保安官:レミュエルと共に〈アウトサイダー〉を追う)

 他にもいろいろと登場人物はいるのだが、それは割愛する。

 まず主人公グループであるが、物語はトラヴィスが山歩きをしているところ
で犬(アインシュタイン)に出会う所から始まる。トラヴィスは親兄弟、戦友、
妻と次々に親しい人間の死を迎え、やる気をなくしたふぬけ状態であるが、犬
との交流で少しずつ自分を取り戻していく。
 一方のノーラも強圧的な叔母の下で閉塞した生活をしていたが、叔母の死を
迎え途方に暮れているところを悪漢に襲われる。しかし、そこへ犬とトラヴィ
スによる助けを受けて少しずつ心を開いていくようになる。
 このように、主人公グループは「犬:アインシュタイン」を中心に結びつき
を深めていく。この結びつきは下巻にかけてしだいに他のキャラクターも含め
て広がっていく。

 次にヴィンセントであるが、こちらはアインシュタインや〈アウトサイダー〉
の実験に関わった科学者を次々に殺害していく。
 とにかくオープニングに近い最初の登場場面で人を殺しておいて、殺した相
手に「ありがとう、ありがとう、ドクター」などと感謝のキスをするという、
えげつなさである。しかもその後の登場シーンでも度々、妊婦を殺す──つま
りその胎児も殺す──ことで自分は素晴らしい生命パワーを得られるなどと夢
想する。
 もちろん、お分かりかと思うが後にトラヴィスとノーラは結婚して赤ん坊が
ノーラのお腹にいる状況になるのである。読者としては気が気でならないわけ
だ。

 そして悪役扱いされるもう一方の〈アウトサイダー〉であるが、こちらは、
間接描写が中心である。つまり、襲われる側の視点で描くことで『何か分から
ない物に襲われる恐怖』を読者が感じられるようにしてある。
 しかしながら、一方で醜く凶暴で、誰からも忌み嫌われ、しかもその事を理
解する知性を与えられた実験動物の悲哀も描かれている。
 ここでも直接描写──〈アウトサイダー〉自身の内面描写をしていない点が
作品のポイントである。追跡チームが〈アウトサイダー〉の遺留品から、その
心を推測する様式を用い、情感を高めている。

 最後に追跡チーム、中でもレミュエル(レム)であるが、彼は全てを知る立場
にある。実験動物の計画や、その目的なども。
 その上で、彼はきわめて善良な人間でもある。読者は彼のアインシュタイン
追跡が失敗することを主人公たちのためにも祈るしかないが、決して彼自身を
嫌うことはできない。このへんのジレンマも良い感じで緊張を高めてくれる。
 また、善良で法を勝手に曲げたりしない人なので、殺し屋のヴィンセントや
〈アウトサイダー〉に遅れを取る展開にも納得がいく。

 こうして、物語はアインシュタインと主人公たちにどんどん収束していき、
最後のクライマックス、そして余韻の残るさっぱりとしたエンディングへと向
かう。

 気持ち良く読める逸品である。


銅大(あかがね だい):週末ライター
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いー・あーるの短詩劇場:ねお・はーどぼいるど


 自分の生きる意味を人に委ねるほど 情けない生き方はしたくない

 誰かの為に生きられないなら 生きている意味が無い




文芸創作な一言:問題意識はメモしよう

 気楽な問題提起や雑感、ノウハウなどを書いていく、コラムです。

 なんにしても、生活していくうえで「これが気に入らない」「これは変だと
思う」「これは考える価値がある」「これは悩む問題だよな」などと、感じる
ことは良くあると思います。
 そういった問題意識を、ただ忘れてしまうのではなくて。意識的にメモして、
テーマとして活用する癖をつけるのは、便利な手だと思います。
 思いついても、すぐ忘れてしまいますからね。


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文芸広報:2000年09月08日号


再送

 まぐクリックのシステム改変に伴うトラブルにより、前号の題名が消失して
いたようです。
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 とりあえず再送します。前回の題名なしのものと、中身は変わりません。

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ちょっと一言

 そいえば、読書の秋ですね。
 みなさん、どれくらい読んでるんでしょうね。



いー・あーるの短詩劇場:千のナイフ


 千のナイフで 己が目を刳り抜け

 上から三番目の夢を追うことの無いように



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いわけですが、新着小説ができるたびに告知していっていただけますと読み手
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 もしも人が滅びるとしたら、あなたはその残された時間をどう使いますか?
 「天使」たちによる制裁の執行猶予期間に必死に生きる人々。

 「天使戦争」はじめました。
 とりあえず第一話はLAです。

 ** sfより **
 謎がたくさん出でくる展開でしたが、いちおう話のメインラインは片づいて
ますか。これからどう展開するかですね。



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銅大の読書万歳:ウォッチャーズ

作品名:『ウォッチャーズ 上・下』
著者名:ディーン・R・クーンツ
出版社:文春文庫/株式会社文藝春秋
ISBN :4-16-713613-9(上)

 クーンツといえば有名なベストセラー作家である。
 SFファンとしては『人類狩り』あたりもお薦めしたいのだが、見あたらない
ので、クーンツの作品中もっとも好きな『ウォッチャーズ』を扱うことにする。

 クーンツの作品には、ある定型的な様式がある。視点を主人公からだけ追う
のではなく、複数の(特に主人公と敵対する側の)グループに分け、それをクラ
イマックスに向けてどんどんと盛り上げ、収束させていくのである。
 盛り上げるために時間をずらしたり、内面描写を多用したりもしている。
 これによって読者は善玉の描写には感情移入ができ、悪玉の描写には嫌悪感
と緊迫感を感じることができるという寸法である。

 さて、それでは『ウォッチャーズ』の登場人物をグループ分けしてみよう。

主人公グループ
 トラヴィス(対テロリストチームにもいた元軍人:トラウマあり)
 ノーラ(絵画が趣味な女性:トラウマあり)
 アインシュタイン(逃亡した実験動物:原型は犬。賢く優しい)

悪役その1
 ヴィンセント(殺し屋:性格はかなり破綻している)

悪役その2
 〈アウトサイダー〉(逃亡した実験動物:原型はヒヒ。凶暴で狡猾)

追跡チーム
 レミュエル(国家安全保障局の支局長:アインシュタインと〈アウトサイダー〉
を追う)
 ウォルト(郡保安官:レミュエルと共に〈アウトサイダー〉を追う)

 他にもいろいろと登場人物はいるのだが、それは割愛する。

 まず主人公グループであるが、物語はトラヴィスが山歩きをしているところ
で犬(アインシュタイン)に出会う所から始まる。トラヴィスは親兄弟、戦友、
妻と次々に親しい人間の死を迎え、やる気をなくしたふぬけ状態であるが、犬
との交流で少しずつ自分を取り戻していく。
 一方のノーラも強圧的な叔母の下で閉塞した生活をしていたが、叔母の死を
迎え途方に暮れているところを悪漢に襲われる。しかし、そこへ犬とトラヴィ
スによる助けを受けて少しずつ心を開いていくようになる。
 このように、主人公グループは「犬:アインシュタイン」を中心に結びつき
を深めていく。この結びつきは下巻にかけてしだいに他のキャラクターも含め
て広がっていく。

 次にヴィンセントであるが、こちらはアインシュタインや〈アウトサイダー〉
の実験に関わった科学者を次々に殺害していく。
 とにかくオープニングに近い最初の登場場面で人を殺しておいて、殺した相
手に「ありがとう、ありがとう、ドクター」などと感謝のキスをするという、
えげつなさである。しかもその後の登場シーンでも度々、妊婦を殺す──つま
りその胎児も殺す──ことで自分は素晴らしい生命パワーを得られるなどと夢
想する。
 もちろん、お分かりかと思うが後にトラヴィスとノーラは結婚して赤ん坊が
ノーラのお腹にいる状況になるのである。読者としては気が気でならないわけ
だ。

 そして悪役扱いされるもう一方の〈アウトサイダー〉であるが、こちらは、
間接描写が中心である。つまり、襲われる側の視点で描くことで『何か分から
ない物に襲われる恐怖』を読者が感じられるようにしてある。
 しかしながら、一方で醜く凶暴で、誰からも忌み嫌われ、しかもその事を理
解する知性を与えられた実験動物の悲哀も描かれている。
 ここでも直接描写──〈アウトサイダー〉自身の内面描写をしていない点が
作品のポイントである。追跡チームが〈アウトサイダー〉の遺留品から、その
心を推測する様式を用い、情感を高めている。

 最後に追跡チーム、中でもレミュエル(レム)であるが、彼は全てを知る立場
にある。実験動物の計画や、その目的なども。
 その上で、彼はきわめて善良な人間でもある。読者は彼のアインシュタイン
追跡が失敗することを主人公たちのためにも祈るしかないが、決して彼自身を
嫌うことはできない。このへんのジレンマも良い感じで緊張を高めてくれる。
 また、善良で法を勝手に曲げたりしない人なので、殺し屋のヴィンセントや
〈アウトサイダー〉に遅れを取る展開にも納得がいく。

 こうして、物語はアインシュタインと主人公たちにどんどん収束していき、
最後のクライマックス、そして余韻の残るさっぱりとしたエンディングへと向
かう。

 気持ち良く読める逸品である。


銅大(あかがね だい):週末ライター
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> 勢力が外国の力を借りた地方政権として群居する、内戦の国と化した日本で
> 生きるありふれた人々は……。
> 【霙の街】                  http://kataribe.com/MM/
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ちょっと一言

 bk1 ( http://www.bk1.co.jp/ ) の開店記念の送料無料キャンペーンは、悪
魔のささやきである。ついつい欲しいものを買い物かごに入れて、安易に注文
してしまいます。恐い恐い。



いー・あーるの短詩劇場:斬


 本性を出せば出すほど ろくな影響与えない

 お前がお前でいるだけで、傷つく人がいる

 十年前と同じ指摘に 未だたじろぐ自分がいるけれども


 真正面から相手の泣き顔見据えること

 切り裂く相手から顔を背けぬこと

 自分が自分でありつづけることの代償を支払うこと


 立ち続けること

 畢竟 それだけのことなのだと思う




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	ユーモア道場 /  卍丸
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 該当MLにて発表した作品を順次掲載していきます。

 ** sfより **
 ショートショート系のサイトですね。さくっと楽しめます。
 裏イソップは、ありがちかも知れないけど楽しめました。
 アリとキリギリスは、最近だと類話が実際に売られていると聞いたような、
気もします……。(そも、もともとの伝承では夏も歌っていたんだから冬も歌
うことで食えてきなニュアンスが有るという説も聞いたことが)



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銅大の読書万歳:火神を盗め

作品名:『火神を盗め』
著者名:山田正紀
出版社:文春文庫/株式会社文藝春秋
ISBN :4-16-728403-0

 インドが中国との国境近くに建設した原子力発電所『火神(アグニ)』。

 難攻不落とか鉄壁とかを越えて、ほとんどパラノイアの域に達しているアグ
ニの警備網に引っかかった中国の諜報員が射殺される場面から、この物語は始
まる。

 そんな、その道のプロでも敵わないようなアグニに仕掛けられた謀略を不運
にも主人公である日本のサラリーマンが知ってしまう。

 もしも再びインドと中国が国境紛争を──1962年に一度やらかしている──
起こして中国軍がインドに侵攻したら、アグニを爆破させてあたり一帯を放射
能汚染させてしまおうというのだ。

 もちろん、こんな馬鹿な計画をインド政府がたてるはずもない。
 アグニ建設に力を貸したアメリカのCIA、それもごく一部の狂信的な連中
の仕業である。
 ここまでやるような連中が、謀略を知った日本のサラリーマンを放っておく
はずがない。謀略を『知ったかもしれない』というだけで、一緒に仕事をして
いた同僚は事故に見せかけて皆殺しにされてしまう。

 運良く助かった主人公は、決意する。

「アグニに潜入し、CIAが仕掛けた爆弾を除去するしかない」

 嫌がる会社を巻き込んで、主人公が編成したチームはというと──

 宴会でみせる芸だけがとりえの営業マン。
 英検1級合格ながら外人恐怖症で英語が喋れない経理課の万年係長。
 女好きで、女に騙され続けている社史編纂室の三枚目。

──なんかもう、ここまででダメダメな雰囲気が漂っているが、それも当然。
 会社は、この作戦を『失敗させるつもりで』できるだけ無能なメンバーを集
めたのだ。さらに、万が一にも生き残ったメンバーを処分させるためのお目付
役として、そういう会社の汚れ仕事を専門にする男を加えるという徹底ぶりで
ある。

 この。どうにもならない逆境の中で。
 それでも、知恵と勇気を振り絞って難攻不落のアグニに挑む。
 何が男たちをここまで頑張らせるのか。

 メンバーの中で一番さえない中年の万年係長は言う。

「今度、私のところに子供が生まれることになりましてね……」
「この話を受けたのも、最初は、家を買うための頭金をつくることが目的だっ
たんですよ。二間のアパートで子どもを育てるんじゃ、女房が可哀相だと思い
ましてね。私は甲斐性なしだが、せめて子どもだけは、ちゃんとした一軒家で
大きくしてやりたい、と……そんな望みを持ったものですからね。
 ですが、皆さんと一緒にいるうちに、少し考えが変わりました。私が生まれ
てくる子どものためにしてやれることは、何も家を買うだけがすべてじゃない。
それよりも……父親たる私が、何事かを成し得る人間であり、ときにはそのた
めに生命を賭すのも辞さない男であることを証明してやるほうが、子どもには
大切なんじゃないか、と……
 いや、子どものためだけにやるんじゃない。私に、この意気地のない私に、
本当に父親たる資格があるかどうか……そいつを自分自身に確かめてみたいん
ですよ」

 もはや、これに付け加えることは何もあるまい。
 男たちの『誇り』をかけた作戦は果たして成功するのか。
 本当に火神(アグニ)を盗むことはできるのか。

 そして、その結果は──
 ぜひ、ご自分の目で確認していただきたい。


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 詩とその返詩をやりとりすること、その他の話題が有りました。



いー・あーるの短詩劇場:斬・その弐


 難しいことではない

 そこから 動くな



文芸創作な一言:元ネタのある作品で鍛錬する

 気楽な問題提起や雑感、ノウハウなどを書いていく、コラムです。

 なにかネタもとがあって、そこからひねったりして作品を作るというのは。
なにもかも最初から書くのよりも、手軽だったりしますよね。既に有る印象を
利用できれば、書かなくても伝わったりしますし。
 いわゆるアニパロ系などの作品ってのは、そういう意味で書きやすい、敷居
が低いんでしょうね。
 これを古典をもとにすると、わりと文学っぽく見えたりするのが不思議なも
のです。便利ですねぇ。原作の著作権が切れていれば、権利上の問題も少ない
ですし。
 思考の訓練にもなりますから、試してみるのも良いことだと思います。

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 『ウンベルト・エーコの文体練習』なるものが出ていたので買ってしまいま
したが。……これって、SF関係で良くあるような冗談的な作品集なのね。
 書評シリーズが面白いな。『チャタレイ婦人の恋人』の道徳的でこどもにも
勧められるというやつとか、聖書をはじめとする古典を現代の作品として書評
したやつとか。
 ただまあ知識がないと楽しめないねぇ、私もわからんでピンとこないネタが
いろいろあるし。



いー・あーるの短詩劇場:世襲


 己が自尊心なぞ、砕かれて何が怖いものか、と

 そこまで自分を殺ぎ落とすことが出来れば本望


 未だに怒りの残る如く歩むべし




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	HNF /  神田川一
 ども、主に時代小説を書いている一です。
 前友達に小説を見せたら、「面白い!」と誉めてくれたので、HPを立ち上げ
てみました。しかし本人はギャグがやりたいのに、いつの間にかシリアスになっ
ていたりして……。
 もしよかったら覗いてみて下さい。では。

 ** sfより **
 軽いタッチの文体(のわりに人が良く死にますが)の剣劇小説、というところ
ですか。
 一話完結のオムニバス形式で、だんだんこなれて来ている様子が見えます。


	http://www.d5.dion.ne.jp/~itabashi/
	余暇学研究所 /  itabashi@d5.dion.ne.jp  板橋 三十郎
 秋の読書シーズン到来! 読む人のために小説を補充!
・ショートショート(×3)、短編(×2)の計五本。
・創作するハートを支援するつもりの『余暇日記』は迷走ぎみ。
 「ヒマだから読む」が合言葉。あなたの余暇に、活字をどうぞ。

 ** sfより **
 空の三部作は、そつなくまとまった青春小説ですね。ちょっとオムニバス風。
 「ぼくんちのパソコン」は、脳天直撃。イラストがあるといーかも。



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銅大の読書万歳:東大落城

作品名:『東大落城 安田講堂攻防七十二時間』
著者名:佐々淳行
出版社:文春文庫/株式会社文藝春秋
ISBN :4-16-756002-X

 1960年代。昭和30年代から40年代。
 日本には学生運動があった。

 この学生運動がいったい何を目的としていたのか。
 社会にとって、あるいは大学にとって学生運動とは何だったのか。

 いろいろと見方はあると思うが、本書では
「分別をわきまえないガキどもがお祭り気分で大騒ぎをやらかしている」
 という視点で描かれている。

 そりゃそうだ。著者の佐々淳行さんは警視庁警備部の、いわゆる『鎮圧する
側』の人なのだから。
 それゆえに。本書で書かれている内容をどこまで信用していいかについては、
何とも言えない。人間、意識して嘘をついてなくとも、書き方や情報を制御し
て読み手の受ける印象を変えることなどいくらでもある。

 だが、その点を踏まえておけば本書はなかなかに面白い作品である。

第一章:任命

 まず出だしが良い。公安部の、それもちょっと前まで外地にいた筆者が学生
運動で荒れる警備部に着任する。当然、生え抜きの警備の連中は「いったい何
様だ」て感じで筆者に相対する。

 当時、学生運動の鎮圧は直接どつきあいで処理していたが、これではいかに
訓練された警察の猛者といえど負傷する確率はかなり高い。そもそも、学生の
側に遠慮などないから人が大怪我をするような真似を平気でする。

 そこで筆者は催涙弾を使うアウト・レインジ戦法や、わざと逃げるふりをし
て伏兵を使って一網打尽にする俎戦法、薩摩が関ヶ原などでやってみせた捨伏
(すてがまり)などを指揮して負傷者を減らし、検挙の効率をあげてしだいに人
望を得ていく……点を間接的に書くからイヤミにならない。

第二章:出動

 日大を始めとして、大学紛争に機動隊に出動命令がくだる。
 ガス弾の大量使用に金や世論の点で実に官僚的に文句をつけてくる警察庁と
のやりとりや、マスコミ用の電話回線の敷設指示など、ちょっとした裏話が面
白い。

 そして、いよいよ東大での戦いの始まりである。

第三章:包囲

 東大内の拠点を包囲し、立てこもる学生との戦いの始まりである。
 また、ここでは笑えるというか情けないというか、紛争で右往左往する大学
教授たちの姿が描かれている。

「……建造物侵入や不退去の犯罪構成要件を欠くことになるじゃないですか。
先生は法学部長でしょう」
「私の専門は古代法の研究でして、現代法はよく知りません」

 その一方で、生徒たちに監禁されながらも

「安田講堂など東大封鎖解除のための機動隊要請に賛成。私の救出のための出
動、無用。只今、学生を教育中」

 と連絡メモをよこした東大の林文学部長の行動がかっこいい。

第四章:突入

 いよいよ突入である。
 しかし、どう考えても「相手に火炎瓶や硫酸を投げる」という学生の行動は
常識を欠いているというか、想像力が欠けているというか……

 筆者は「八千五百名の機動隊員たちには、それぞれ八千五百の物語や、人間
的な悩みがあったにちがいない」

 として、母親が危篤だが現場にとどまり、親の死に目にあえなかった機動隊
員や一緒に遊びたがる子供を置いて日曜休日もなく出動する機動隊員を紹介し
ている。

 そして、一方では東大の外の神田・お茶の水方面で過激派学生のゲバ闘争
が……

第五章:激闘

 二正面作戦を強いられながら奮闘する機動隊。
 一方の学生の方は「教育機関を崩壊させ、反動派がめざす戦争の道、すなわ
ち日米安保条約の改訂を粉砕すること」で、大学の本などを焚書しながら大騒
ぎ。
 さらに東大の教職員など野次馬が見物に訪れる。
 そら、他人の喧嘩ほど面白いものはないわな。

第六章:落城

 ほとんど攻城戦の様相を呈してくる安田講堂の攻防。
 木枠にジュラルミンの盾をはりつけた屋根をとりつけ、学生が上から投げ降
ろす石や火炎瓶を防ぎながら突入するなど、まさに攻城兵器の利用である。
 一方の学生側も都市ガスの栓を開いてガスを充満させるなど、すでに道理も
へったくれもない。
 火災が出て出動した消防隊が「うちは中立だから」などとお役所的な対応を
したり、“学生死亡”のデマが出たり、八千五百人の機動隊員にどう給食する
か悩んだりと、現場は大騒ぎである。

 そして、ついに安田講堂の落城。
 だが、まだ紛争は続く。

第七章:終熄

 神田学生街での騒ぎは、町中ということもあって、民間人も巻き込んで拡大
していく。
 機動隊も連戦で消耗し、補給物資(ガス弾など)も底をつき満身創痍。
 しかし、やがて『祭り』は終わる。
 実際、学生にとって学生運動など『祭り』でしかなかったのだろう。

 警視総監が、昭和天皇に参内して顛末を語ったとき、こうお答えがあったと
筆者は書く。

「双方に死者は出たか?」

 ない、と答えるとたいへん喜び

「ああ、それはなによりであった」と。

 機動隊と学生のやりとりを、まるで自分の子供たちの喧嘩のように見ておら
れたのだろう。
 なんとも昭和天皇らしい、お言葉である。


銅大(あかがね だい):週末ライター
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 野球ものについての話題などが出ました。



いー・あーるの短詩劇場:無題


 己が中に
 なあんの佳きものも見出せないときに

 ただ黙って空を見上げる




文芸創作な一言:欲望を胸に書こう

 気楽な問題提起や雑感、ノウハウなどを書いていく、コラムです。

 欲望。書いてみたい、それだけではない、欲望。
 小説に限らず、エッセイだろうと技術系の解説文であろうと。これが表現し
たいのだ、伝えたいのだ、やってみたかったんだん。ってな、欲望を胸に抱い
ているといないとでは。できは大違いですよね。
 安穏に「これが必要だから」「これを書くと良さそうだか」では、どうして
も自分を動かす力として弱いのかも知れない。
 ただ書きたい、ではなくて。〜が書きたい。自分にとっての書きたいものっ
てのは、なんなんだろうか。そのあたりは、気にしていたいものですね。


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発行者連絡先: sfこと古谷俊一<URL:mailto:sf@cre.ne.jp> ICQUIN: 6549565
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文芸広報:2000年09月19日号

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ちょっと一言

 発行の遅れている間に、銅大さんには続々と原稿を送ってきていただいてお
ります。凄いよねぇ。



いー・あーるの短詩劇場:信


 我信ず
 メシアの来ることを
 たとえその日が遅れてもなお

 そう歌いながら ガス室に進軍していった人々

 信ずる
 その言葉の
 戦慄するほどのつよさ



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 暗い内面を持っている方、なおかつそれを破壊したい方は、訪れてみてはど
うかなん。

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 基本的に詩集。ずいぶん沢山あります。



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銅大の読書万歳:ピニェルの振り子

作品名:『銀河博物誌1 ピニェルの振り子』
著者名:野尻抱介
出版社:ソノラマ文庫/株式会社朝日ソノラマ
ISBN :4-257-76887-8

 土の感触がする。

 この作品を読んで感じたのが、まずそれだった。
 私は大学時代、ワンダーフォーゲル部に所属し、山に登っていたことがある。
 日本アルプスのような格好いい所は登ってなくて、主に中国山地の山だ。林
道が整備されてればいいが、そうでない所は下生えはすごいわ見晴らしは悪い
わ、稜線が五つぐらいあって地図を読み間違えると大騒ぎだわで──楽しかっ
た。

 そして、足元には。土の感触があった。

 話が逸れた。
 異星人によって19世紀の英国人が宇宙に“移植”されてから1世紀。そこで
人々は自分たちなりの(19世紀風)の文明を築き上げていた。
 人々が移植された星は一つだけではなく、それらの星には様々な変わった生
態系と生き物があった。

 その中の星の一つ。ピニェル。海が広く、人が住む場所は常夏の星。
 主人公の少年、スタンは採集人。ピニェル特産の蝶を採集して、余所の星か
ら来た博物学者に売って生活している。

 そして少年の前に現れた不思議な少女、モニカ。
 何を見ているのか。何を感じているのか。
 スタンは少女に一目惚れして、宇宙船に密航してまでその後を追いかけてし
まう。

 その際のどたばたで、彼らはピニェルを取り巻くリングとそこに住む生物の
謎に行き当たってしまう。
 地質学的にはあっという間に消えてしまうはずのリング。
 なぜ、それがピニェルを取り巻いているのか。
 なぜ、そこに生物が住んでいるのか。

 そして、オープニングで語られる博物学狂いの伯爵の

「ピニェルのものはすべて高騰する。なぜなら──あそこはじきに滅ぶんだ」

 というセリフの意味は。

 謎を残したまま、スタンは行きがかり上、モニカの助手としてピニェルの生
物を手当たりしだいに採取する羽目になる。

 ここで思い出して欲しい。この作品世界は19世紀風の文明レベルと宇宙旅行
とが組み合わさっていることを。
 宇宙船を動かすのだって、水夫が係留索を放り、六分儀で天測し、計算尺を
駆使する世界なのだ。
 生き物を採取し、調べるのだって、手探りである。

 しかし、物語が進むにつれ、謎はさらに大きくなる。

 常夏の地に生えた大木に刻まれた、飛び飛びの年輪。
 寒い所に置くとすぐに栄養体が乳化する種子。
 事故で不時着した北極冠で、冬眠したほ乳類。
 そして、新しく夜空に誕生した星。

 すべての謎が、ピニェルの『振り子』へと収斂していく。


 19世紀。
 博物学の黄金時代。
 人々は未知の世界に、自分たちの五感を使って手探りで進んでいった。
 TVやネットワーク、書物を通してではなく。
 だからなのだろう。

 私がこの本を読んで、土の感触を感じたのは。


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いー・あーるの短詩劇場:証明


 つらいーっと机をぶっ叩いているときが

 未来から見れば一番幸福だ と


 知っていたりするんだよな 本当は




掲示板より

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	創作小説座談会
 などより、最近の内容について。

	http://www.mahoroba.ne.jp/~furutani/crenovel/CR_N_RON.html
	創作論
 書く気満々モードになるための方法は? というネタ振りをしてみました。
 やる気のある状態、書き出した状態にもって行くというのは大切ですよね。
乗り気な時にはバリバリと数百行書けてしまうものです。しかし、いつもそう
いう気分になれるかというと、そうでもないわけで。そのあたりが難しい。 
 わたしは
・気乗りするまで資料を読み漁って充電する 
・やる気になるまで別の作業をしてみる 
・チャットで騒いでみる 
・毎日の〆切を意識し、みじかいもので仕上げられるようにする 
 あたりの方法を取っていますが。いかんせん、効率がよろしくないのですよ
ね。みなさんは、自分の書く気を乗せるために、どんな工夫や儀式を持ってお
られますでしょうか。



文芸創作な一言:削っていこう

 気楽な問題提起や雑感、ノウハウなどを書いていく、コラムです。

 ユーザビリティ(使いやすさ)についての知見によれば。WWWに置いては、短く
まとまった文章が望まれているということです。
 良くいわれていることですが、もしあなたがなにかを書いた時には。これを
どう削れるか、を考えるというのもたいせつなことですよね。
 むろん伝達するのに十分なだけの分量は必要ですから、自分にしかわからな
いような削りかたにならないように気をつける必要はありますが。
 典型的な方法としては。形容詞を削る、ぼやかす表現を削る、あたりが手軽
でしょうか。気をつけていきたいところですね。


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> 電劇ネットにゲスト(SAIB0000)でログインしてもリレー小説閲覧できます。
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> インターネット上に広く存在するオンライン小説のホームページから新作の
> 情報をまとめてお送りします。月一程度の特集記事では、独自の切り口でオ
> ンライン小説の紹介を行なっています。                毎週金曜日発行。
>                         http://www02.so-net.ne.jp/~inai-yo/magazine/
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ちょっと一言

 これで、ようやっと発行の遅れが取り戻せたかな。



いー・あーるの短詩劇場:増上慢


 自分の保身のためになど下げぬ頭 と言えば尤らしいけど

 何故かそういう頭って 他人のためにはなお下がらない



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	今夜はあなただけ…… /  橘
 CGイラスト付き恋愛小説が楽しめる大人向けページです。
 愛しい人と心も体も一つになる幸福を書いています。
 愛ある行為は最高の快感。今夜はあなたを癒します。


 ** sfより **
 いわゆる18禁な内容もあるとこです。楽しんでかいてるような雰囲気が伝わっ
てきます。
 完結している長編は、重いシーンも含めて、全体としてなんかとってもあっけ
らかんとした印象。一般小説の昔のキャンパスもの系な感じかも知れません。



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銅大の読書万歳:燃えよ剣

作品名:『燃えよ剣』
著者名:司馬遼太郎
出版社:文藝春秋/株式会社文藝春秋

 局中法度書というものがある。

 一、士道に背くまじきこと。
 一、局を脱することを許さず。

 この調子で五箇条が作られ、いずれも破った場合は切腹。
 苛烈というか何というか。少なくとも徳川三〇〇年の泰平の世の中の武士か
ら生まれてくる発想ではない。
 だが、この鉄の規律に従って幕末の京の町を駆け抜けた男たちが確かにいた
のだ。

 新撰組。

 この物語はその新撰組の副長、土方歳三を主人公としている。
 土方の生まれは武士ではない。多摩の農民で田舎剣士だ。それが相棒の近藤
勇と共に京の都に出て、政情不安定な中で治安活動を行う。
 裏切り、裏切られ、さらに維新志士たちとの命のやりとりの中で、新撰組の
組織は峻厳な物にならざるを得なかったのだろう。

 だが、そこには土方の夢が託されていたのも事実だ。
 武士よりも、武士らしく。最後の最後まで戦い続ける武士(もののふ)として
在りたいという。

 土方の願い通り、新撰組は戦って戦って、戦い抜いた。
 そして、負けた。

 負けたことに土方は悔いを抱いていない。生きていればやり返す機会もある。
 まさに敢闘精神の塊のような男である。
 だが、相棒の近藤勇はそうではなかった。子供の頃から一緒であった彼らは
敗走の中で別れる。近藤は死が待っていると分かっていても、賊軍にはなれな
かった。
 ここは私が一番好きな場面である。

「だから歳」
 近藤はいった。
「おめえは、おめえの道をゆけ。おれはおれの道をゆく。ここで別れよう」
「別れねえ。連れてゆく」
 歳三は近藤の利き腕をつかんだ。松の下枝のようにたくましかった。
 ふってもぎはなつかと思ったが近藤は意外にも歳三のその手を撫でた。
「世話になった」
「おいっ」
「歳、自由にさせてくれ。お前は新撰組を作った。その組織の長であるおれを
も作った。京にいた近藤勇は、いま思えばあれはおれじゃなさそうな気がする。
もう解きはなって、自由にさせてくれ」

 親友と別れ。負け戦と分かっていても東北で、そして北海道で土方は戦い続
ける。
 自分の生き方を、まっとうせんがために。
 そしてついに北海道の五稜郭でも負けが確定し、上の連中が降伏の算段をつ
けている頃、土方は最後の出撃に出る。
 堂々と、官軍の前に。
 あまりに堂々としているので敵かどうか分からず、官軍は誰何する。
 土方は少し考える。本来なら、その時の彼は函館政府の陸軍奉行である。
 そして、答える。

「新撰組副長土方歳三」

 最後の最後まで、己の道を歩き続けた男だった。


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いー・あーるの短詩劇場:正義


 正義って匕首に似てる

 怖いとか狂気とか 色々言われるけれども
 もともと自分の喉元に突き付けるべきもの

 ……使用法に注意しましょう



文芸創作な一言:皮膚感覚を生かそう

 気楽な問題提起や雑感、ノウハウなどを書いていく、コラムです。

 小説の描写などで、ついつい見た目だけを描いてしまうというのは、良くあ
ることかと思います。
 しかし、実感させる、実在感を高める、感情移入させるためには。それだけ
でない、いろいろなものも工夫できます。そう、例えば皮膚感覚。
 肌をなでる湿気った重い風。濡れて皮膚に張りつく服の重み。正座を解いた
時の無感覚と足が膨らんでいるような違和感。こんな身近なものを使うだけで、
小説のなかの人物を、生きた存在と感じさせることができるわけですね。

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>                                       TRPG語り部による共同創作実践中
>  読むだけの人も大歓迎。でも、読んでるうちに参加したくなるかもね☆ミ
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文芸広報:語り部七周年

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>       ◎●◎ あなたの原稿・アイディアを本にします!! ◎●◎
> 文芸社は、あなたの原稿を本にします。 本屋さんに並べます。 原稿がない
> 方や未完成の方、書いても筆が進まない方には、当社が独自に開発した執筆
> メソッド(特許出願中)をご紹介します。 ジャンルは問いません。
>  Mail: kawahatsu@bungeisha.co.jp HP: http://www.bungeisha.co.jp/
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本号について

 出しわすれていた17日の号外です。
 現在も毎日、一日中活動の続いている、共同創作企画でもある"語り部"の、
七周年の記念号です。
 継続できるオンライン創作コミュニティの、最大の事例のひとつだと思いま
す。


語り部七周年

 はやいものです。TRPGとしての語り部が、語り部と仮称されてパソコン通信
で公開されたのが1993年。もう七周年となりました。
 9月17日は、語り部と命名されてパソコン通信上に公開されて七周年、イン
ターネットのrpg-mlなどで『狭間ではじめる語り部スターティングガイド』が
公開されて六周年、KATARIBE.COMのサーバが手元に移転されて一周年となりま
す。
 事実上の語り部の誕生日ですね。



語り部って何だろう

 語り部は、もともとは汎用のTRPGルールです。各種世界設定とそのキャラク
ターを表現できるだけでなく、プレイスタイルやゲーム運用を含めた記述能力
を目指しています。(まあ目標としては、ですが)
 しかしそれだけでなく、TRPGとしての顔以外にも、世界設定と遊びかたのセッ
トでのゲームシステムとしての顔、共同創作的に物語と世界を積み上げて行く
コミュニティツールとしての顔などを持つ、新世代の共創環境の提供も目指し
ています。 (現在も稼動しつづけているオンライン創作系企画としては、私の
知るかぎりでは最古です)

 キャラクターは、能力や特性にイメージごとに決められた数値を、数値の上
限の範囲内で書くだけで作成可能です。ポイント割り振り制でないため、イメー
ジ・設定を素直にデータとして記述でき、そのデータをゲーム途中で直したり
さえできます。そのため、イメージ通りのキャラクターを安全に作成すること
や、だいじな部分だけ作成してあとはキャンペーンが進むにつれてプレイ中の
設定をデータに反映するなどが容易にできます。
 行為判定はひじょうに抽象度の高いもので、余力という消耗ポイントの消費
の勘案や、PCの行動の難しさと効果の大きさのどちらをどの程度優先するかを
プレイヤーが決定すことができる一般判定で、戦闘と交渉その他の判定を統一
的にゲームとして扱いやすくなっています。

 製作当時には革新的だったと思いますが、さすがに古くなってる・追いつか
れているところも多いですし。いまの知識からは色々と作りなおしたいところ
もあるわけですが……。気長にお待ちください。いろいろと、案だけはあるん
ですけどね。


語り部の公式活動場所

 オンラインコミュニティとしての語り部は、TRPG.NETによりそう……という
か、TRPG.NETの母体でした。掲示板などのサービスそのほかにしても、まず語
り部のほうで必要性があって実装・試験され、それが流用されるという経緯を
たどることは、今でも良くあります。
 しかしまあ、今ではコミュニティ自体は、TRPG.NETの掲示板群などど部分的
には重複するものの、かなり独立した、隠れた勢力になっています。ただし、
隠れてはいるとはいえ、その分量はいまもTRPG.NETの全体に匹敵するとさえ、
いうことができます。

	http://kataribe.com/
	語り部総本部
 これがメインのページです。完成版や資料その他を掲載してます。テキスト
メインで百メガ以上。じつはTRPG.NETのユーザページを除いたものよりも多かっ
たりします。

 そして。語り部コミュニティの活動は、以下のような三本の柱からなってい
ます。暇な時にでも、面白そうな内容があれば覗いてみるのも良いかもしれま
せん。

	http://kataribe.com/ML/
	語り部メーリングリスト
 二万メールを越えたメーリングリスト。百行・二百行のメールは平気で流れ
ます。さすがに千行行くと長いかなという気はしますが。今月はかなり低調で
すけどね。それでも、私の知るかぎりTRPG系ではもっとも盛んなメーリングリ
ストです。
 創作物、IRCログを整理したもの、設定の検討、TRPG一般にからんだものも
含めたデザイン論などが流れております。
 ここで流れた内容をもとに完成版を作成することになっているのですが、あ
まりに多いので、現状では進行管理が不足し、情報を探すことが困難になるな
どの問題を抱えています。

	http://kataribe.com/IRC/
	語り部関連IRCチャンネル
 #kataribe をはじめとした語り部の主要チャンネルは、ログが自動公開され
ています。そのログからまとまった内容が整理され、メーリングリストになが
されてもいます(いささか、滞っていたりもしますが)。
 一日中ひとがいる、ログの分量、という点では、TRPG.NETの顔というべき、
#TRPG もかないません。

	http://www.mahoroba.ne.jp/cgi-bin/user-cgi/~furutani/new_list.pl
	語り部メーリングリスト自動生成過去ログ
 ML on Web などとも呼ばれています。ようするに掲示板とメーリングリスト
の内容をWWWから読み、さらに投稿もできるというものです。
 情報の氾濫に対処し、過去の情報の価値を向上するためのしかけを加えた、
次期 ML on Web を検討しています。TRPG.NET次世代掲示板として構想されて
いるもののプロトタイプでもあるので、さっさと片づけたいところです。



語り部簡単年表


1993年 語り部の原型ルールと、とりあえずの公開版作成。
1994年 公開配布版の作成と各所のパソコン通信ホストでの配布。
    サポートパソコン通信ホストの開設
    『狭間による語り部スターティングガイド』の印刷版を百部配布
1995年 「キャラ化によるエピソード作成」開始。現時点で千数百話の話が作
    成されている。
    語り部サポート電子雑誌「語り部通信」創刊
1996年 0.3x系列公開。現行のもの。
    語り部ホームページ開設
    サポートメールニュースとして「語り部日報」創刊
1997年 語り部メーリングリスト開設、徐々にパソコン通信からの移動開始
    PackWinに掲載開始
    KATARIBE.COM で語り部総本部開設
1998年 irc.trpg.net に #kataribe をはじめとする語り部関連チャンネルが
    作成され、活況を呈す
1999年 オフィシャルサイドの関与しない語り部同人誌がコミケで売られるな
    ど、あちこちでご利用いただいている模様。
2000年 のんびり継続中。




記念更新:語り部公開IRCログ最新情報

	http://kataribe.com/IRC/now.shtml
	語り部公開IRCログ最新情報
 ログ自動公開のチャンネルのログのうち最近の10発言を掲載するようにしま
した。
 同様に良く動くチャンネルについては、50発言表示も用意してあります。ロ
グをずらずら読むよりは軽いので、IRCウォッチングに最適。ご活用ください。


 同様のサービスをTRPG.NETのIRCログ公開サービスでもできるようにする予
定があります。欲しいかたはご相談ください。
 あとはCGIからの書き込み機能があれば、HTTPしか通らないひとがIRCにちょ
い書きなんかもできるようになりますが……。


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> 創作文芸情報告知メールマガジン 文芸広報 では、あなたの創作文芸系の
> ページや作品の五行宣伝を募集中です。毎号順番に数個、このようにメール
> 内に挿入します。形式は一行は70桁(ただし先頭二桁は引用符と空白を入れ
> る)と考えて五行です。商品・商店の広告も可能です。
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す。たんにこのメールにたいして返信するだけで、感想などを書くことが可能
です。
 なお、当メールマガジンの内容は出典を明記すれば、引用は当然自由ですの
でご活用いただければ幸いです。

創刊: 1997年07月15日 発行間隔: 毎週火金曜日予定  X-Mag2Id: 0000000405
前回の発行部数: 561部
情報源とログ: 文芸広報    <URL:http://www.cre.jp/writing/maga/BK/>
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企画・制作: 電網工房・匠 (sfこと古谷俊一) <URL:http://www.koubou.com>
発行者連絡先: sfこと古谷俊一<URL:mailto:sf@cre.ne.jp> ICQUIN: 6549565
配送: インターネットの本屋さん『まぐまぐ』 <URL:http://www.mag2.com/>
文書フォーマット: setext 準拠 <URL:http://www.age.ne.jp/x/sf/SETEXT/>



文芸広報:2000年09月26日号

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 情報の山の中に埋もれた創作文芸物を発掘し、読むことを楽しみたい人々へ
の指針となることを目的とする、オンライン創作文芸の宣伝告知サービスです。
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用の共同創作、詩などを取り扱っていきます。


ちょっと一言

 ウチに来た人は知っているであろう、部屋に居る老猫(16歳)のラヤ君は、慢
性腎不全の公算が高いようです。大事にしてやらんとなぁ。



いー・あーるの短詩劇場:漸進


 まいぺーすで歩く権利はもしかして自分には無いかもしれない

 多分あるのは まいぺーすで走りつづける権利だけ


 行け



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 今回掲載されたかたでも、個別の作品についてや更新情報などを再度登録し
た場合にも、ちゃんと告知させていただきます。最初はページ全体の告知で良
いわけですが、新着小説ができるたびに告知していっていただけますと読み手
にも書き手にも便利だと思われまから。
 ページ全体に関する宣伝を継続的に掲載したい場合には、順繰り載せる予定
の五行広告という手もありますので、 sf@cre.ne.jp までお問い合わせくださ
いませ。


	http://www.cre.jp/user/ER/
	いー・あーるのホームページ / E.R
 自分の好きな音楽について、力説するタイプの人間っていますよね。
 ……某高校の妙な女子高生達の風景、「火焔姫〜亜沙子の場合」更新しまし
た。宜しければ、どうぞ。

 ** sfより **
 音楽を良く知らない私には、分かりにくいとこもありましたが。時間を曲を
何回分って表現するのは、面白いですね。なんとなく体感的。



文章研鑚メーリングリストのご案内

 読みたくなる文章を書くための修行の場、読みたくなる文章を書くための方
法論の検討の場をもうけ、インターネット上における文章技術、とくに創作小
説の技術向上を図るために設立しました。

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 に案内文や規約・ログがおいてあります。
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 と書いてメールを出せば、参加できます。メールに題名は不要です。



銅大の読書万歳:猫の地球儀

作品名:『猫の地球儀:焔の章』『猫の地球儀2:幽の章』
著者名:秋山瑞人
出版社:電撃文庫/株式会社メディアワークス
ISBN :4-8402-1388-7/4-8402-1487-5

 著者は、筆達者な人である。
 電撃文庫の中では、いや同じ角川系列の富士見やスニーカー文庫などの中で
も構成、文章力、いずれもトップクラスの物書きであろう。
 その上で知りたい。

 「楽の章」はどこへ消えた?

 この小説の舞台となっているのは遙かな未来。
 人類は(たぶん)滅び。軌道上のラグランジュポイントに残された宇宙コロ
ニーには、(たぶん)遺伝子改造で知性化された猫たちが住んでいる。
 猫たちは電波信号を発するヒゲを持ち、それを使って機械やロボットを動か
し、独自の文化・文明を維持している。

 その中でも独特なのが宗教だ。
 猫たちの宗教によると死んだら魂は夜空に浮かぶ「地球儀」へ行く。いわば、
地球は聖地、天国なのである。

 そんな世界にいる一匹の猫。
 聖地へ、「生きたまま」行きたいなどとぬかすバカタレ。それがスカイウォー
カーと呼ばれる猫。坊主どもに見つかったら即、異端として抹殺である。その
37番目が幽(かすか)という黒猫。天才で。天才すぎて。猫たちの宗教のおかし
いところにまで気づいてしまう。
 彼の夢は、36番目までのスカイウォーカーの夢を引き継いで、地球儀へ行く
事。

 そしてもう一匹の猫。
 猫たちの娯楽でもある決闘──スパイラルダイブ──で勝ち続けてきた闘士、
焔(ほむら)。
 こちらは白い猫である。やはり天才で、勝って勝って、勝ち続けて、とうと
う闘士の中でも最高位にまでたどりついてしまう。
 彼の夢は強い敵と、全力で戦う事。

 どちらの夢もたいへん難儀である。
 そしてどちらの夢も、完全に自分の中に閉じてしまっている。仲間は、いな
い。
 さびしい話だが、夢とは本来そういう物なのかも知れない。

 だがここにもう一匹の猫。
 映画のフィルム缶を抱え、『映写機』なるものを探している猫、楽(かぐら)。
 焔の大ファンで、いつも彼についてまわる。
 幽にも会い、友達になってやろうと言う。
 楽にも夢がある。『映写機』を手に入れ、「活動」をみんなで見ること。
 それはそうだ。映画は娯楽だから。
 みんなで見る、「夢」なのだから。

 だからこそ、私としては不思議でしかたがない。

 夢が閉じてしまって、深みにはまってしまって、そこから抜け出せない幽と
焔。
 たとえ夢がかなったとしても、この二匹に未来はない。
 だが、それを助けられるかも知れない。それが無理でも未来へとつなげられ
るかも知れない楽は。「楽の章」は。

 ない。

 最初に述べたように、秋山さんは作家として優れた人である。『猫の地球儀』
をまだ読んでいない人がいたら、私はぜひ一読をお薦めする。読んで損はない
作品である。

 だが、それゆえにこそ。無い物ねだりと分かっていても。
 私としては夢想せざるを得ない。
 「楽の章」があれば、どうだったろうかと。

銅大(あかがね・だい):週末ライター     mailto:akagane@mb.infoweb.ne.jp
著者ページ: 銅大のRPGてんやわんや    http://www.trpg.net/user/akagane/



TRPG.NET IRCサーバ #もの書き のご案内

 文章を書くことについて、いろいろと語りあう場所として、
	http://www.trpg.net/talk/IRC/
 に解説があります、 irc.trpg.net の独立IRCサーバ上に #もの書き という
チャンネルを常設しております。
	http://www.cre.jp/writing/IRC/write/
 よりログが自動公開されております。
 お気軽にご参加ください。

 タイポグラフィ、その他の話題がでました。



いー・あーるの短詩劇場:Sin


 我が罪は常に我が目の前に在り
 けれども生きることは止められない

 …………単純。



文芸創作な一言:不便な能力者

 気楽な問題提起や雑感、ノウハウなどを書いていく、コラムです。

 ファンタジーだのSFだの超伝奇アクションだので、主人公に便利過ぎる能力
を与えてしまうことが良くあります。これは、それはそれで痛快かも知れませ
んが。話づくり的には、あまり上手くない手なんですよね。
 融通の利かない能力をどうあつかうか。それを考えていくことからは。葛藤
や、難題や苦境や、工夫や思いがけない発想が出てきやすいし、具体的に描写
しやすいんですよね。
 たとえば「午前三時ちょうどに目が覚める」とかでも、具体的な制限をつか
えば、いろいろと話ができますよね。

> -【宣伝】-----------------------------------------------------------
> TRPG専門の日刊ニュースメールサービス 語り部日報
>
> 毎日、TRPG汎用の各種情報提供を行うと同時に、創作TRPG語り部についての
> サポートを提供します。(TRPG.NET提供)                      姉妹誌案内
> http://kataribe.com/KN/                          語り部日報 HomePage
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前回の発行部数: 560部
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文芸広報:2000年09月29日号

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> 想像力、あまっていませんか? |  大好きな小説の登場人物といっしょに
>                | 活躍したい、自分の夢見る世界でみんな
>  もうひとつの世界への扉   | と楽みたい、そんなあなたに送りたい。
>  「語り部」が提供します   |『ほんとうのRPG、試してみませんか?』
> http://kataribe.com/                                    語り部総本部
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ちょっと一言

 猫が点滴や薬で目に見えて回復するのを見ると。つれていってやってよかっ
たなあ、と再認識。



いー・あーるの短詩劇場:Miss you


 そう思った人なら たくさんいた

 もう名前さえ忘れたけど



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	ほんふぁん /  ほんふぁん
 本当のファンタジー小説をあなたに。
 気楽に、楽しい物語を読むことができます。
 ファンタジーと言っても、一般的な中世を舞台にした冒険小説ではありませ
ん。現代を舞台にしたリアルな物語をお楽しみください。

 ** sfより **
 いまのところは図書館は神話伝承についてのエッセイなどが中心のようです。
なぜか博物館のほうに、創作がありますね。スケッチ風のみじかい話です。




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銅大の読書万歳:探偵はバーにいる

作品名:『探偵はバーにいる』
著者名:東 直巳(あずま なおみ)
出版社:ハヤカワ文庫/株式会社早川書房
ISBN :4-15-030521-8

 ちょっと昔、風俗営業法が変わる前、「ソープランド」が「トルコ」と呼ば
れ、エイズがアメリカのホモだけが罹る原因不明の奇病だった頃、俺はススキ
ノでぶらぶらしていた。

 本書は、この出だしで始まる。
 主人公は〈俺〉。名前は登場しない。
 何をやっているかというと、まぁ、何でも屋である。ススキノのような繁華
街であれば日本中どこでもそうであるようにいろいろともめ事のタネはつきな
い。
 酔客が暴れたり、ツケを払わない客がいたり。誰かが突然行方をくらました
り。

 そういう所に、〈俺〉は現れる。そしてもめ事を解決する。

 解決には腕っ節(それほど強くはない。弱くもないが)も使うが、どちらか
というとススキノをぶらぶらしながら身につけたコネと、口車を使う。
 もちろん法律を遵守したりはしない。嘘だってつく。実は友人たちと麻薬を
作って売ってたりもする。お調子者で女には弱い。小悪党である。

 だが、自分の中にある『ルール』には忠実な男だ。

 もちろん、その『ルール』が明文化されているわけじゃない。〈俺〉が偉そ
うに過去やら蘊蓄を語ったりするわけじゃない。
 読者に『こいつはルールを守る男だ』と思わせるのはその行動なのだ。

 ここがポイントなのだ。特にハードボイルド系の主人公は。語ってはいけな
い。
 そうすると、とたんに安っぽくなる。

 だから〈俺〉はススキノをいったりきたりして。
 真相に近づいたり遠のいたりして。
 だが、決して諦めることなく。

 そして今宵も。札幌の繁華街ススキノで。
 探偵は、バーにいる。


銅大(あかがね・だい):週末ライター     mailto:akagane@mb.infoweb.ne.jp
著者ページ: 銅大のRPGてんやわんや    http://www.trpg.net/user/akagane/



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いー・あーるの短詩劇場:続・親愛なる友へ


 今日

 貴方を裏切ったことを思い出しました



文芸創作な一言:題名を異化する

 気楽な問題提起や雑感、ノウハウなどを書いていく、コラムです。

 なにかありがちな題名、そのへんの本の題名を取ってきて。部分的に違和感
のあるものにすげ替えることで、発想の沸いてくるような題名を作成する、と
いう発想訓練法があります。
 ぱぱぱーっと思いつくままに。『憂食の日々』『ダイナマイトハンドブック』
『続・地底人生活事情』『生涯最後の馬券売り場』『空の果てのオークション』
『新人即売会』『恋人には名字がない』『Windowsはあたしの恩人』『竜肉100g』
『電話とヨーグルトのキ・ケ・ンな関係』『明日は殺し屋になろう』……。
 なんとなく、妙な話のネタが浮かんできませんか?
 試しに、てじかな本を材料にして、十個、二十個と作ってみて。気にいった
ものでショートショートでも作ってみるというのも、面白いかと思います。

> -【宣伝】-----------------------------------------------------------
>    ◆◆小説界のKOF98、鉄拳3「5KBのゴングショー」◆◆
> 投稿小説対決コーナーゴングショーはサイトのTOPに対戦2作品の冒頭を
> 載せ、読者が読んだ数と投票した数でポイントを競います。
> 詳しくは下記URLで。
>             http://www.asahi-net.or.jp/~ZL7Y-AOK/gong.htm
> --------------------------------------------------------------------

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創刊: 1997年07月15日 発行間隔: 毎週火金曜日予定  X-Mag2Id: 0000000405
前回の発行部数: 560部
情報源とログ: 文芸広報    <URL:http://www.cre.jp/writing/maga/BK/>
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企画・制作: 電網工房・匠 (sfこと古谷俊一) <URL:http://www.koubou.com>
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