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斎藤梓さんによりますお題もの書き2004年08月テーマ企画「終戦」参加作品です。
ヒュンッ 軽く風を切る音。奴の武器が迫る。 音と気配を読み、半歩下がって避ける。 紙一重の見切り、ってヤツだ。 反動を利用し、深く踏み込み、奴の顔面に必殺の一撃を加える。 ……いや、浅い。手応えが軽い。 視線を向けると、奴は地に伏せている。 体勢を整える暇を与えてなるものか。 俺は一気に躍りかかり、奴の上に覆い被さる。 一転、二転、三転。 上下入れ替わりながらの格闘戦。 こういう時、俺と奴の戦い方は同じだ。 両腕で相手を押さえつけ、蹴りを入れる。 同じだからこそ、より強きモノが勝つのだ。 数度の後、俺はついに両脚で奴を押さえつけた。 パンチを叩き込むチャンスだ。 ここぞとばかりに数発を撃ち込む。 よし、綺麗に入った! 勝利を確信しかけたその時。 不意に、俺達は戦いを止めねばならない事態に陥った。 「トラ、ミケ、ごはんよー」 「にゃ〜ん」 おなかいっぱい。 奴はもう寝てる。 わーい。丁度いい枕だー。 ……あれ? さっきなんかやってたような…… ま、いいか。