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Date: Thu, 15 Nov 2001 19:47:01 +0900
From: Hiroto Matsuura <matsu@aeslab.energy.osakafu-u.ac.jp>
Subject: [PR-J 01451] PR-TB 91
To: PR-J@cre.ne.jp
Message-Id: <10111151047.AA05073@157.16.1.71.aeslab.energy.osakafu-u.ac.jp>
X-Mail-Count: 01451

河内のhiroこと松浦です。


まずは、ある手紙の直訳から。

「親愛なるパパへ。
あなたがこの手紙を読む頃、僕はテラニアからすでに何パーセクも離れ、
かなりの時間が経ってからでしょう。信じて下さい、あなたや家族や
親しい友人たちに別れも告げないこんな非人道な冷たい態度、その事だけが
気がかりです。けれどもそうするだけの理由があるのです。僕があなたに
説明すれば、おそらく分かってもらえる理由が。それを話す前に、
僕は告白せねばなりません。あなたに対面し僕の計画を明らかにすることを
恐れていたことを。そのためにこの手紙を書く決心をしたのです。
僕は僕の計画の必要性を確信し、あたたもまた、男と男の間の会話で
僕の理由が納得いくものであると確信できるでしょう。それでも僕が
そうしなかったのは、あなたの反論を恐れあなたの説得術を怖がって
いたからです。これを最後にあなたの庇護をきっぱり断つという僕の決心は
かなり前から固まっていたので、心変わりするようなリスクを避けようと
したのです。わかってください、パパ。

きっとあなたも、なぜ僕が家を出て銀河系のどこかに姿を隠したのかを
わかってくれるでしょう。僕は確信しています、僕が経済的に自立するすべを
学ばなければならないことを。あなたとママが僕にとって決して権力家ではなく、
誠実に世話をしてくれた両親であったことが僕に個人的な自由が欠けること
にはならないとあなたは言うでしょう、なるほどポジティブな考えで。
それにもかかわらず、僕は窮屈で、僕の個性を発揮できないと感じていました。
あたたとママに対してではなく、ともかくも僕が大執政官の息子であること
に対して。人が大執政官とあなたの息子としての僕を比較したとき、
ひょっとしたらあらゆることがうまく行くのかもしれません。もし人々が
僕を非難するなら一種の競争が起こるでしょう。けれども、僕の野心を単に
鼓舞するつもりではありません。全く逆に、僕の野心は押さえて、もしも批判が
許されていても、そこに人々が称賛を与えるでしょう。僕の上にはいつも、
天の河銀河のもっとも有名な男の息子であるという呪いがかかっています。
これまで僕はそのことに甘んじてきたと思いますが、今や時は来て、僕は決心を
しました。僕はどちらかを選ばねばならない岐路に立っています。一つは
太陽系帝国の中で確保された地位を受け取り、あなたの影に立つこと。
あるいはもう一つは僕自身の道を進み、自身の能力から何かを生み出すことを
試みること。僕はこの2番目の道を選びました。

この道は辛く、僕は数多くの障害を取り除かねばならないでしょう。そうして
ひょっとすると克服できないかもしれません。よく解っています。というのは、
僕は長い間あらゆることに熟考し、たえず自分自身と格闘していたのです。
このことは、僕が自主的に考えることを学んだ時点からすでに思いついていました。
その時からすでに、もし僕が才能を萎縮させないならば、何か決定的なことを
やらねばならないと解っていました。あなたも解るでしょう。昔の生活に
に背を向けると言う僕の決心が偶然生まれたものでは無いということを。
それは僕の中では偶発的なものではなく、十分熟慮されたものなのです。僕は
匿名の人物として隠遁し、別の名前の元で僕の道を歩んでいこうと思います。
もし、あなたの才能の一端でも受け継いでいたら、僕の将来に心配することは
ないのですが。そして、そのことはあなたにも解らないでしょう。

最後に、どうか僕の行動を許してください。僕は、それがどのように
続くか、そして僕が何をすることになるのか正確には知らないのです。でも
一つだけはっきりしています。僕はローダンという名前に恥じることはしま
せん。それは約束します。

心からよろしく

マイク
」

この手紙(なぜか原書2003話に再掲される)は第150巻後半のM87サイクル
冒頭でローダンが言及した息子マイクルの家出の際の置き手紙です。
ポケットブックの91話はこれをプロローグとしたロワ・ダントン誕生
秘話です。本文は19の章に細分され、私のように眺める(決して読む
ではない)だけの人間には比較的楽。
以下は各章の内容を忘備録代わりに書き出したメモです。



テラニアを出発したマイクルは妹スーザン夫婦の手引きでトリクトン星系
第3惑星でスプリンガー、ラルチン・プリンスクの船<プリンスクアナ>
で会見し、自由商人についての情報を得る。

自由商人のフィリップ・ボシック、マイクルのガールフレンド?、リミナと
共に<ホーンブローワー>で登場。

リミナが死亡し、マイクルはボシックに叱咤される。

自由商人の貴族クライヨロンと雑談。その際に仮面のことに言及。
(現在7章まで見たけど、どうもマイケル、自由商人の友達が多すぎる。
クライヨロンに対しては、「海賊」だの「偽商人」だのと
軽口をたたいているほど・・・。早川版の本編に登場したとき
正体を知っているのはマストだけというシチュエーションと
どう結びつくのだろうか?)

マイクルとクライヨロン、ラリヤソ系の水惑星ツィアクロンに到着。
エルトルス人のアンブリック・ディルワンの歓待を受ける。
(このあたりの会話に農夫ダントンという言葉が出ていた。ということは
公式にはマイクルはクライヨロンの部下ということか?)

ディルワンらと原住民の対処について議論中にスプリンガー船<ムンゴラ>
出現、族長のムンゴ・ギンコストと(なぜか)マイクルが交渉。

クライヨロン、女子供の疎開の準備?しばしば会話に惑星テンシスの
名前が上がる。

テンシス人、アグマ・マンダとスプリンガー、希少元素パイロフロイト
の採掘をめぐって交渉中。そこに、自由商人たち登場。

マイクルとクライヨロン、スプリンガー船の指令室を占拠した後、
<ホーンブローワー>でオリンプへ向かう。

再び、ボシックとマイクルが会談。何らかの合意に達した模様。(詳細不明)

エピローグは置き手紙を読むローダン。


Hiroto Matsuura@Osaka Pref. Univ., Energy System Eng.
松浦寛人@大阪府立大学工学部エネルギー機械工学科
e-mail: matsu@energy.osakafu-u.ac.jp
Tel   : 081-(0)722-52-1161(ext.2229)   Fax   : 081-(0)722-59-3340
 
    

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