細江です。
 272巻後半の『消えた仮面の男』について書きます。
 アラスカ・シェーデレーア単独の冒険談なのですが、冒険に到る経緯が
面白いです。
 ここ最近の傾向として(もっとも以前からそうでしたが)、敵の惑星を
発見すると1人ないし少人数のコマンドを編成して出撃するパターンが中
心で、あとは、今回の様に「不本意な巻き込まれ」を発端とする話にして
もせいぜい不時着その他でした。
 しかし今回はアラスカだけが敵陣に乗り込む事になった理由付けが、S
F的アイデアに満ち納得のいくものであり、しかも従来の巻き込まれ型と
違い、出撃までの短時間に旗艦で武装するチャンスがあったため、読む方
にも心の準備が出来ました。
 さらに、アラスカだけが巻き込まれた理由と、敵をうまく倒せた方法と、
心を葛藤させる原因が全て同じという点も、作品全体に一貫性を持たせて
います。
 アラスカのアイデンティティそのものが物語を導いているのです。
 というわけで今回この話は個人的に評価が高く、佳作と考えました。
 ところで今さらですが、アラスカのカピン断片からの放射は6次元半性
なのに、どうして視覚的認識のみに反応するんでしょうね。
 目を閉じれば防御できる放射線ってのも変な話です(直接脳みそに影響
してもいいようなものを)。
『「わたしには、超自然の力などない」と、マスクの男ははげしくいった。
「ただの、どこにでもいるテラナーだ」』(245ページ)
 などと無自覚かつ無責任な発言をするアラスカ。
 あんた、無茶苦茶レアケースだぞ!
 今週のd-informationを読んで。
 クルト・ラスヴィッツ賞の海外部門が『苦痛』。翻訳部門も『苦痛』の
翻訳にたいしてで、同じ作品!
 おーい、そもそも海外作品は普通、翻訳されているのであって・・・
 ドイツ以外にドイツ語の国ってありますか?(植民地とか持ってなかっ
たと記憶してましたが)
    
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(PR-J ML)
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