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Date: Mon, 31 Jul 2000 10:18:15 +0900
From: Hiroto Matsuura <matsu@aeslab.energy.osakafu-u.ac.jp>
Subject: [PR-J 01091] Dorgan-2(?)
To: PR-J@cre.ne.jp
Message-Id: <10007310118.AA03718@157.16.1.71.aeslab.energy.osakafu-u.ac.jp>
X-Mail-Count: 01091

河内のhiroこと松浦です。

Dorgon heft #2の続きです。

回想シーン(NGZ1282年)は次回位まで続きます。
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安心したことに、彼女はすぐ後に電話してきた。彼は彼女をキャメロットの
高官のパーティに招待した。ペリーはカウトーンがガールフレンドを
連れてきたことに何も言わなかった。それどころか、彼がようやく
誰か友人を見つけたことを喜んだ。しかし、カウトーンの長期にわたる
問題は生き残っていた。彼は彼女に愛を告白するには全く内気過ぎた。
パーティの後で彼らはローダンのバンガローのバルコニーに座った。
ツアントラは手すりに立って下を見下ろした。ローダンの所有地は
断崖の真上にあった。そこからはポート・アーサーの素晴らしい眺めが
一望できる。都市は星をちりばめた空の様にきらめいていた。カウトーンは
単なる友達であるとはいえ、彼女の傍らで満ち足りて幸福な感じを覚えた。
時が二人を一緒に連れていってくれたらと望んだ。
「美しい景色ね。」彼女は静かに言ってカウトーンを見た。彼女の大きな青い目
はカウトーンの心臓をこれまでに無くどぎまぎさせた。
「ああ、キャメロットは美しい世界だ。」彼は答えた。
「他にももっと美しい世界があるわ。その一つに私はすぐに行こうと
思っているの。」ツアントラは言った。
「何だって?」彼は知ろうとした。
「私はシヴェリガー(Sverigor)に行きたいの。子供の頃、其処にいたのよ。
美しい世界よ。私はキャメロット基地の職場に応募するつもりよ。」
彼女は説明した。
「でも、君は学校の教育も終えていないじゃないか。
キャメロット基地での資格を別にしても!」
ツアントラは再び彼に向き直った。彼はほとんど彼女とキスしそうに
なった。
「何人かに相談したわ。彼らの考えでは私はそこでも同じように
必要な訓練を受けられるそうよ。キャメロット人は規則に関して
テラナーほど堅物じゃないの。」
「大いなる利点だね。」カウトーンは同意した。
「そう、まさにね!」
「シヴェリガーはキャメロットから随分遠くだね。そんなに急がなくても。」
「この愛する惑星に住むことが私の一番の望みなの。」彼女は言った。
「いつの日にか私がキャメロット基地の指揮をとるかもしれなくてよ。」
カウトーンは手すりに歩いていって町を見下ろした。彼はさしあたり
愛の告白を控えようとした。もしそうすれば物事が不必要なまでに
複雑になるだろう。彼らは座り心地の良いデスクチェアーに腰掛けた。
「君のことをもっと話して。」カウトーンは頼んだ。
ツアントラは彼の希望に従った。彼女はカウトーンより一つ若い。
彼女はキャメロットで成長した。両親はすぐに離婚した。父親とは
コンタクトが無い。彼女は母と義父と一緒に住んでいる。彼女の生活は
カウトーンほど悲しいものではない。彼女は「よくある」問題を
抱えているだけだ。彼女が愛した最後のボーイフレンドは数か月前に
彼女を捨ててそのことで少し落胆している。
マリッサの様に彼女は恋愛について彼より体験を積んでいる。
「でもどんな女の子でもそうだろう。」彼は考えた。
会話の間にカウトーンは彼女が何か特別な人のように感じた。彼らは
多くの観点を共有していた。二人とも人生で何かを達成しようと
していた。カウトーンにとって、彼が死んで誰も彼のことを覚えていない
としたら最悪であった。
二人は長い時間を過ごしたが何も起こらなかった。彼女が帰宅したとき、
カウトーンはまた何時間もテラスに立ってポート・アーサーを
眺めていた。彼は夢の女性に出会ったと確信した・・・。

                                       *

彼らはしばしばデートを繰り返し、カウトーンは彼女を信用するようになった。
彼はもうずっと前から恋に落ちていたのだが、彼女が本当に好意を持ってくれ
ているのか、彼と同様に彼女が彼を受け入れているのか、はまだ知らなかった。
まだ無条件に彼女がそうしたわけではなかった。
彼の20歳の誕生日の直前、NGZ1282年、9月26日、彼らは彼女の家で
再び出会った。カウトーンはここ何週間と言うもの彼女のことしか
考えられなかった。彼は訓練さえさぼった。しかし、ペリーはにやりと笑って
これを無視した。
その日、ペリーは少し気が滅入った様子であったか、カウトーンにその理由
を話さなかった。カウトーンとツアントラは1日中テラ公園で過ごした。太陽が
まだ暖かい日を落とす秋の素晴らしい日の一日であった。時々カウトーンは
誰かが彼の幸運を妬んでいるかのような感じを感じた。彼は自分に向けられた
悪意に満ちたさげすむような視線を感じた。
彼らが帰宅したとき、ツアントラは嬉しい電話を受けた。人材調整官は
彼女にペリー・ローダンがシヴェリガーのキャメロット基地に対する
彼女の応募を受け入れたと話し、彼女の幸運を祈った。
これはカウトーンにとってショックであった。彼は問題がひとりでに
解決することを望んでいた。今や、ツアントラが10月始め、より正確には
彼の誕生日である10月1日にシヴェリガーに向けて出発するのは明らか
だった。彼女はおおはしゃぎだった。しかし、カウトーンは嬉しいはずが
なかった。今なお自分自身を持ち直そうとした。
「ほかならぬ自分が彼女の喜びに水をさすことが出来ようか?」彼は
考えた。
ツアントラは彼にシヴェリガーのビデオテープを見せた。カウトーンは
彼女としばらく会えないことを知っていた。少なくとも彼自身が
シヴェリガーに行けるようになるまでは。けれども、そのためには
ある種の地位が必要であった。彼はペリーの好意に甘えたくはなかった。
「ペリー・ローダン!どうして彼は僕の背中を刺すようなことが
出来たんだろうか?彼は僕がどれだけ彼女を愛しているか知っていたはず
なのに。彼女こそ僕の唯一の幸運なのに・・・。」
ドアのベルがなってツアントラの友人が入ってきた。
アルネ・オークワード(Arne Awkward)だった。彼は喜び一杯で彼女を
抱擁した。カウトーンはしだいに除け者の様に感じ始めた。アルネは
レーザーポインター(laser pointer)をもてあそんだ。彼はカウトーンが
彼女と二人で過ごそうとしていた最後の時間に現れた。カウトーンは
密かに込み上げるものを押さえていた。怒り、憎しみにつながる制御できない
怒り、が再び起こった。ロビーの破壊者やあのマリッサに対して感じた
憎しみ。アルネと彼はほとんど言葉を交わさなかった。カウトーンは
まだカウチに腰掛けあきらめていた。彼は自分が何も出来なかったことを
知っていた。彼は今ツアントラを失った。すぐに彼は再び独りぼっち
になるだろう。
「なぜ、アルネが来てから黙っているの?」彼女はすこしいらいらして
たずねた。
「僕は彼のことを全く知らないし、君たちが話している話題もそうさ。」
彼は弁解しようとした。「他に何を話せと言うんだい?」
「おしゃべりに夢中になっちゃったわね。じゃあ、家まで送っていくわ。」
「ノー!僕は一晩中ここに居たいんだ。」と彼は考えたが、「ああ、
それは助かる。」と言ってしまった。
彼女はシフトの所に行った。センサーの幾つかが欠けていたのだ。
シフトは生け垣に囲まれた車道に停めてあった。そのため彼女は
交通が分からなかった。中は寿司ずめ状態だったのでカウトーンは
一緒に入る事が出来なかった。彼は外に立ちツアントラが出てくるのを
待った。考え込んで空を見上げ、星を見つめていた。カウトーンは
その瞬間嫌な感じを覚えた。数秒後、彼の気分はさらに悪くなった。
もう1台のシフトが右手からあらわれ、ツアントラのシフトと接触した
のだ。
運転手達はカウトーンに対し怒り、彼に責任をなすり付けた。
ツアントラはなぜ彼が警告してくれなかったかを知りたがったが
哀れな若いディスペイアーはそこに立って謝ることしかできなかった。
他に何が出来たと言うのか?彼はきまりが悪かった。彼は彼女に
さよならを言い、歩いて帰宅した。ペリーは家にいなかった。彼は
まだキャメロットの役所にいたのだ。
彼はほとんど眠ることが出来なかった。朝一番に彼女に電話した。
彼は罪を感じて再び彼女に謝った。彼女は冷たく遠慮がちの様に
感じられた。彼女はシヴェリガーでの新しい住所すら教えなかった。
彼女はNGZ1282年10月1日に出発した。カウトーンの人生最悪の日
であった。
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Hiroto Matsuura@Osaka Pref. Univ., Energy System Eng.
松浦寛人@大阪府立大学工学部エネルギー機械工学科
e-mail: matsu@energy.osakafu-u.ac.jp
Tel   : 081-(0)722-52-1161(ext.2229)   Fax   : 081-(0)722-59-3340
 
    

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