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Date: Mon, 16 Oct 2000 23:56:35 +0900
From: "okaukio+mls" <jtz4046@e6.mnx.ne.jp>
Subject: [bun 00485] 週刊おかゆきお No38
Message-Id: <200010161456.XAA16274@e6.mnx.ne.jp>
X-Mail-Count: 00485

	 さん、こんにちは。
おかゆきおです。

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カンソありがとう! \( ^_^)/ でーーっす。
 ちょっと新展開、風雲急、です。 この先なんでも可能。さて、
 脱線の心配が……。

 この作品はフィクションです。
 実在の人物・団体などとは一切関係ありません。
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    戦闘天使 21
         おかゆきお


 天使よりずっと幼く見える少女が、少し平静心を失っているダル
クに語りかけている。自分よりずっと幼い子供に聞くように……。
「どこまでかえるの?」
 ダルクにはふれられたくない話題である。いつものダルクだった
らなにか言ってほしいとばかりに天使のほうを見たり、すり寄って
くるのであったが、少し様子が違っていた。
 生きる執念とでもいうのだろうか、自分で処理できない問題も何
とかして回避して行くのだろう。
 いままでのように軽く口を出せなくなってしまった。それでなく
ても天使にできることはいっしょに悩んだりすることだけなのだ。

 しかし、天使は自分も目覚めていくことを自覚していた。いまの
ダルク坊やのすがたに、離れていくのではない。一時の休息が必要
なのだ。と、声が聞こえてくる。
 あらためて思い出せば、こういうときにはかならず、誰かが語り
かけてくるような、声が聞こえた。そして、また、その声は告げて
いた。困難にくじけるな。流れに身をゆだねせて力を蓄えるのだ。
「ダルクはつかれているんでしょ? ちょっと目をつぶっていなさ
い。眠かったら寝ちゃってもいいわよ」
 そして、もし、またダルク坊やが逃げ出そうと言ったら、こんど
はおよしなさいといって見ようと、決めていた。

 理由はハッキリしたものがあるわけではなかったが、いちど逃げ
出して見たのだからもう十分。と、いう気持があった。
 そんな天使の気持を知るはずもない、ダルクはじっと黙っていた。
それでも、言われた通りに目をつぶるとしきり話しかけていた少女
も、外の景色のほうに目を移した。


「それでは、天使の望む通りにさせてやれば、天使の背景と言うか、
生まれてきた事情がわかるのではないかね」
 謎の黒幕は、思慮深くいった。
「いや、やはり、隔離された状況で反応テストをして見なければ、
精密な精神構造ははかりかねます。実験でなければ分からないこと
もあります」天使研究者で実験好きなクライビンは、天使を実験室
に住まわせて、実験・記録したがっている。
「しかし、いつ天使が使わされたのかもハッキリしないのに、なに
を実験から搾り出そうというのかね?」
 どうやら、黒幕はすでに現状のままの天使の生活から、情報を集
めるつもりの様である。
 会議に参加していた、調査主任のバトラーは自分の有利な結論が
出ることを見越して、じっと意見を控えていた。
「どうだ? どれくらい天使の行動を記録できるかね?」
 黒幕が話を終らせそうな気配で、調査班の意見を聞いてきた。
「どれくらいの手間をかけるかによります」
「目立たないように、すばやく。……だ。できるか?」
「神の目を欺けるとはおもえません」
「じゃあ、実験室か?」
 少しイラだったように黒幕はいった。
 バトラーは黒幕の気持を察していた。しかし、恩を売って、嫌わ
れたり疎まれた危険である。小心で神を恐れる小役人らしく。

「慈愛に満ちた神の意志として、地域教育の手を差し伸べれば実験
室以上の実験ができ、そのうえ目立たず、天使や天使たちの保護者
も教育して、実験に協力させることができます」
「そうか。では、まずおまえがやって見るか?」
「はい」
「よし。では、その教育とやらで情報を集めて見ることにしよう。
それと、同じに、実験室を作って、いつでも天使たちを収容できる
ように、準備もしておくことにしよう」
 いつもなから、姿を見せない黒幕は慎重であり、合理的だ。
「では、天使の秘密を保つための方策について調査班から提案して
くれ」
 もう話が決まったのである。早々に会議を切り上げるべく、バト
ラーは駆け引きを黒幕だけに絞ると、いっきに提案した。
「この、秘密保持も、どれくらい手間をかけるかですが、投入する
人手が多くなると、逆に噂を呼び、秘密がなんだかわからないのに、
勝手に、動き出してしまいます。したがって、この政策会議では、
これ以上秘密保持に手間をかけないほうが得策であるとおもわれま
す。神の意志で、秘密が広がるのなら、やむおえない。というのが
わたしと、調査班の意見です」
「そうか。不用意に秘密が広まれば、調査班はご用済みだ。実験室
にそれ以後は任せる。…と、言うんだな」
「けして、そういう無責任なことは申しません。しかし、ひろくこ
んどの天使の存在が知られてしまえば、やはり、実験室にかくまう
のが、おっしゃる通り上策かも知れません。……ただ、それゆえに、
実験室から秘密が漏れるのが心配であります」

 実験室の代表・クライビンが噛み付きそうな顔をした。
 バトラーとしては、クライビンのまき返しが、いちばん心配なの
であった。
「よし。調査班は退席してよろしい。すぐに、天使の調査研究をは
じめよ。
 残ったものは、秘密保持と、調査班の行動を助けることをもう少
し議題とする。この後の状況は後から連絡する」
 よし。黒幕は上機嫌だ。
 バトラーはうれしくなって、大急ぎで退席した。



          つづく。






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