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Date: Sun, 10 Sep 2000 19:58:27 +0900
From: T.S <takeco@mb.neweb.ne.jp>
Subject: [bun 00473] 分野を決めろ!(また私でゴメン)
To: <bun@cre.ne.jp>
Message-Id: <003f01c01b16$52505240$b85fe6d2@computer>
X-Mail-Count: 00473

「分野を決めろ」

 経済記事を書いてみたいなあと思う。経済とひと言でくくっても範囲は広い。
だが私が書いてみたい分野はもう決まっているのだ。
その「分野」を説明する前にちょっと背景について語っておこう。

 私が経済学をお勉強したのは、80年代後半だった。まあまあ真面目に
やったと自分では思っているのだが、主婦になってからブランクが出来た。
その間に経済学はもの凄い勢いで変わっていったようだ。

そもそも最先端の研究が学生への講義と姿を変えるには時間がかかる。
私が学んだ頃は「ケインズ経済学」が主流だったと認識していたのだが、
その認識からしてちょっと遅れていたようだ。
ケインズは80年代前半よりずっと前の人。80年代後半からは、
数理モデルを使った経済学が花形(主流)となっていたのだ。
つまり学んだ時点ですでにタイムラグがあったのだった。

簡単な数理モデル分析は一応かじってはいた。かじってみた結論として、
「数理経済学には無理がある。現実的ではない」という結論を
早々と出してしまった。だって考えてみて欲しい。
経済の動きは様々な要因が複雑に絡んでいる。
例えば『消費』一つ取ってみても、
政府の安定度、円レートに失業率、利率(銀行などの利子率)、マスコミの
情報操作・先行きの透明感など、一つ一つあげていけばキリがない。
そういった要因を非情にもある程度切り捨てて
モデルをシンプルにして分析するのは間違っている、
それは机上の空論に過ぎないと思ってしまったのだった。

 すっとそう思いこんでいた私が自分の思い違いをはっきり認識したのは、
一昨年だか三年前だかのノーベル経済学賞のニュースだった。
「ブラック・ショールズ」理論、金融市場の動きを数理モデル分析して
実際に1000ドルの自己資金を100倍だかにして大もうけした学者だ。
(ワシントン・ポストにそう紹介してあった。と思ったけど(笑) )
ついに数理モデルが現実に追いついてしまったのだった。
言うまでも無いが数理モデルは私が勉強したものとはレベルが違う。
日本国内でもあれを完全に理解できる人は非常にに少ないらしい。
大型コンピューターを何台も使って計算しなければならないとも聞く。
当然私の手に負えるような分野ではない(需要はすごくあるだろうけど)。

 余談だが、80年代に同じノーベル経済学賞を受賞したブキャナン博士は
現在御年80近い。日本だったらもう引退する年なのだが、彼は違う。
未だに毎朝6時半に大学に到着し、夜8時頃まで研究活動をしている。
又聞きなのだが「死ぬまでの間に残したい研究がまだある」のだそうだ。
きっと、老いた彼をしてそのように思わせるほどの急激かつエクサイティング
な変化の波が、次々と押し寄せているのだろう。

話は自分がしてみたい「分野」にもどる。習ったことをキレイサッパリ忘れて
しまったのだが、たった一つだけ脳みそのしわに引っかかって
残った言葉が有るのだ。
それは「企業家のアニマル・スピリット」だ。つまり会社の運営について決断を
下す人が持っている「野性のカン」のようなもの。「これは当たる(儲かる)」
「これははずれる(儲からない)」と考え、投資や貯蓄・生産について決断する
その行動の裏打ちとなる勘だ。この定義を発表したのもケインズだった。
インタビュー記事で、個々のカンについて探り出し、そしてそのカンによって
どういう波及効果が現れたのか、自分のカンについてどう思うのか、
自分のカンが社会に与える影響についてどう思っているのかなどなど、
ぜひとも聞いてみたい。
ただ聞くだけではなく、「企業家のアニマル・スピリット」について
最先端の研究を学んだ上でインタビューの構成をたててみたいなぁ。

…でもさあ、もう難しい本が読めないんだ。頭に全く入ってこない。
この間データ・ベースを作ろうかなあなんて思ってソフマップで
本を買って勉強しようとしたんだけど、立ち読みだけでくじけた。
あまりに意味不明で難解で、この本を買っても絶対読まないという
確信があったので元の棚にそうっと戻してしまったのだった。


人生、気合だけではどうにもならないものがあると知った、9月の午後…。


S.Tでした。

私ばっかですみません。良かったら感想を下さい。まってます。

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