Index: [Article Count Order] [Thread]

Date: Fri, 8 Sep 2000 13:43:27 +0900
From: T.S <takeco@mb.neweb.ne.jp>
Subject: [bun 00470] おしろいばな(詩)
To: <bun@cre.ne.jp>
Message-Id: <004b01c01950$82cfabe0$a15fe6d2@computer>
X-Mail-Count: 00470

「おしろい花」

おしろい花の花の香(か)が
墨の夜静かに漂い私を包む
飲み疲れた身体が静かにとろけはじめる

むかしむかしの夕暮れどき 
無邪気な私は花を手折り
振りまわしながら家路についた

持ち帰ったおしろい花は
一夜で無残な姿にかわり
母は私を抱き寄せ言った
「そっと咲かせておいておあげ」

酒と汗にまみれた私はいま戸惑う
この美しくも清らかなおしろい花は
かつてのように身を委ね
ポキリと手折らせてくれるだろうか

昔とかわらぬやさしいかおりで
澄んだ瞳を失った私を
家路へといざなってくれるだろうか


    

Goto (bun ML) HTML Log homepage