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Date: Fri, 1 Sep 2000 16:35:27 +0900
From: "takeko sakakibara" <takeco@mb.neweb.ne.jp>
Subject: [bun 00464] 恐怖の鶯谷
To: <bun@cre.ne.jp>
Message-Id: <006101c013e8$851a2f00$155fe6d2@computer>
X-Mail-Count: 00464

「恐怖の鶯谷」

 十年以上も前の話なのですが、実話です。
 当時私達夫婦はまだ結婚したばかり、子供もいなかったので
2人で出歩くことも少なくありませんでした。
 京浜東北線に乗っていた時のこと。ちょっとうたた寝してハッと
起き、私は外を見ました。丁度駅を出発するところでした。
 駅名は「鶯谷」。ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、
この駅は連れこみ宿のメッカ、電車の中からも広告や看板がたくさん
見えます。その一つ一つに目をやりながら、私はいつものように
しょうもない空想にふけりました。『サービスタイムって?』
『ほほう、全室ビデオ付きかあ』『おっ!ここ安いっ!』
『利用者に粗品進呈中?粗品ってナニ???』
『一体この界隈で現在何組の人達がハゲンでいるのだろうか…』
 電車はどんどんスピードを上げ、連れこみ宿の一群は後ろへと
流れてゆき、私は再びウトウトしはじめました。
 時間がどのくらい経ったのかは正確に覚えておりません。ただ、
「次は〜〜〜、うぐいすだに〜〜」という車内放送にすっ飛びあがりました。
「えっ??ねえねえ、鶯谷って、さっき停まったよねえ?」
「さあ。そんなことないだろ?」
窓の外を見るとそれは確かにさっき見たはずの鶯谷だったのです。
「えっ?うそっ!だって私さっきこの駅見たよ?」
「ナニ寝ぼけてるんだよ。今うたた寝してたじゃないかよ」
 寝ぼけてるわけ無い。だってあんなに熱心に一つ一つ看板と広告を
検分してたんだもの。それがもう1回見るはめになっちゃったんだもの。
ただその場で彼にくだくだ言うのは止めました。「ラブホの看板に
見覚えがある」などとは口が裂けても言えなかったからです。(当時は)
「気のせい気のせい」とチカラワザで自分を納得させ、
そのことはすっかり忘れてしまいました。

 それから数年後。とある漫画家が自分の不思議体験を4コマ漫画にして
雑誌掲載しました。なんとその中に私と全く同じ体験が載っていたのです。
鶯谷駅を2度通過したという体験…。担当編集者も全く別の時に
偶然同じ体験をしたのだと漫画には書いてありました。

教訓:鶯谷は通過するべきものではない。とりあえず下車し利用して、
    おふだ代わりに「粗品」をもらってくるべきである。



    

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