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Date: Wed, 23 Aug 2000 07:06:57 +0900
From: "okaukio+mls" <jtz4046@e6.mnx.ne.jp>
Subject: [bun 00459] 週刊おかゆきお No31
Message-Id: <200008222205.HAA25927@e6.mnx.ne.jp>
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 なんか、少し、人物が動き出して、
伏線の立て方に悩んじゃうよ〜。
 こな、なやみ、はじめんてぇーーー!
そう。そう。
カンソとか、お願い! \( ^_^)/ でーーっす。


あるいは配信停止も。
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    戦闘天使 13
         おかゆきお


 少し離れたところにとまっているトラックの陰に男はいた。店か
ら出てくる二人を待っているかのように、荷台の扉をあけた。
 用心する気持からの少しためらいもありながら、歩きつづける二
人は車の陰にはいった。
「いそいで。のりこんだら荷物用の毛布でもかぶって身を隠して」
 と、男がさいそくした。
「なぜ?」
 と、天使が聞いた。
「ここは、ひまわり学園から一番近い村の入口だ。わからないか?
 逃げ出したやつはよくここへ来るんだ。あの女将が連絡した相手
はひまわり学園だよ。うけあってもいい」
 ダルク坊やが荷台に飛び乗った。
「でも、どこへ行くの?」
 天使はためらった。
「どこへ行くか。荷台に乗ってからゆっくり考えるんだ」笑いなが
ら男がいった。「のらなかったら行く先はひまわり学園だ」
「ねえ。のって」
 と、ダルク坊やがいった。

 ばたんとドアがしまり暗くなった。がたごとと車が動き出すとほ
こりっぽい空気も気にならなくなった。お腹はいっぱいで荷台の中
は意外とぬくぬくしていた。
 やがてダルク坊やが気持よさそうな寝息をたてて、天使もほんと
うに久しぶりにのんびりした気持で、天国の父上に感謝を捧げ、食
堂の支払いをしなかった許しをねがった。


 それからしばらく車は走った。少し天使は心配になってきた。
 ダルク坊やも目を覚まして、小声で天使の名をよんだ。
「ああ。よくねちゃった。ねえ。スリモニカ? 少しはねた?」
「あんたは大物よ。わたしはとっても寝られないわ」
 天使が言うと。うれしそうに少しえばって、ダルク坊やは言った。
「えへぇ〜。そうかなぁ〜。でもね、寝ておいたほうがいいんだよ」
 やれやれ。天使が次の言葉につまっているとき。車の動きが変わ
り、ゆっくり、大きくまがってしばらくすると止まった。荷室には
荷台とつながるあたりに少しスキマがあって、まっ暗ななか、側面
の壁や足許のあちこちから光が漏れていた。

 ぎぃ〜ときしみながら扉が開いた。ぱっと光が入ってきてまぶし
かった。それでも、どうやら木陰に車はとまっているようだった。
「どうだい? 少し疲れたかい? 少し休もう」
 暗がりに馴れた目に木の葉越しの光もまぶしく、男の笑顔は顔色
も白く最初の印象よりずっと若く見えた。
「泉があるんだ。のどはかわいていないかい」
 うれしそうにダルク坊やは伸ばされた手につかまって荷台から降
りた。微笑む男の歯が白く光った。
 しかたがない。後戻りはしたくないのだ。不安を打ち消しながら、
ごそごそと荷台を降りようとする天使に、男はふりかえって手を貸
してくれた。手を握られるのは嫌だったけど、逆に天使はぎゅっと
男の手を握り車から離れた。
 あたりにはなだらかな丘が見えていて、林の奥に小さな断層が土
塀のように立っていて清水が湧き出していた。
「ここまでくれば大丈夫だ、もう歩いてこられる距離じゃない。こ
こらから先は車の前に乗っても大丈夫だよ」
 と男は言った。
「ねえ。どこへ私たちを連れていくの?」
 と、天使は聞いた。


          つづく。



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週刊おかゆきお        月曜発行

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