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Date: Wed, 19 Jul 2000 19:08:28 +0900
From: "Take-chan" <takeco@mb.neweb.ne.jp>
Subject: [bun 00455] 「拝み屋さん・5」ラスト&ヒトリゴト
To: <bun@cre.ne.jp>
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 拝み屋さんが急に声を低く落として、諭すように民子に言った。
「我慢することは難しい事じゃないの。気持ちが負けなければいいのよ。
『もうだめだ我慢できない』って思うことで災いを呼び込んでしまう。
余計な事に気を取られてはいけないの。自分の人生は自分でいくらでも
変えることが出来る。あなた次第なのよ。この言葉を決して忘れないで」
 ふと気が付くと、民子の膝の上に涙の跡が点々と付いていた。
拝み屋さんの顔がゆがんで見えない。民子には泣いているという
自覚すらなかった。が、ポタポタと涙が下に落ちる音が耳に入ってきた
とたん、蛇口が壊れたように涙が更に溢れ出してきた。
後ろに順番待ちの人達が並んでいなければ、民子は大声で
泣き出しただろう。だが何が悲しいのか、民子にはサッパリわからなない。
わけもわからず動揺する民子の心に、拝み屋さんの声がすうっと入ってきた。
「とにかく健康には留意して下さい。健康でなければ我慢も努力もできません。
梅が健康にいいから、梅酒や梅干を毎日とってください。」
「なんで《梅》なの?」
 そう疑問に思ったとたん、民子の目から更に涙が溢れ、
泣き笑いのようになってしまった。鼻水と混ざって顔がぐしゃぐしゃになった。
もう化粧もドロドロにとけてしまっている。何が何だかわからなくなって、
民子はみっともないほどに泣き崩れてしまった。
相談時間が終わっても泣き止めず、民子はキチンと挨拶もせずに
這うように家を辞した。

 外はいつの間にやら日が暮れかけていた。
空を見上げると清々しい風景が目に飛び込んできた。
夕焼けが空をほんのり桃色に染め、涼風が立ち、
桃色と灰色のまだらになった空を黒いカラスが
物悲しげに鳴きながら横切っていく。民子は心の黒い雲が
涙と共に流れ出て行ったことを知った。

 民子は相変わらずワイドショーとおせんべ、お茶が欠かせない。
だが湯のみの脇にはいつも梅干の入った小さな壷が添えられるようになった。

・・・・・・終わり・・・・・・
ひとりごと

あの〜〜、このMLって何人くらいの人が加入しているのでしょうね。
あなたはふと疑問に思ったことはありませんか?私が知っているのは、
おがゆきおさんとお風呂の詩のカレと、もう一人なんです。まさか全部で
4人…ってことはないですよね。でも300万人…ってこともないだろうし
規模がサッパリ掴めません。もしかして、私の身の周りの意外な人も
入っていたりして。そう思うと、近所のスーパーの店員さんも、コドモの
学校の先生も、町内会長も、同窓生も、みんなみんなこの
秘密結社の(?)一員のような気がしてきた…。
そんな事をつらつら考えると、日常から非日常へとトリップしそうです。
なんか小説のプロットができそうでできないような…。
不特定多数(か少数)に向けて送信するのって、とってもコワイっす。
昔NHKでこんなドラマがありましたね。ボク以外は全部宇宙人とか
いう…。受信しているみなさんはちゃんと地球人ですよ…ねえ?(笑)

お読みいただきありがとうございました。ペコリ。   たけちゃん




    

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