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Date: Wed, 16 Feb 2000 01:50:13 +0900
From: "k" <ui@peach.plala.or.jp>
Subject: [bun 00426] へへへ。
To: <bun@cre.ne.jp>
Message-Id: <004901bf77d4$dba72680$40a999d2@k>
X-Mail-Count: 00426

こんばんは。Kです。
ここのMLではもう発言せんどこうと思ってたんですけど、青田さんの気合の入った作
品に誰もレスしないので私がします。

まず、「針金の指輪」(改稿No.01)。

前半三分の一以外は前回よりもかなり良くなっていると思います。
ただ残念ながら最初の方で、書きなおした時によくおこりがちなちぐはぐな感じが出
ちゃってるかなと感じました。
あとは私の感覚で言うと朱美と千秋の関係をもっと明確にしておいてもいいかなって
気がします。
たとえばどっちがおねえさんぽい役だとか、どっちがどっちに依存してる関係だと
か。
『千秋はそのせまいこたつの朱実と同じ辺に無理やり入り込み』
『朱実が千秋の食べかけのみかんにまで手をだしたとき』
この二つの、視点が異なる描写のために、私としては最後まで二人の関係のイメージ
が掴めませんでした。そしてそれはラストの川岸でのシーンにまで致命的に影響して
しまいました。
物語の中心をなす人物の人間関係がわからないとやはり物語そのものにも入って行け
なくなります。
もちろん、これは私だけの印象かもしれませんのでその辺は青田さんの方で判断して
考えてください。
ですが、最初にも言いましたように前回よりかはとても輪郭がすっきりして読みやす
くもなっていたと思います。

『雪のバースデイシアター』。

これはうまいと思います。文章も臨場感があっていいです。
男の心理描写も鋭いと思う。
途中の夢オチも全然違和感なかったです。さらりとしててやっぱりうまいと思う。
全体としてはまず間違いなくうまくまとまったいい作品だと思います。
でも、最終的には青田さんが目指すものが何かということにもよるのですけれど、こ
れはたぶん万人によって認められる種類の作品ではないと思います。
なぜなら光がひとつもないからです。
普通よくあるのは光の中の闇とか、闇の中の光とかいったパターンですが、この作品
は私の印象で行くと闇の中の闇にもいってなくてただの闇です(すみません。えらそ
うで)。これは悪く言っちゃえば、書きたいほうだい書いて最後の後始末をしなくて
もいいとも言える作品なわけです。だから、私の印象としてもこの作品は『うまい』
とは思うけれど、『すごい』とはあまり思いません。
それは闇だけでいいのならたぶんいくらでも書けると思うからです。
そしてあえて闇だけを書くのであればもっともっと強烈に書かないと、インパクトが
ないと思います。
文章自体はすごく上手で読者を引っ張って行く力があると思うので、これで物語の中
のどこかに『ターニングポイント』みたいなものがあれば、もっと読んでいる人をう
ならせることができるのではないでしょうか。
なんだか最後まですーっと通りぬけてしまった作品でした。
まあもちろん、それもまたうまく書いたことの、ある一つの側面ではあるのかもしれ
ませんが。

では。



 

    

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