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Date: Mon, 24 Jan 2000 23:31:30 +0900
From: "okaukio+mls" <jtz4046@e6.mnx.ne.jp>
Subject: [bun 00415] 週刊おかゆきお  2kNo 4
Message-Id: <200001241428.XAA27702@e6.mnx.ne.jp>
X-Mail-Count: 00415


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 感想、批評 ありがとうございます。
 大変励みになります。

 おほめの言葉だけでなく。厳しい言葉も、よく考えられていて、
大変勉強になりました。

 これからもどうぞよろしくお願いします。

 バックナンバーご希望の方はお知らせください。

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週刊おかゆきお
                       月曜発行
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        空飛ぶ葉巻      8
                おかゆきお

 映像の配信は雇い主の通信社がやることであるが、それ以外のコ
メントや、撮影の状況、日常の観測体制のこと、報道だったら金は
出ない。だが、それは話の持って行きようである。
 テレビ通のヒバさんはその知識を総動員して、ポールの味方にな
ってやった。

「アンちゃん。安売りしちゃいけないよ」と、ヒバさんはいった。
「なんちゅうても、あの手の写真はここでしか撮れんのだから……
ナ」
 まったくの親切心だとヒバさんは疑うことともなく、ポールアン
ダースンを捜してかかってくる電話のたびに、
「ハイハイ。研究室に電話まわしてあげるけど、インタビューは有
料ですよ。判ってますね」
 と、必ず念を押す。相手がハイと返事しなければ、「だめダメ、
上役と替わりなさい」
 ……ヒバさんは強気だ。テレビのことならなんでも来いで、週刊
誌や科学月刊誌になると、はっきり姿勢がかわるので、相手も、あ
あ、これはある程度事情はわきまえているな……。と、すっかりマ
ネージメント上手になってしまった。
 喜んだのはポールである。ただで、日本人相手の交渉ごとを仕切
ってくれるのだから、大喜びである。ヒバさんと違って、ここの場
所がそれほどの優位性を持っているとは信じていない。どこかで、
いい写真が撮れるとなったらすぐに飛んで行くつもりである。
 ここ、片田舎村に飛んできたように。

「わたし日本語わかりまーーース。でも、記事は責任もてませーー
ん」
 ならば、英語でコメントをくれ。という話になって、翻訳家を使
うことになれば、翻訳料より、コメント料が安かったら記事になっ
ても重みがない。
 週刊誌にホンの三行で三万円。天文雑誌に五ページ書いて五千円
とか、ヒバさんのマネージメントは変幻自在。
 欲がないから、何を言っても迫力万点。たちまち、ポールは小遣
いには困らなくなった。
 いちばん喜んだのはサヨリちゃんであった。
 村に立ったひとつミラボールの酒場は、ポールのような独立系の
外人特派員と、ヒバさんのようなネイテブな片田舎村の住人、そし
て、なかば観光客のようなアマチュア・カメラマンくらいしか入れ
なくなってしまっていた。
 警察や報道陣は街道スジの呑み屋三軒。官僚や村役場の面々は国
鉄駅前裏道の料亭にひいきをくら替えしていた。

 そして、景気のいいポールを見て、ヒバさんは呑み代くらおごっ
てもいいんじゃないかと、考えるようになった。
 さて、どうゃっておごらせよう。考え出すとそればっかり。
 なんとかおごらせようとおもうから、原稿料、コメント料、ナン
でもカンでも吹っかける。

 ポールはご機嫌。サヨリちゃんは大喜び。クッソッ!クッソッ!!
 ヒバさんは、やけくそになって、吹っかける。
 そのうち、ホンとに、この村で撮れる写真の価値が上がってきた。
 アメリカに送られたビデオテープの原本が差し押されたのだ。

 ヒバさんは、いった。サヨリちゃん。こうなることは判ってた。
だから何とかしなきゃならなかったんだけど、ほら、これを見てご
らん。
 そう言いながらアジャンパーのうちポケットから、大きなVHS
ビデオテープを見せた。
 それは、放映されたビデオの録画だったけど、ヒバさんにして見
れば原本も録画も、葉巻の光ってる映像に違いがない。
「わア、樋場さん。やるもんだわねぇ」
 サヨリちゃんは感心したのか、目つきが暖かい。
「ポールに言っておくわ、…」
 最近同棲をはじめたからよけい世話女房みたいなセリフに聞える。

「だめダメ。必要があるまで内緒、内緒!」
「え、なんでぇ?」
「ポールには頑張ってもらわなきゃならん。また、見つけりゃいい
んだ。こんなモンない方がいい」
「へぇ……。そう言えば、そうねぇ。でも、樋場さん、なんでそん
なに親切なの」
「そりゃア……。……大屋といえばだ、親も同然、店子といえば、
子も同然と昔から相場が決まっているんだよ!」
「ウア。それじゃあ、サービスしなきゃあ!」
「うん。まあナ。そんなにのみゃあしないから…」
「……」
「あんただって、アンちゃんと、うまくやりゃあ、ここで、星見て
暮らせるよ」
「え、ポールと……??」

 てなわけで、ヒバさん、努力、ヤケクソがみのって、めでたくタ
ダ酒が呑める身分になった。サヨリちゃんの機嫌をとるために、さ
っそく、仲人になろうと申し出てた。

		つづく


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週刊おかゆきお        月曜発行

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