Index: [Article Count Order] [Thread]

Date: Wed, 8 Dec 1999 02:52:40 +0900
From: "k" <ui@peach.plala.or.jp>
Subject: [bun 00367] Re: 「彼のためのレクイエム」の感想
To: <bun@cre.ne.jp>
Message-Id: <001d01bf40dc$2bab69a0$59a999d2@fmv>
References: <015701bf3710$52e05060$4da999d2@fmv> <199912071455.XAA21920@e6.mnx.ne.jp>
X-Mail-Count: 00367

こんばんは。
はじめまして。Kです。
まずは感想をくださってありがとうございます。御礼を言います。
これは、最初に、不良が何人かで、公園で寝ているホームレスをリンチしている光景
を思い浮かべて書き始めました。
それで、「最後にとどめを指せる人間」というのはどういう人間かなということを考
えていて、ああいうストーリーになったのだと思います。
結局私が言いたかったのは、今の社会で一番怖いのは、人を殺しても何の逆襲も受け
ないと思うことの出来るポジションにいる人間なのではないかということです。
おかさんがおっしゃっているように、どんな時代でも必ず「人を殺せば、何らかの逆
襲を受ける」はずです。
でも、現代はなぜか、そうは思わない人々が出てきてしまう時代だと思うんです。
ちょっと昔の某H.Mとか、あるいはオウムとか、あるいは神戸の殺人事件とか、すべ
て、「こんなことしたらえらいことになるぞ」という感覚が欠落しています。
そしてこの物語に出てきた名もない不良や、あるいは暴力団や、あるいはもっと一般
的な犯罪を犯すような人々は、実は「こんなことしたらえらいことになるぞ」という
感覚をちゃんと知っている人たちだと思うんです。
本当に怖いのはこの作品の慎二のように、世間を知らなくて、自分を表現する方法を
知らなくて、そのくせ頭の中の理屈だけは一丁前の存在だと思うんです。
この作品では、そのような、最近になって多くなってきた、ふだんは目立たない存在
なのに実はとんでもなく危ない奴が『開花する瞬間』のようなものを書きたかったの
ですが、あまりうまく伝わらなかったようです。
唯一の救いとしては「犯罪を書くのでしたら、これから、物語が始まるのではないで
しょうか?」のお言葉ですね。
まさにそのとおりです。
私は発端を書いただけです。
たぶん慎二はこれから二度とあの不良たちとたむろすることはないでしょう。彼はこ
れ一発で不良たちが一生理解することがないような世界まで行ってしまったのです。
次回作またがんばります。
ありがとうございました。

 
 

    

Goto (bun ML) HTML Log homepage