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Date: Mon, 06 Dec 1999 07:59:29 +0900
From: "okaukio+mls" <jtz4046@e6.mnx.ne.jp>
Subject: [bun 00361] 週刊おかゆきお  No17  同時版
Message-Id: <199912052256.HAA15284@e6.mnx.ne.jp>
X-Mail-Count: 00361


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週刊おかゆきお
                       月曜発行
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 さあコメディ。
 出来るのかなああ?? こう、ご声援。
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	飛ぶ葉巻	2
		おかゆきお

 比場健一(ひばけんいち)は、村の案内人になるべきではなかっ
た。なんにでも興味を持ってのぞきたがる。しかもほとんど村から
出たこともなく。テレビがあるから世間の様子も知っているものの、
今度は知らない顔がマイクやら、見なれぬ機械を持ってしゃべって
いるとそれが、世間ので当たり前のことだと思ってしまう。なにや
ら黒い四角い機械を持って、漏電検査にきました。あ、これはイン
ピーダンスが2段ですから、3段にしなければいけません。3段に
すれば、家ん中の電化製品がみんな調子よくなりますよ。テレビな
んてそれこそ本物を見るような色合いになります。……なんてコト
を言われて、大金を払って、あまりテレビの調子はよくならなかっ
た。だが、まあ、そんなモンだろう。調子がもっともっと悪くなる
前に3段にしてよかった。……と、喜んでいる。
 
 どこやらの不動産屋のような男たちがまたぞろ出張ってきて、い
ぜんと同じ、山や雑木林や、どうしようもない斜傾地を狙っている。
最初は、そんな土地ならといって、さすがに売らないまでも、貸し
借り証書にはんこを突いていた村人も、もう様子がわかってしまっ
て、北向西向の土地こそ価値がある。と、利口になってしまったか
ら、そんな不動産屋は土地を何とかしたくても、てんから話を聞い
てもらえなくなっていた。
 それでも、なんだか村の中にはうろうろ、見知らぬものが一日中。
 そこで警官が増派されたのは前に書いた。ところが、警察はもっ
ともっと、増派したいといっている。ところが、そんな大人数を受
けれる場所がない土地を貸したら農作業が無くなる。……と、いう
わけで。村は一大転換を図って、富士山の見える村として観光立村
でくことになったのだが、……。

 この案内人。農家のだんなヒバさんは。なにか機械を持ってりゃ
大歓迎なのだ。カメラでは役不足で、……というのも、カメラはテ
レビには映らないから。
 そのうえ外人さん。は、大の得意で、おぅぅ。よくくぅう。いら
ぁしゃぁぁいまった。
なんて、言葉使いまで相手に会わせて、大奮闘であった。
 機動隊に続いて、自衛隊までが、北西斜面を使いたいといって来
たときには、もうあいているところは無かった。
 それなのに、この、ヒバさんは白いというよりはピンク色の肌の
外人に、自分の家の納屋を貸してやることにしたのだ。
 その外人は静止衛星電波から自分の位置を割り出す黒い箱をくび
から下げて、なにやらわからぬもの肩にかけ、マイクのようなもの
を持っていた。まさに、テレビでよく見るレポータのようだった。
テレビ通のヒバさんは、これは、独立系の下請けレポーターだな。
と、一目で見ぬいて、優遇した。

 その頃、首相官邸では。アメリカ航空宇宙局・ナサからの協力要
請を断っていた。
「すいません。大統領。なんとかしたいんですが、日本は狭いので
なんともなりません。
……ええ。わかっていますよ。こちらで、研究体制ができましたら。
すぐにお宅からの研究者も受け入れます。……ハイ。だいじょうぶ
です」

 しかし。さすがアメリカ。情報の国である。CIAは、ちゃっか
りすでに一等地の納屋を借りて、観測機材をすえつけいていた。


			つづく。



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 もうひとつ。SFです。こっちは不定期連載です。
 かけたら、連載になるかも…。
  では!!
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	明鏡の迷宮(ラビリンス)
			おかゆきお

 酒場の中にはいかにも場末た雰囲気が漂っていて、ゴリラマンが
この店を選んだのは、当然だとしても、外から中を見ずしてよくわ
かるものだとロボットボーイは感心した。
 ボーイが店のおかみに食事がしたいと頼んでも、おかみはふんと
答えて、入口近くの席を指し示しただけだった。
「ボーイ。この酒と、この料理を頼んでくれ」ゴリがいった。料理
はセットメュウーだった。
「二つでいいかい?」とボーイが聞いた。ゴリラマンはうなずいた。
 ボーイはおかみを呼んで、ゴリラマンための注文をすませ、同じ
ものをぼくにも、といった。
「同じものを?」と、おかみは聞き返したが、返事を待たずにうな
ずいた。

 運ばれたジョッキを軽く飲み干すと、ゴリラマンはにやっと笑っ
た。それに答えるようにボーイは自分のジョッキをゴリラマンの前
に押しやり、からのカップを自分の前に据えた。うれしそうに、こ
んどは少しゆっくり酒を愉しむゴリラマンは、ボーイの後ろにちら
ちらと目線を送って、何やら観察している。
 ロボットボーイは何だろうと、聴力をたかめて自分の背後の様子
を観察した。
 キンキンした、高い声で、女性が何人かいる。しかも若い。そし
て、その話し方の分析で、外交的で親切な人たちだと判断される。
しかし、いがいと意地悪なところもあるかもしれない。


 そうしてるうちに、ゴリマンが、ニタッと笑った。ゴリラの仲間
内ではハンサムなんだが、人間の価値観とは当然ズレがあって、フ
ン。と、あざ笑う声が聞こえた。
 やめておけばいいのに、ゴリラ、それでも見れんたらしくチラチ
ラとロボットボーイの背後に、目線を伸ばす。
「いやんなるよ! 人間モドキが、遠慮も知らずにじろじろみるよ」
 背後の女性の一人がそういうのと、入り口をむいて座っていたボ
ーイが、ゴリの背後から店にはいってくる若い男を見るのと、同時
だった。

 入ってきた男は、「なんだぁー! 」へんなアクセントで、ゴリ
マンを脅した。「クソゴリラが、こんなところにいやがるぜ!」
 あまりタチがよくないチンピラ風で、一目見て、この場の女の声
の意味を察したようで威勢がいい。
 ゴリラマンは手に持ったカップにふたをするみたいに、顔を伏せ
た。奴隷の性で、いたぶりにこられるとちぢみ上がってしまうのだ。
奴隷が勇気を見せても何の価値もない。

「おい。ゴリラマン。このご主人様に、丁寧にお許しを請うんだ」
ボーイが、威圧する声を作ってゴリラマンに命令した。それは若い
男の高ぶりを抑えるためであったが、ゴリラマンははじかれたよう
にいすから飛び出すと、いかにも弱々しく身体をちぢめて足を揃え
て座ると頭を床に摩り付けた。

 勢い付いたチンピラが、さも馬鹿にしたようにゴリラマンの頭を
蹴る。かなり痛いはずであるがゴリラマンは余計肩をすぼめて小さ
くなろうとするだけである。もう一度蹴ろうとしたところで、女の
声でよしなさいよ! と、とめが入った。

 それで若い男は満足したのであるが、もう一発軽くけった。りき
みの抜けたスピードだけの靴先の一撃となってゴリラマンのこめか
みに当たった。頑丈なゴリラマンといえども、痛みより神経を麻痺
させる急所への一撃に、まるで天国行きの昇天パンチとなりそう。
 必死になって、意識をつなぎとめているゴリラマンに向かって、
 そこへ、ロボットボーイが、人間のような横柄な口調で、「ほら、
ゴリラ。ここの人々の暖かい思いやりに、感謝して、さっさと食事
を済ませてしまえよ」
 このーー! ブリキのかんずめみたいなやつに、なんでこんなこ
とを言われなきゃならないのだ。
 人間に対して押さえていた怒りを込めてゴリラマンはにらんだ。
 ボーイのレーザ眼球はくるっと、回転して、閉じた。人間がひる
んだときに目を伏せたのとそっくりであった。
 そのままそっとたちあがって、ボーイのほうに近づく。ボーイは
立ち上がって席を替わってやった。嬌声をあげて歓迎された男はゴ
リラのことなんかすっかり忘れたように、悠々と女たちの間に座っ
た。
 早々に食事を済ませたゴリラマンは、ボーイが勘定をすませてい
るあいだに、さっさと店を出ていた。

 暗がりにしゃがみこんでいたゴリラマンは、後を追って店を出て
きたロボットボーイに向かっていった。
「今夜の宿を探そう」
 しかしこの夜。二人はついていなかった。街中のホテルは、ゴリ
ラマンを泊めるのを断った。それでは……。と、歩き出す二人。し
かし町外れまで、宿は

なく。こういうときはどんどん歩くことにして二人は歩いた。その
うち、屋根のあるバスストップや、かぎの無い農家の物置小屋、干
草の山。そんなものがる所までどんどん歩くのだ。

 やがて家もまばらな住宅街になる。わき道に入れば、なにか休め
るような場所もあるかもしれないが、住宅街には番犬がいる。庭先
を通るだけで吼える犬がいる。そして一匹が吼えると、続いて、二
人の行く手の犬という犬がほえだす。そうなったら大事である。
「歩こう」と、ゴリラマンがいった。
 夜は寒い。野宿だったら昼間がいい。そう判断したロボットボー
イにも異存は無かった。

「おまえ。だんだん嫌なヤツになるな」歩きながら、ゴリラマンが
いった。
 ロボットボーイにも思い当たるところがある。人間のあいだでう
まくことを収めようとすると。自然とゴリラマンの気持ちを害する
ような言葉が出てきてしまうのだ。

 こんなときはどうしたらいいのだろうか? ロボットボーイは悲
しげにため息を漏らした。幾多の演技や、記録フィルムから学んだ
動きであった。とくにゴリラマンにも判るように強調したので、記
憶されている演技のひとつに似ていた。




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