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Date: Mon, 22 Nov 1999 07:29:28 +0900
From: "okaukio+mls" <jtz4046@e6.mnx.ne.jp>
Subject: [bun 00350] 週刊おかゆきお  No15  プレ版
Message-Id: <199911212226.HAA14695@e6.mnx.ne.jp>
X-Mail-Count: 00350


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週刊おかゆきお
                       月曜発行
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 いよいよ最終回。うまく落ちてるでしょうか?
 次回作の、舞台、登場人物など。
 募集中。
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   What fun wire jobing.
   Let's you kick net-surfeing, too.
   
	〜〜♀♀♀〜〜〜〜☆〜〜〜◎〜§〜〜〜◆〜

糸人間アニメ、発見。動きがおもしろい。

http://www2.inforyoma.or.jp/~etu/main/index.htm
http://www2.inforyoma.or.jp/~etu/main/index.htm

〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ゲストブックから引用。

こんばんわ。糸人間すっごくいいですぅo(^◇^)o マサルさんを
見た時、思わず叫んでしまいました(笑)。私のHPに使わせてい
ただきます〜♪ それと、
                〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
	〜〜♀♀♀〜〜〜〜☆〜〜〜◎〜§〜〜〜◆〜
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  お願いがあります。みなさんの見つけた、おもしろい
ML、めーマガ、ホームページ、ぜひ、紹介してください。

	〜〜♀♀♀〜〜〜〜☆〜〜〜◎〜§〜〜〜◆〜
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今週は二本だてです。

 ストックから、
   金鉱師		  おかゆきお
		既読だったら許してね  (^^;
		〒〒〒
中沢外也のアルバイト -15-     おかゆきお

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  ▽▼▽

小説のモザイク    Mr堀江 & おかゆきお
  は、お休み。   ご意見・ご声援お願いします。

 共作なので、どんな風に展開するか?
 この先どうなるか? まさに、太洋をただよう
 ……ような小説です。

              △▲△
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	金鉱(やま)師
			おかゆきお

 レナード・エクプスタインはいわずと知れたビートルズのマネ
ージャーである。ビートルズを発見した彼は、ドラマーの首をす
げ替え、ビートルズを世界に売り出した。
 彼がどうしてこの音楽の才能ある若者たちを見過ごしてしまわ
なかったのか、彼はどうして若者たちに信頼されたのか、彼はど
うして若者たちを聴衆に売り込むことが出来たのか、……。
 まず、もっとも初期のビートルズは、ロック、それも英国・歌
謡曲のロックンロールで、いささか不思議なノリで、若者たちか
ら支持された。無名のビートルズ達は、人気はあったのだろうが、
それだけだったらしい。初期の音楽は単純で、ノリの面白さ、目
新しさがセールスポイトになったのだろう。
 エクプスタインは音楽の素養も豊富で、ビートルズのメンバー
に教えるためにギターの練習までして、音楽理論などを教えたと
いう。してみると、彼はピアノで音楽をやっていたのかも知れな
い。そして、ビートルズを世界の寵児に仕立てた後、麻薬のヤリ
すぎ事故で死んだ。麻薬の事故と云うのもおかしな言い方だが、
彼は死ぬ気はなかったのだろうから、やはり事故というのが本当
のところを言いあらわしている。
 その後もビートルズは活躍したから、彼は音楽的には基礎をつ
くっただけなのだろう。その突然の死は、麻薬が原因という事も
あって、いろいろな憶測を呼んだ。だが、マネージャーとしてビ
ートルズの上がりから分け前を取りすぎていた云うような憶測は
あまり聞かない。とはいうものの、彼の報酬金額は並み大抵のも
のではなかっただろう。彼はビートルズを発見して、金鉱を掘り
当てた以上の宝物を獲得していた。
 
 川畑清文はめったにみられぬほどの才能の持ち主であった。歌
唱力があり、すらっと背が高くやさしい男らしい顔立ちも上品で
あった。
 こんな男がどうしてマネージャーも持たずに……佐竹陽蔵は自
問した。

 日本の芸能界は、金持のお子様を食い物にしている芸能プロダ
クションと、飲み屋のホステスやバーテンの延長の仕出しや、流
しの芸人の所属するプロダクションの二種類に大別されるだろう。

 山口百恵を見つけだしたプロダクションは何処だったか? そ
こは大儲けしたはずである。……元手は、かかっていないはずで
ある。
 おそらく、聞いてみたら音感がいい、リズム感もいい。これは
スケバンにしておくのは惜しい。……と、思ったにちがいない。
…そんな小娘に出会うことが運なのだ。

 それをつまらないホステスにしてしまうのも、千金のタレント
にするのも、それから先は、まあ、実力といっていいのかもしれ
ない。

 しかし実力のある若者がバンドもなく、ギター一本で弾き語り
をやっているのにはそれだけの訳があるようだった。

 いささか生硬な歌詞と、自分かってなテンポ、基本ビートがひ
っくり返ってもりっぱに唄いこなしてしまう、…とにかく才能は
ある。…そのツケは、耳に残るフレーズが創れない…。これじゃ、
無理して売り出しても買ってくれる人は少ないな…。

 それだからこそこんな宝の山が、ころがっているのに佐竹ぐら
いの男がぶつかった。まったく犬も歩けば棒に当るだな…。

 これがおれのチャンスの前髪かも知れないな…。チャンスくん。
 これからが大変だ。どうやって相手にプロ意識を持たせるの
か…。今のままではせっかくの才能も無駄になる。ここできみの
マネージャーになりたいんだと、申込んだら、おそらくテングに
させるだけの話だろう。意識は変わらず、感謝もされず、歌も耳
に残らず、マネージャーが苦労するだけだ。なにかしてやっても、
その価値がわからない相手では何も残るものはない。それに実力
はあるんだから、ほめ言葉にはなれているはずだ。

 ああ。この歌には、何がたりないのだろう…。
 佐竹は、せつなくバラードを歌う、清文を見つめた。それがわ
かれば、指導してやれるし、素直に聞いてくれれば、売り込んで
やれる。


		後半に続く

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	金鉱(やま)師
			おかゆきお

 ああ。この歌には、何がたりないのだろう…。
 佐竹は、せつなくバラードを歌う、清文を見つめた。それが
わかれば、指導してやれるし、素直に聞いてくれれば、売り込
んでやれる。


 清文はバラード歌い終わった。そのまま、ぼそぼそとしゃべ
って、それでは次の曲を聞いてくださいといった。こんどは少
しアップテンポの曲で、やはり、なんともいえない説得力があ
って愉しくなる。その歌が、残念なことに右の耳からはいって、
左の耳へ流れて出ていってしまう。耳に残るフレーズが一つと
してないのだ。

 ああ…。佐竹はどうにも声をかけられずにいた。云う言葉が
見つからない。……佐竹は、エクスプタインにはなれそうもな
い。

「どうしたんです? ため息なんかついて」
 と、店のマスターが聞いた。
 まさか、自分がマネージャーになって、川畑清文を売り出そ
うかと、考えていたなんてことは口にするもはばかられる。そ
んなチャンスがあったら、よっぽどこの、マスターのほうがお
似合いの位置に居る。
「つぎ、佐竹さんお願いしますよ」
「ああ、いいですよ」
 清文の歌が終わった。拍手が鳴り響き、一瞬の静寂のあと、
幕間つなぎの有線放送が流れる。マスターがカウンターから飛
びだしてマイクのセッティングを変え、折り畳みのパイプ椅子
をカタンと一息でひろげてすっとマイクの前に置いた。
 佐竹は自分のギターをかかげてステージなっている壁ぎわへ
まわった。会社帰りにこのライブハウスに流れ込んだ佐竹は場
違いな背広に白ワイシャツにネクタイであった。佐竹は営業職
のサラリーマンである。
「こんばんわ」
 そういいながらネクタイを緩めそのまま引き抜いて、背広の
胸ポケットににいれた。
「こんなかっこうで、失礼します」そういって笑った。「今日
はもっと早く来られるつもりだったんだけど、残業でね。今や
っと着いたというわけです
よ」
 イエーイ。と、励ましとも、早くしろという催促とも、取れ
る掛け声がかかった。まばらな客からわっと大きな拍手がひび
く。ここに居るのは聴衆も演奏者もアマチュアで、腕を磨くに
はひとに聞かせるのが一番だと、お互いに自分の歌を聞かせる
ために集まっているのだ。なりゆきとして、自然、聞くときに
はいささかおおげさに盛上あがることになる。
「優しい歌が聞こえてきたよ……」
 佐竹が歌いだした。やさしいというところで思いっきり唸り
声をハリあげるのはご愛敬である。技巧もなく大声で、昼間の
うさを晴らすようにジャンジャカ、ジャカ、と、歌いこんでい
く。
 大学時代仲間とバンドをやっていた佐竹が、駅からマイホー
ムへの途中で見つけたライブハウスにふらっと立ち寄ってみた
のが一週間前のことである。
「ゆめが踊りだして、足がはずむよ……」
 はじめは、懐かしさにちょっと寄り道したといった感じのほ
うが強かった。しかし、いちど、こういう拍手をもらう快感を
味わってしまうと、やみつきになってしまうのだ。佐竹もそう
であった。さらに、営業に疲れたときなど、いい気分転換にな
るのだ。育ち盛りの子供二人に家のローンとなれば帰りの酒も
ワンカップを駅の自動販売機で買って呑むような暮らしである
が、一部上場の会社員である。月に一度か二度、こうして若者
のすることをやってみるくらいの余裕はある。
「踊らされるのはやめだ。さあ、踊り出そうぜ……」
 そう歌いながら、清文のことを考えた。佐竹は自分の歌が素
人芸であることは分かっていた。愉しければいいのである。だ
が、清文の歌声は人の心に染みこんでいく、…それがどうした。
佐竹は考える。これはたいへんな出逢いだ。気が付かないふり
をするのが一番。簡単なことだ、だが、……
「さあ、できることから、やれることから、自分の右手を左手
で掴むように……ハンドインハンド、……人がつながる…」
 そうだ。一曲歌い終わった佐竹は、つぎの歌に行く前にしゃ
べった。「ねえ。みんな、このセッションでは清文くんの歌が
イチ押しだと思うんだよ」
 これはタブーだったかな? 佐竹は云った後で会場の反応に
後悔した。分かりきっていることであるが、あらためて言って
はいけない、セッション仲間以外の見知らぬ観客ならともか
く、…。だって、清文がダントツだってことはお互い分かって
いることなんだから…。しかし、乗りかかった船。もう岸を離
れた。
「どうだろうねえ…。みんなで投票して一番のシンガーを売り
出すというのは……」反応はない。「今、突然思い付いたから
言ってみたんだけどね」………「それじゃ、つぎの曲いきます。
思い出のマイホーム」
「通勤電車の窓から見える。コンクリートが立ち並ぶ、駅と駅
とのちょうど真ん中、ぼくの育った101が見える。……」
 佐竹は大学を卒業し、会社の独身寮にはいった。それから結
婚して、家を建てた。そのあと、両親も家を建てて郊外に移り
住んだので、もう、うまれ育った場所には誰か知らない家族が
住んでいる。

「ぼくは何かを求めることを、あそこで学んだ、同じ様な家族
が詰まった101が見える……」
 就職も結婚もうまくいった。子供二人の生活は楽ではないが
充実している。

 ビートルズデビューアルバムの売り込みに成功したエクスプ
タインは、次々にアルバムを発表し、同時に映画や世界中の家
庭に広がったテレビ・マスコミを使った売り込み作戦を展開し
た。
 いや、マスコミのほうが、わかりやすい愉しい、英語以外の
言語にもノリやすい音楽を求めていたのかもしれない。

 ビートルズの映画はとつぜん世界のアイドルになった若い男
たちの戸惑いをそのまま、映像にしている。彼らは真っ白いロ
ールスロイスに乗り、その中で会議をする。風格のある天上の
高いアパートメントの室内に芝生を張って、室内でピクニック
をする。

「そうさ、ぼくは、求めていたんだ。…でも何だったんだろう。
それは101のコンクリートのむこうに隠れているような気が
する…」

 何を投げ出すこともない。いまめの前にある才能を売りつけ
れば、ビートルズとはいわないまでも、胸のすくような札束の
厚みをにぎることができる。そうなれば、言葉も通じないよう
な若い連中が言葉を探って近づいてくる。もちろん女だって……

「過ぎてしまった。日々をのせて、電車は走る。心とは逆むき
に……」
 佐竹の胸の中には、怒りが渦巻いている。だが、本人は怒り
だと思いたくない。思ってもいない。そして、なにか満たされ
ぬ想いだけが、目の前の才能豊かな清文。ハンサムな清文。背
の高い清文。いつでも取り巻きにかこまれている清文。…清文。
…清文。…清文。……
 清文を売り出そう。売り出したら儲かると思いながら、清文
を見ていた。

	一応、終り。
 続けたいのだけれど…
 続くかもしれない。


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「中沢外也のアルバイト」
			おかゆきお

	〜エピローグ〜


 外也くんが大森PPサービスを辞めてはじめてのクリスマス
は二人だけで過ごした。
 のりこさんはなにかを期待していた。それは、はじめての夜。
途中で居睡りをはじめられたような、面白くない幕切れの、翌
朝の、寝不足の恨みがましい目覚ましの聞こえる朝のような記
憶を訂正したい。いつでも女に囲まれている青年の、オスの本
能ボタンを、使ってみたい。
 それで、……自分の魅力。存在感を実感したい。……、漠然
とした思いだった。
 のりこさんがほかで気を散らされるような生活(くらし)を
していたら、こんな獏としたおもいはあの夜の記憶が薄れてい
くように、夢散していき、それにつれ、外也くんを見る目もま
た、替わっていったことだろう。

 のりこさん。外也くんと二人でいるときに、、時々男性とは
なんなのか考えている。それは、とりとめの無い、何度も同じ
ことに戻ってしまう。仕合わせは遠く輝いて見えて、だが、そ
こへいく道のりは薄暗く寒そうだ。
 手の届くところは薄暗がりに沈んでいく。その中で沈まない
のが外也くんの顔で、男としては色が白い方だからか、暗がり
で浮き立って見えてくるようだ。
 ――こんなことを考えさせる男。外チン。まだ大学生でいま
はまだ、生き抜いていく力、生活力のない男―― だけれども
私に考えさせる。男。なりよりも私を好いている男。
 あ、そうか、外チンは私を好いている。そう思うとのりこさ
ん。少しうれしくなる。幸せとか愛とか生甲斐とか、そんなも
のではないのだけれど、中沢外也は私を好いている。
 でもそれは、私に何か出来る私の…気持ちではない。好かれ
ているのは、私だ。私が中沢外也を好きなのではない。好かれ
ているから、気になる。いやじゃない。私も好きなんだろう
か?
 こんなぐるぐる回りする、つまらないことをいつまでも考え
させる男。
 男に好かれて、うれしくなる。幸せなんてこんなものか。
……つまんない。もう、男の事なんか考えるのはよそう。
 考え疲れて、のりこさんは遠くのことをぼんやりと考えてみ
る。あしたのことは今の反映で、未来は明るい。
 
 なんだかわけわからず、とにかく楽しい、明るい、のりこさ
ん。まわりのことも外也くんのことも目に入らない。久しぶり
のデート。

 二人のクリスマス。外也くんはまぶしそうにのりこさんを見
るばかりで、ときに、寂しそう……、いや違う、眩しそう……、
でもない、そう、置いてきぼりをくった、……じゃあ。……な
い。オアズケをくらった。犬みたいによだれたらして、おいし
い骨を見ないようにして、ご主人様を盗み見る。
 ……でも、ない。…だが、なんだか、いまひとつ、のりこさ
んのうきうきした今夜の気分に水を差す。
 のりこさん。ふっと、戸惑いげな、なにか訴えかけるような、
そんな外也くんが、気になって、元々気持ちは抑え目の人なん
だ。と思いながらも、のりこさん。……お酒が入ってブルーが
入ってきた。すると、外也くんぐっと近寄る。触られるのはい
い。ひじとひじが袖越しに触れ合ってぬくもりが流れ込んでく
る。
 そうか、私は好かれている。いまいましいけど、それから先
は不安なだけだ。

 心配になって、のりこさんは訊いた。自分でも、なにを聞い
ているのかわからなかったけど、訊いた。
「アルバイト辞めちゃったけど。だいじょうぶなの?」
 自身ありげに、外也くんが笑って、
「まあだいじょうぶだよ」と答えた。
 そんな答えは予想してなかったので、予定を裏切られた、の
りこさん笑った。
 その笑顔をあなたが見ていたら、あなたもきっと、大森PP
サービスでアルバイトをしたくなるだろう。
 そんな、信頼している暖かい笑顔だった。


		終わり



            来週の月曜日にまたお会いしましょう。
			何をか書こうかなあ。ご希望ありましたら、
			きかせてください。
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おかゆきお    e-mail    jtz4046@e6.mnx.ne.jp

         インターネット空間に浮かぶ サテライトです。
       ☆http://zoo.millto.net/~okaukio-mls/ 
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