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中沢外也のアルバイト
連載を続けてきましたが、80枚を越えたので終わり。
………にしようと、 したのですが、 引っかかってしまいました。
筆が震えるというのでしょうか、せっかくここまで書いて、だいなしにしたくない。
そんなおもいにしがみつかれたか、しがみついているのか…。
竜の絵を書いて、最後に眼をいれるといいます。
物語の最後は、恋人の黒いひとみのようです。
こんな感覚ははじめてで、
読者に感謝。です。
甘えさせてください。
下書きをアップします。
ご意見などいただけたらうれしいです。
連載はあと二回か三回で終了しますが、続いて、なにか書きます。
読みたい話とか、あったら、お聞かせください。
では、あまり、遅くなっても、いけないという気もありまして、
下書き版、プレ版、中沢外也のアルバイト、最終回予告編。
お願いします。
(怒らないでね。あきれないで、ネ。)
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「中沢外也のアルバイト」
-14- 最終回の前編
それじゃ男はジョーディマジオか?
おかゆきお
のりこさんが高校卒業後、就職したのは少女マンガ家のプロダクションだった。
学校から紹介されていた銀行のOLの仕事を蹴って、マンガ家のアシスタントになるなんてすごいことだけど、のりこさん目立たないから、それが出来た。
ちょうどその年に、そのプロダクションにコンピュータメーカーが、マンガ執筆を支援するコンピュータシステムを、開発中のメーカーが持ち込んだのだった。
メーカーとしては宣伝のために、機械を使って、漫画を書いて欲しい。
しかし、実際には毎週の締め切りに追われるマンガ家の執筆の流れ作業の中に、コンピュータシステムを入れるなんてことは、うまくいくことではなかった。コンピュータの出力したものは、執筆支援どころか、下手をすると、おなじマンガをアシスタントの手で、二回描かなければならないなんてことになってしまう。
実際、コンピュータを使った背景画がつかいものにならず、全部描き直すことなんてことが何回もあった。
作者の先生を始め、マンガプロダクション側はコンピュータを無視して作業を進めるようになるし、メーカーの技術者はくさってしまう。
のりこさんは高校を卒業したばかりだったし、もともと数学の成績がよくて微分積分。ようく理解していたくらいだったから、説明書を読むことで、マンガ執筆支援のコンピュータシステムを理解することができた。
そこで、のりこさんは、マンガ製作の手作業の中からシステムに置き換えても、うまくできる部分を拾い出し、コンピュータメーカーの手伝いをするようになってしまった。
たまたま、高校時代から続いていたボーイフレンドが、別なコンピュータのソフトで絵を描いていたので、メーカーを超えたノウハウをつぎ込んで、実用になるマンガ執筆のソフトを作ったのだ。
いまでも、のりこさんは、あれが世界中で最初の日本式のマンガ執筆支援システムだとおもう。ひそかにのりこさんは自分の作品(プログラム)を自慢におもっているし、誰もが、のりこさんの仕事を認めるところだ。
作家先生も、下書きやコマ割の枠を描くのに、絵が単調になる。なんていいながら、少しづつ使うようになった。
だが、のりこさんは、それから、プロダクションを辞めるまでのことを思い出す。――ニコニコと愛想のいいコンピュータメーカーは、なんと、そのシステムに、税務処理のシステムをくみこんだのだ、もちろん管理パスワードは同じ。
システムが働きだすとのりこさんはシステム管理からあっさり締め出されてしまった。
あんなに充実していた時はなかった。
それだけに思い出してもつらくなる。だから、もちろん、自分でも考えないようにしているし、それは、外也くんにはとても、想像もつかない。のりこさんの社会人デビューの颯爽とした姿だった。
〜エピローグ〜
外也くんが大森PPサービスを辞めて、クリスマスをのりこさんと外也くんは二人だけで過ごした。
のりこさんはなにかを期待していた。それは、はじめての夜。途中で居睡りをはじめられたような、面白くない幕切れの、翌朝の、寝不足の恨みがましい目覚ましの聞こえる朝のような記憶を訂正したい。いつでも女に囲まれている青年の、オスの本能ボタンを、使ってみたい。
それによって、自分の魅力。存在感を実感したい。そんな、漠然とした思いだった。
のりこさんがほかで気を散らされるような生活を生きていたら、こんな獏としたおもいはあの夜の記憶が薄れていくように、夢散していき、それにつれ、外也くんを見る目もまた、替わっていったことだろう。
##?? この部分思案中、ご意見こう
それから、また、暑い夏がやってきた。もうすぐ二人が出会って一年目である。
「仕事をするのは人間でもいいんだよ。大事なことは、コンピュータに判断させるプログラムなんだ」
外也くんが言った。もうずっとしゃべりつづけていたのでさすがに息が切れたのだろう。
目的を持ったコンピュータが動き出せば、新しい概念が展開できる。人間が考えもしなかった哲学が、うまれるかも知れない。
それが自分にとってどうなるか、のりこさんには見透せない。外也くんにもわからない。でも、哲也くんはのりこさんの二人の協力で作ったのだ。
のりこさんの夢はバラ色に広がっている。
外也くんが何を考えているのかはわからないけど、外也くんの考えていることは、のりこさんのプログラムですっきりと整理されて、誰もがわかるようにエレガントな美人にになるだろう。
出来あがったプログラムが、もし、本当にコンピュータが哲学をするんだったら、外也くんはまぎれもなく特大の場外ホームランを打ったことになるだろう。
ノーベル賞をとったっておかしくない。もしコンピュータが哲学をする世の中になっていたら、当然、ノーベル賞選考委員にだってコンピュータが加わるはずだ。
しかし、外也くんの得るプライズは、外也くんのものであってのりこさんのものではない。
外也くんはのりこさんのコンピュータ知識になにか対価をくれるだろうか?
それを考えるとうっとうしくなる。コンピュータ知識はもともとコンピュータ学者やメーカーのものであって、のりこさんのものではない。しかし、のりこさんの知識も、学者やメーカーのものではなかったはずだ。だのになにも残らない。
私はなにも持っていない。まるでアルバイトしているみたいだあなあ。
だから外也くんのアルバイトを止めさせたのだろうかと、のりこさんは考える。でも、外也くんとの出会いも、始まりはアルバイトだった。
まあ、彼も私が必要だし、私も……彼が必要なのかもしれない。
いまは、ほかの人にない、訴求力を感じるてるんだから。……。
心配になって、のりこさんは訊いた。
「コンピュータが哲学して出力するリストを、人間が、理解できるの?」
自身ありげに、外也くんが笑って、「まあだいじょうぶだよ」と答えた。
のりこさんも笑った。信頼している暖かい笑顔だった。
終わり
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