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Date: Tue, 15 Jun 1999 15:04:32 +0900
From: "Yokoyama Nobuhiro" <yokoyama@ostc-na.netspace.or.jp>
Subject: [bun 00303] 野崎さんの感想に対して
To: <bun@cre.ne.jp>
Message-Id: <002001beb6f4$f040da10$690100c3@pcd0070>
X-Mail-Count: 00303

横山です。
「陽炎の日」の感想は私信にてあつしさんには送ってありまして今回は割愛させても
らおうかなと思っていますが、今考えてみると、敢えてそれをML上に流し、皆の意
見もうかがってみたほうがよかったなと思いなおし、少々後悔しております。

野崎さんの書かれた感想について:


>個人的に、さらに横書きへの敵意を深めます。


→ これは受け取ったメールをWordなどに貼り付けて縦書き表示すればよろしい
のではないでしょうか、作者が意図的に横書きにされたとは思えませんが。MLで投
稿するのですから仕方がないかなと。。。
私は敢えて縦書きにして印刷し、読みました。そうでないと雰囲気も出ません
し。。。(そういう意味なんですよね?)



>表現として気になったこともあります。
>読み手は、一つ一つの単語を解釈するのではなく、言葉の連なりをひとつの印象と
し
>て受け取り、ニュアンスを感じ取ります。その流れをしばしばせき止める言葉の選
択
>を、あえて批判したいと思います。他者の個性にもとづく表現を、私個人の嗜好で
批
>判するのは傲慢ですが、この点において、書き手は文章としての表現よりも、個人
的
>に用いたい言葉の選択を優先したと、思えるのです。


あつしさんの作品に限らず、ありがちですね。
私の作品にも同様でしょう。
「ここはもう少し違った表現をしてみよう。。」そう思って辞書などで同義語を探っ
たりと。。。私はそんなこともしてしまうのですが、これではだめですね。
やはりこれを克服するためには読書しかない気がします。
語彙を「体得」するためには、付け焼き刃ではいけないと。
これはあつしさんの作品云々ではなく、私個人への戒め、として書きました。


>
>引っかかりのある言葉を、「強調」として使うのはひとつの手法です。また、読み
物
>に接する人には、いえ、おおよそ言葉による媒体すべてに対してですが、新たな知
識
>や未知なる言葉への憧憬が、動機として存在するのも間違いありません。


まったくそのとおりだと思います。鋭い指摘です。
そして私はその、読者にあるだろう「未知なる言葉への憧憬」を期待して、小説をつ
くりこんでいきたいです。


>
>ぽんぽんと飛び交う会話も生き生きとしていますが、それが何かを物語ってはいな
>い。何かを物語ろうとするときには、独白に頼っている。しかし、重要な登場人物
の
>個性の掘り下げが不充分です。そのために、彼らの語る価値観は一面的で、説得力
に
>欠けています。


私はこの作品に対して、「ありふれ過ぎている」という表現をしてしまいました。し
かしありふれていてもいい、ただありふれているなりに、表現方法を変えてみてはい
かがかと指摘しました。
「重要人物の個性の掘り下げが不十分」ということですが、どこにでもいるような大
学生が誰でも持つような疑問――僕はこれからどうしていくのだろう、どこへ行こう
としているのだろう――を掘り下げてもいかがかと思ってしまいます。
(なんだか私の評も不十分なもののような気がしてきました、もっと掘り下げて書か
ないといけないのかも)
でも確かにそのことによって、「小説」自体の完成度が高くなるのは明らかだと思い
ます。


>主人公が、最終的に冒頭の時空間に立ち戻る。そこは、彼の心の中では、閉ざされ
た
>場所のように何も変わっていないはずだ。なぜなら、その場所に彼を逃げ込ませた
現
>実は何も変わっていないのだから。


ここのところ、私は理解できませんでした。
私も同様に、冒頭の場所へ戻る、という設定で書いたりしますが、それは空間的にで
あって、この作品にもいえることですが、「主人公の心の中は閉ざされたままで何も
変わってはいない」、とは思えませんでした。
その場所に彼を逃げ込ませた現実は何も変わっていない、というのも。。。→ そう
なのでしょうか。私は違うように読みましたが。

結局、主人公の心が何ひとつ変わらず、以前よりもさらに自閉的傾向が強まった、と
いうような終わり方なら逆に面白かったかもしれませんが、あつしさんがそれを意図
して書こうとするわけはないでしょうから、、、、余計なことですね。すみません。


あつしさんに、私信にて書いた感想を要約しますと、
「プロを目指す作家が『自分探し』の作品をありふれた手法で書いていてはいけな
い」
です。
オンライン作家として、また同人誌にての発表にとどまるのなら、これはまったく見
当違いな指摘ですけれども。
もちろん、オンライン作家や同人誌にての発表が悪い!というわけではありません、
それにそれが「レヴェルが下だ」と言っているわけでもありません、これはご理解し
ていただけると思います。

    

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