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Date: Sat, 12 Jun 1999 04:25:35 +0900
From: fujiciro@ymg.urban.ne.jp (Haruka)
Subject: [bun 00296] 「陽炎の日」の感想です
To: bun@cre.ne.jp
Message-Id: <199906111925.EAA18575@smtp.urban.ne.jp>
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こんばんは。
川路ハルカです。

自己紹介メイルを書いて以来、忙しさにかまけてすっかりご無沙汰して
いましたが、今日やっと溜め込んでいたメイルを読むことが出来ました。
やっぱり他の方の作品や文章を読ませていただくのは勉強になりますね。
身になります。
自分も精進せねば、と思えるような文章が読めると言うのはとても
幸せなことだなあ、と実感しています。


以下はあつしさんの「陽炎の日」の感想です。
感想文と言うものが苦手なのでおかしな文章になってしまっていたら
ごめんなさい。と、先に謝ってしまいましょう(おい)

まず最初に、すごく面白かったです。
「面白い」という言葉は使い方が難しくて好きではないのですが、
つい使ってしまいます。面白い、と感じたのは本当の事ですし。
前に投稿されていた「プリズム」は題材が苦手なものだったので
良く読めなかったのですが、今回はそんなこともなくすんなりと
読めました。
大学と言う場所を私は知らないので、雰囲気などをあれこれ想像
しながら文章を追うのも、とても楽しかったです。

読後感は、良い意味で「嫌な感じ」がしました。
1部での母親の発作の描写や2部で主人公が涙を堪える場面など、
なんとも言えずリアルで、自分の感情をもろに刺激されてしまって
辛いほどでした。
なんであれ、読者に対して強い印象を与えたり、強い感情を持たせたり
できる作品と言うのは凄い、と思います。
嫌悪だろうと恐怖だろうと、それが作品に対する「不満」でさえ
なければ、それも「感動」のうちですものね。
これはやはり、書かれたあつしさんの力量なのでしょうか。苦手な
ことに変わりはないけれど、「プリズム」の方も頑張って読んで
みようかなあ、という気持ちになれました。
大好きな作品だとしても、読後鬱々としてしまったり気分が悪くなる
ことって、けっこうありますし。私はそういう感情を与えてくれる
作品が好きです。

ただ、重箱の角的なことで申し訳ないのですが、少し気になった点も
あったので、書いておきます。
ひとつめは、1部の最後辺りで主人公に対して「もともと自閉症ぎみ
だった」という描写があったことです。
専門的なことにそう詳しいわけではないのですが、どうしても疑問でした。
「自閉症」という病気に「ぎみ」という言葉は似つかわしくないように
思えるんです。
鬱病に関してとか、アルツハイマーの事などにはある程度知識を持たれて
いるように感じましたが、この言葉の選択は、意図的なものだったの
でしょうか?この場合は「もともと自閉ぎみだった」の方が意味の通りがいいと思う
のですが...。
ばばっと書き上げて投稿した、と書いておられたので、単なる書き間違い
なのかも知れませんが。もしそうでしたらすみません。余計なことですね。
ふたつめは、文中に「喜一は」「喜一が」という描写が多かったことです。
文章の癖、と言ってしまえばそれまでなのですが、多いときには1行の
うちに2ケ所、と言うこともありましたのではじめのうちは読みづらく感じ
ました。
一度「喜一」の行動を追っていると言うことを示してしまえば、少なくとも
その段落中は固有名詞をくり返さなくても判ると思います。
そう言う文体なのでしたらこれはもう余計なお世話なのかも知れませんが、
やっぱり固有名詞があまり繰り返されると、幾分くどい印象を受けます。
細かいことを書いて済みませんが、ご一考いただければと思います。

少し長くなってしまいましたので、今回はこの辺りで失礼いたします。

そのうち私も投稿したいと思っていますので、そのときは
どうぞよろしくお願いします。

ではでは。


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