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Date: Mon, 07 Jun 1999 23:31:15 +0900
From: "Atsushi.S" <a-shimo@sol.dti.ne.jp>
Subject: [bun 00262] Re: 「ちり」の感想、ありがとうございました(超長文注意)
To: bun <bun@cre.ne.jp>
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References: <003d01beb0dc$9a346010$690100c3@pcd0070>
X-Mail-Count: 00262

あつしです。

> それと、こういうものを書いていますと、ほとんどの方に指摘されるのですが、「状
> 況がよくわからない」ということ。
> 
> つまり、グアテマラなんて国のことはどこにあるのかも知らないし、どんな人が住ん
> でいてどんな生活をしているかだなんて興味すら持たない。
> 
> そこに作者と読者の認識の違いがあり、そこを埋め合わせるだけの小説の力もな
> い。。。。
> つまりこれくらいわかるんじゃないの。。っていう作者の甘えがある。
> ここが最大の問題点です。
>
> 以前にも自分の作品を読んでいただいたときに、
> 「そんなことあるわけないじゃん、作者は海外渡航経験がないか、乏しいとしか考え
> られない」
> と指摘されたことがありますが、うーん。書いたことは真実であっても、読んでいる
> 人はシチュエーションを想像することができない。。。。
> 当たり前ですよね、そんなグアテマラみたいなマイナーな国の事情、想像できない
> し、したくもない。。。

「想像したくない」というか、「想像させてほしい」という感じですね。
ただただ細かい説明をしてくれという意味ではなくて、もっと読者の想像を
かき立てるような隠し味的表現が必要なのでは、ということです。
ぼくは前の感想で、「感想というものを持ち得なかった」と書きましたが、
それは、やはり読んだ後心の中にそよぎ瞬く色彩に乏しかったという
意味でした。まあぼくの「読み込みの甘さ」というのもあるのかもしれない
ですが、そこんとこしっかりと文章の流れでもって導いていってほしいと
思います。あ、これは単に読み解きやすい文体で書くべきとか、そういう
ことではありません。

 
> こちらとしては、なるほどそういう国があって、そこの人はそういう生活をし、そん
> なことに喜び、そんなことで苦しみ。。。という再発見をしてもらえたら。。。とい
> う気持ちもあるのですが、それはやはり読者への甘えなのでしょう。
> そこまでの想像力を読者に求めてはいけないのだと思います。
> 
> やはり欧米だとか、せめてアジアくらいが舞台ではないと、日本人としては興味を
> 持って読んでいただけないのかもしれません。
> しかしながら、それも言い訳であって、小説の質とはまた違ったことです。

日本やアジアが舞台だと、確かに感情移入はしやすいでしょうね。
でも、どこの国であっても、絶対に作品としては成り立つはずだとぼくは
思います。要するに、説明と表現のバランスだと思うんです。
マイナーな国ならば、それなりにしっかりとした肉付けが感じられないと
(文章的に)、読者としては入りづらいと思います。
開高健氏の作品には、ぐいぐい読者を引っ張っていく力があります。
こういう設定からして未知の(ぼくにとっては)物語には、
そういう読者をがんがん導いていく力が必要なのだと、ぼくは感じる
のですが。

 
> さて、もっとも多かったご指摘が、「スペイン語などのカタカナ表記」、これが読者
> を疲れさせ、読み進めていく意欲をはぎとる要因となったようです。
> 
> しかしながら。。。これは完全に意図的にやったんですよ。
> ところがほぼ全員の方から、「やめたほうがいい」と。。。
> ならば、やめる、というかもっとわかりやすくちゃんと日本語訳で書く、ということ
> をしなければなりませんね。
> 
> たとえば、「チクレ売りの少年」なら「チューインガム売りの少年」という風に。
> やたら向こうの言葉を羅列すれば雰囲気が出るというものでもないということを痛感
> しました。
> それとも、筆力がたりない。。。?
> 
これも、ただ「使っちゃいけない」とはぼくは思いません。
というかどんどん使っていくべきものだと思います。
(そのほうが雰囲気が出ますし)
ただ、そういう言葉をただただ羅列するのではなく、しっかりと
肉付けをしつつ言葉を織り込んでいくべきではないかということですね。


> あ、それと『乞食』は差別用語のはず。。。。言葉を扱う仲間として、念のため。
> (以前、精神薄弱、という言葉を小説の中で用いたら「それは知的障害だ!!」と
> こっぴどく叱られました。私は知的障害者のボランティアをずいぶん前からやってい
> て、精神薄弱という言葉はよく使っていたんですよ。ところがグアテマラに行ってい
> るあいだに、状況が変わったらしく。。。知らんちゅうの!  って思いながらも、ひ
> らにひらに誤りましたが)
> 

これは、筒井康隆氏の断筆宣言の時に注目されましたよね。
ぼくは、ただただ差別用語ということで言葉を規制するのはどうかと思います。
まあ、あからさまに差別的な意図を含んだ毒々しい表現は避けるべきだと
思いますが(人として)、一つ一つの単語まで徹底的にそうやって指摘しちゃうと
きりがないぞという感じがします。
そんなこと言ってたら被差別部落や昔の差別意識がはびこっていた時代の
精神病院の話は書けなくなっちゃいます。
結局は個人の良識ではないでしょうか。



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A.Shimoura creats some culture. Shall we play and pray?
Everybody Go,,,,,,,,Ahead!!!!
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ICQ number:::31267295 ............Check it out!!

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