こんにちは。皆さん。
渡辺さん、あつしさん、横山さんの投稿でMLが盛り上がっているのはいい
ことですね。読ましてもらっていても楽しいです。
「Re: [bun 00112] 執筆ツールについて、他」で横山さんが、
> 他のエディタもいろいろ試してはいるんですが。。。。まだまだこれからで
すね。
> あとは、
> [StoryEditor」というフリーウェアを窓の杜からダウンロードして、小説の
構成を練るのに利用
> したり、「T.Clip」というシェアウェアで、よく使いそうな語彙を
> 右クリックをしてポップアップさせたり、という風に使っています。
> しかしながら、どれも便利ではあるのですが、ツールはあくまでもツールで
すので、
と書いておられますね。
そうですね、ぼくもワープロソフトやエディタなどの執筆できるソフトを考
えますが、一番よく使うのはMMエディタですね。
それよりも構想を立てるのにどんなものがいいか悩んでいます。
[StoryEditor]も試したことがあり……
でも一目で全体が見えないというのは……(ソフトのせいでなく)やりにく
いですね。
OutLine maker というのも同じようなアウトラインプロセッサーなのですが
(フリーソフト。) まだしもメモ書きできる窓が出るのがいい。
構想を立てるときにプロットを作るときに役に立つようなソフト、方法が
あったら教えてください。やはりノートや紙に書くことで全体が把握できるの
が一番いいような気がする。
さて、まとめて感想を書きます。
あつしさんと横山さんの作品を読ませていただいて、同じような問題を内包
しているのではないかと思いました。
「プリズム」はエンターティメントでありながら、それにとどまらず、意味
づけされたかったのか、子供の頃の記憶と父への思いを加えておられます。
その部分を読んで思ったことは、
[bun 00224] のぎるしぇさんの感想と同じですが……
一方、「ちり」は、描写でぐんぐん押してくる純文学作品です。
これらまったく違った傾向の作品でありながら、なぜ似たような感じを持つ
のだろうと考えてみたのです。
それはどうも作者の思い入れがどういう方向を向いているか、どこを読者に
読んでもらいたいか、の作者の見せ方(読者に共感を持ってもらいたい)の態
度が似ているのではないかと思い当たったのです。
二つの作品とも[テーマを背負った、その具体物としての人間]として描か
れている。
「プリズム」はトラウマであり、「ちり」は社会の悲惨の表れとして……
それがうまくはまると読者の共感を呼ぶのですが──ぼくとしては作者の思
い入れが「ちょっとな……」という感想を持ってしまったのです。ついていけ
ない気持ちが多少湧いたというか……
もちろん二つの作品は極上のものだと思います。「プリズム」は楽しんで読
めたし、「ちり」もその迫力に引き込まれました。
読んでいるあいだその作品で描かれた世界に浸ることができました。
でも、皆さんの感想にあるように、その小説で描かれた「場」にいて、人間
が(主人公が)「そう行動するかな? そう思うかな?」って(少しでも)疑
問をもたれると、作り物めいた雰囲気が作品に忍び寄るのでないか。
そのへんを感想を寄せられた方はおっしゃっているのでしょう。
その細かい批評は作者にとってすごく勉強になると思います。
読者がどう思うか──どう読者の共感を得るか。
それは小説を書くときの大事なことだと思います。
作品に表れた、表現された論理で読者が納得するか?
もちろん小説は「たかが小説」って考え方もあり、それをも認めなくてはな
りません。
劣情を(劣情だと思っていませんが)刺激するためだけのエロ小説。新幹線
に乗っているだけのあいだの時間で読めてしまうように書かれた軽い読み物。
それも小説としての価値がありそうな気がします。
エンターティメントであったり、人を楽しますって意外と難しいのです。
すみません。抽象的なことを言うからうまく伝わらないかもしれません。
具体的に感想を言います。
「プリズム」は、トラウマの説明的な部分に逃げないで、ヘルスのひなちゃ
んとの関係を深めて書いてほしかった。このままではひなちゃんはドラマでい
う小道具的に扱われているからかわいそうな気がしました。
やはりぼくはどこまでも人間にこだわってほしかった。
でも、文体はさすがです。うまいです。指摘しませんが、メタファーの使い
方、ぐっと来ました。最後の部分も「ポエジーだなあ」と……よかったです。
ぼくはだいたいこういう日常の中でふと感じる気持ちの揺れを描いた作品が
好きです。
テーマの説明をやっている部分以外は楽しめました。
たぶんさ、ぼくはこういうテーマに関係する部分は[説明]するんじゃなし
に、主人公の[思い]で表現するとすんなり読者の胸に入ってくると思う。
描写がよかった。(言うまでもないと思うけれど。)主人公の視点が定まっ
ているのでのっていけたって感じです。
「ちり」についてです。
この圧倒的に描写で迫ろうとした作品。これもぼくは好みです。楽しめまし
た。そりゃ、読んでから「この人物の描き方は……」なんて言えるけれど、そ
ういう欠点も吹き飛ばそうとする作者の描写への思い入れに感動しました。
やはりクライマックスがない、というのが読者が不満を持つ原因だと思いま
す。だってカタルシスがないと気持ちを解放できないもの。
どんな悲惨な話でも「やったなあ……終わったなあ」って読者は思いたいん
です。
少なくともぼくはそうです。
(前衛的な作品には読者をひとまずおいといて、っていうのがあるけれど、
それはまた違う価値観での話だと思うんです)
少し視点が乱れているところがあって(それはぎるしぇさんも言われていま
したが)それが読みにくさになっています。
たぶん作者は三人称で語っているのに主人公への思い入れが強すぎて一人称
の視点に描写が移行してしまうためでしょう。
それとマリアの前を多くの人が通り過ぎていきますが、関係を構築しないで
過ぎてしまう。それでじっと固定された映画のシーンを見続けているように思
いました。
やはり、純文学は表面の描写で読者に共感を要請するものでなく、心理描写
であるべきだ、というのが、横山さんへのぼくの批判です。
(いえ、いろんな意見があるのですから、そのひとつとして聞いてください)
でも、おもしろかったですよ。
以上、感想です。
(ぼくも作品を書かなくっては……)また。
☆ミ ★☆彡 ☆ミ
☆ミ
七田治 ヾ(^^ )
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