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Date: Sun, 6 Jun 1999 01:52:45 +0900 (JST)
From: poetlabo@cap.bekkoame.ne.jp (T. Nagare)
Subject: [bun 00251] Re: 感想の感想其の2
To: bun@cre.ne.jp
Message-Id: <199906051652.BAA18912@soda3.bekkoame.ne.jp>
X-Mail-Count: 00251

流です。
まだまだ引っぱります。

At 9:14 PM 99.6.2, 渡辺 宙子 wrote:

>  この展開だと,書き直して再度提示するのがすじかしら,
> 書き直すとすると,ハッピーエンドにするのか,不気味な感
> じにするのか,どういう視点で展開させようか,と悩みが深
> まる渡辺でした。


迷っていらっしゃるようなので、一言。
恐れずに思いつきを試してみてください。

僕がものを書き始めた頃、当初の思いつきに異様なものを感じ、これはヤバいと考え
ることがありました。だからまあ、途中で軌道修正しようとしたのはわからなくもな
いです。
ところが作者としてはハッピーエンドにしたくても、読者がそれを望んでいるとは限
りません。どちらかというと作者が恐れて見せないようにしていたものを、読者は喜
んで見る傾向にあります。
また、童話がしあわせな物語かというと、そうでもないようです。「人魚姫」は海の藻
屑と消えてしまうし、「マッチ売りの少女」は凍死するし、「ハメルンの笛吹き」は子供
たちをさらっていくし、ろくでもない結末を迎える童話というのは少なくないように
思えます。なんで読者がそんなもんを読みたがるかというのは謎ですが、なにか理由
があるのでしょう。考えてみると面白い問題かも。
あるいは、作者の資質にもよるんだろうか? 作者の責任で暗くなった名作を挙げる
なら、なんといっても龍之介の『蜘蛛の糸』でしょうね。子供向けの話を書こうとい
うのに、思わず人間の罪深さを追及してしまうなんて最高です。
太平洋戦争敗戦後、『戦争責任』を問う声が形だけでも上がっているのに対し、『罪
』を問う作品が出回ってはいないところを見ると、龍之介の作品はまだまだその務め
を終えてはおりません。

読者と作者のすれ違いはあらゆる場面で起こります。思考の進む方向が逆なせいでし
ょうか。作者が苦労して構成した部分は読者にはまったく感銘を与えず、そんなもん
書いたなんて覚えてないような場面に限ってウケるなんてのがザラにある… という
か、それが普通だったりします。
だから、思いつきを形にするのにポジティヴとかネガティヴとかいう仕分けは無用で
、思い浮かべるだけで強い反発を覚えるような事柄は、却って自分にとって重要なも
のだと考えるべきでは。

あと、方法としては、1つのテーマで2つの作品を併行して書いてみるというのもあり
です。明るいのと暗いのとを書き分けてみると、ご自分の求めたものが何だったのか
、見えてくるかもしれません。

>  ところで,mailのtitle(or subject?),不適切でしょうか?
> こういう場合,長くてもReでつなげた方がいいのですか?

メイラーがReferencesをつけてくれれば言うことはないはずですが。
僕の使っているEudora2-Jも渡辺さんのhtmailもReferencesを返してくれてないです
から、Subjectだけでもなるべく繋げたほうが後々便利かと…

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