横山さんへ
まず最初に、「bun@list.sakura.ne.jp」のＭＬ宛先は、古いもの
です。
（管理者でもないのに、管理者みたいな口調でごめんなさい。）
新しい、「bun@cre.ne.jp」に送ってくださいませんか？
それから、批評です。
まず全体を通して。
横山さんは、この話をなんのために書いたのかなあ、と思いました。
ただ、ただ、「マリア」という極貧に生まれて、おそらく体が不具
になっていて、道ばたでころがって死をまつばかりの乞食女の数日
（１日？）を書いただけなのではないか、という気がしました。
後味が良いか悪いか、と言えば悪いほうの話なので、何か工夫が
欲しかったです。
（たとえば、ちょっと古いけど、社会批判とか、あるいはこの乞食
女が一種の悟りを持って死んで行くとか、あるいは浄化されたよう
に死んでいるのが発見される、とか、いろいろパターンはあります
が。）
それから、なぜ「ガテマラシティー」なのでしょう。
この話、どこか（ラテン系の・・・こう言ったら差別になりそうで
すが・・・）開発途上国ならどこでもありそうな感じです。
マニラでもメキシコシティーでもいいではないか、と思ったので
すが、その点どうなのでしょう。
それから、やはり、頭でこねあげているだけのような気がします。
こういう極限状況を、普通の日本人は体験してないので、うまく
書けないのが普通でしょうが・・・。
日本のような、治安がかなり良い国でも、昨今は、浮浪者が中学生
に襲撃されて殺される時代です。まして、このような国では、マリア
がされている程度で済むでしょうか？
浮浪児が大挙して棒や石でめちゃくちゃにこの母子を殴り殺すかも
しれませんし、こんな女でもアナはあると、誰か男が襲いかかった
しないでしょうか。（わたしなら、そういうシーンを書きます。
ただ、マリアは赤ん坊を持っているので、レイプされにくいとは
思いますが。戦争のような状況でも、なかなか、赤ん坊を持った女
を強姦するのは、人間できにくいものですから・・・だから、
マリアを強姦しようとした男が、赤ん坊にきがついて、「けっ」と
言って止めるとか、そんなシーンがあったら、と思うのです。）
また、腰の銀貨など、たちまちのうちにはぎとられてしまうでしょ
う。
反対に、こういう国では、だいたいカトリックであることが多く、
マザーテレサのような活動をしている修道尼などの組織があると
思うのです。もちろん、あまりに貧乏人が多くて救済しきらないの
ですが、それでも、マリアは女で、しかも子持ちです。
こうやって目につくところに、おそらく数日前から下半身不随で
横たわっていたら、そういう救いの手が来る可能性がかなりある
ような気もします。（こうなってしまってから、多少の炊き出しを
食べさせてもらってもどうにもならないのですが。）
また、マリアは、食べ物を口に運ぶ気力すらないようです。
こんな、照りつけられるところに、水も飲まずにいたら、早々に
死んでしまいます。
大人であるマリアはまだしも、赤ん坊のカルロスなら数日で泣く
気力もなくなり、餓死するでしょう。（もともと栄養状態の良い
子供とは言えないでしょうから。）おっぱいをやってるようでも
ないですから・・・。
なんか、マリアは、ずいぶん前からここに横たわっているみたい
に書かれていますが、実際はどうなのでしょう。
「最初は言い返していたが」とか読むと、ずいぶん長いこと（最低
でも１ヶ月くらい）はいるみたいな気がしますが、「食べ物を口に
運ぶ気力もない」のを読むと、数日前にここにゆきだおれて、
それっきり倒れたまま死をまつばかり、にも見えます。
具体的に言えば、「悲惨」が描けていないというか、ここまでの
状態にしては、あまりにも甘い（彼女の意識も、子供の状態も、
この哀れな母子を取り囲む人間たちも）と思います。
こういう哀れな人間を、よりいじめて（いじめは書かれています
が、こんなものではないでしょう）楽しむ人が、絶対います。
抵抗しないのをいいことに「目をえじくり出す」とか、おもしろ
半分に殴り続けて、「人間のかたちをとどめないほどぼろぼろに
殴り殺す」とか、「頭と足を持って、川や車道に放り投げてその
まま放置しておく」とか、そういうことがありえる、と理解され
て書かれておられるとは思わない。
マリアは、いくつなのでしょうか。
ひょっとして、１５歳くらいで妊娠して子供を産んでこんな風に
なったのでしょうか？ それとも一度結婚などをして、夫が蒸発
したとか工場労働で事故死したなどしてこういう悲惨な境遇に
落ちた２５歳くらいの女でしょうか。
それとも、もう２０年くらい売春をして生きてきた、３５歳くら
いの売春婦で、何か性病のせいで下半身不随の状態になっている
のでしょうか。
「自分と同じくらいの若者」にとりかこまれたとあるけれど、
３５歳でも十分「若い」ですし、どうなのだろう、と思います。
そもそも、子供の描写もおかしいような気がします。
たとえば、「結婚はしたけれど、夫が坑内の落盤で死に、それ
からお金に困ってどんどん零落した」みたいな、もともとカタギ
な女性であれば、こんな状況になっても子供を手放さないのも
理解できますが（そもそも、そういう女性なら、どうしても
だめになったら子供のいない夫婦など引き取り手を捜すと
思いますが）、そうであれば、自分は食べなくても子供に何か
食べさせるはずです。自分の体の痛みなんか、子供の泣き声が
聞こえたら忘れて、若者の投げたフライドチキンを夢中で拾って
子供にやります。（そもそも、子供自体、飢えていれば、何か
拾って食べようとするはずです。フライドチキンなら、本能的
に見れば「食べれるもの」と分かって手を伸ばすはずです。
そういう描写もないのがおかしい。）
たとえば、１５歳くらいで妊娠をして、どうしようもなくなった、
という幼い女性であれば、産んだこどもをこっそり捨てるでしょう。
このようになるまで、こどもを手元に置いたりしないでしょう。
これは、年齢が上でも、売春婦で妊娠しては子供をぼろぼろ産み、
捨てるような女性でも同じです。
こんな状況で子供がいて、しかも子供に食べさせない、という
のが、フシギでたまりません。
「胸に抱いた息子がぐずつきはじめる」だなんて甘い状況では
ないのですが・・・。
また、マリアが、（この話には直接描かなくても）どういう経緯で
こうなったか、作者が十分つかんでいないような気がします。
マリアは、おそらく、まだ十代後半〜三十代前半の若さなのに、
もう老婆のようになってしまっています。
マリアの転落の経緯は、直接描かれなくても、作者がそれをしっか
り把握していれば、より「まだ若いのにもう死をまつばかりの老婆の
体になってしまっている」の悲惨さが出てくるはずなのです。
それによって、マリアの意識も変わってくるはずなのです。
また、ところどころ意味不明の文章があります。
> マリアの腕を自然とあげさせる。腕
> がカルロスの体からはずれたりするときもあるが、そんなときは
> 機能しなくなった下半身の上に頭ごと落ちて泣き声がはじまる。
抱いていた子供が腕からすべりおちて、子供がマリアの不随の下半身
に頭から落ちて泣く、という情景でしょうが、よく分かりません。
> 色がついた排気ガスに慣れた鼻は、小さいながらも寝息をたてる。
マリアの視点から書いているのに、なんか視点がずれているような
気がします。マリアが、息子を見て、息子の小さい鼻が寝息を立てて
いる、と見るのはいいのですが、自分が「寝息をたてる」とマリアの
視点で言うと、大変奇妙です。
> ホコテはできる限り小さな口を開けてかじり、かじるたびに塩を
> つけよと教えた母。
これも、意味がとりにくい文章。
最初は、ホコテ、というのがお母さんの名前かと思いました。
> 男に騙されそうになったらなるべく子供は小さい頃に捨てよと教えた母。
これも意味不明です。
なぜ、「男に騙されそうになったら」「子供はなるべく小さいころに
捨てよ」なのでしょう。
（子供ができていて、それで男が見捨てるということは、もうすでに
「騙されて」いるんだと思うのですが。）
男がいなくなったら子供は育てられないから早いうちに捨てろ、ってこ
とだと思うのですが・・・。
まだありますが、ここらへんで・・・。
∧ ∧ おおもり さくら
（≡^・^≡）sakura_o@ma3.justnet.ne.jp
Goto
(bun ML)
HTML Log homepage