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Date: Sat, 29 May 1999 11:22:40 +0900
From: "osamu shichida" <osamu7@mui.biglobe.ne.jp>
Subject: [bun 00219] Re: 質問及び投稿(感想です。)
To: <bun@cre.ne.jp>
Message-Id: <009d01bea97a$3af82dc0$bb8093d2@nimyhy11050>
References: <05282229.ME2522501@umin.ac.jp>
X-Mail-Count: 00219

 こんにちは!MLのみなさん。
 いままで発言しなかった人も続々と名乗りを上げ賑やかになりました。
 うれしいです。

 渡辺 宙子さんの「00214」を読んで、「ああ、そうだったなあ」と思いま
した。
 作品も投稿されたので、これはぜひ感想を書かねばならないなあ、と思った
のです。
 こういう形で進むのはいいことだと。


 それで感想です。
>自分で読んでいてもぐっと引き込まれるものがないと思うの
> ですが,何が欠点なのか具体的に分かりません。興味があったらお読みいた
だ
> き,鋭いご指摘,ご指導をいただければ幸いです。
 という言葉に甘えさせていただいて、「書けてない自分」なんですが、感じ
たことを書かせていただきます。
 素人なんで間違ったことをいうかもしれませんが……


「自分で読んでいてもぐっと引き込まれるものがないと思う」って書かれてい
ますよね。
 なぜなんでしょう?
 あめやさんというモチーフはおもしろいし、女の子が誘拐?されてかえって
きた、という事件もおもしろいと思うんです。

 やっぱり「語り方」だと思うんです。
 出だしはまあいいとして──
> 「さいしょ、さくらがおか小学校のせいとが、……」から
>「おじさんにあめを作ってもらう子は,しあわせです。」までは[説明]で
すよね。
 このへん、読者の興味がそがれてしまうんです。
 まだるっこしいといいますか。
 最初に読者に「なんだ??!」と思わせる、(興味をつなぎ止める)ことは
大事です。

 それから出てくる
> 「おじさん,あめを作って。」
 のエピソードは[描写]ですが、「とくいまんめん」まで、イメージが平坦
ではないですか?これって、おじさんはすごいってことと子供たちに愛されて
いるってことのエピソードとしてあるのだと思いますが、説明的な[描写]だ
と思うんですよね。
 生き生きとしていない。
 そうすると読者が引きつけられない。

 職員会議の先生たちのエピソードも「なんか問題が持ち上がりそうだ」と予
感させるんですが……
 そのままで終わっていないですか。

 やっと事件が起こるのは「さきちゃん」が女の子と話していて、「りょうく
ん」がよし、と提案してみんなでおじさんの店に行く、そこからです。
 ここでのエピソードで読者がのっていけます。
 そして一転、事件は解決に猛スピードで向かいます。

 ですから、ぼくは構成が悪いと思うんです。
 事件そのものはおもしろいし、不思議な話なんですから、構成と、語り方、
ですね。

 最初に説明なんかせずにエピソードをぶちかましても、それが読者の興味を
ひけばいいんです。
 
 臨場感のある描写とエピソードで読者に「なんかな?」と思わせる。これで
すよ。

 ここでの主人公は「りょうくん」ですよね。あるいは子供たち。
 では、その子供たちの視点から事件を語ってみてください。(そのほうがい
いと思う)
 そうすれば読者も共感し、引きずられる。

 それと[描写]するときに、人物描写を丁寧に。
 だれが喋っているか(生き生きと)がわからないと、操り人形のせりふみた
いにしか聞こえないですから、読者には。
 職員会議のシーンでは特にそうですね。
 匿名の名のない先生方が喋っている。(ちょっと校長だけは個性がありそ
う……)

 やはり作者が主人公にどれだけの思いを持っているか、どんなやつで、どん
な個性で、作者がどれだけ主人公(あるいは登場人物)を思い描き、好きか、
ということが小説を(童話も)支えると思うんですね。
 子供たちが目の前でおじさんと話している……。
 そのシーンは作者が作ったものだけれど、作者の目の前にある現実でもある
んです。
 
 作者が登場人物を愛していると、描写もするし、シーンも登場人物の気持ち
で語るし、で……
 作者が無理にお話を語る、ということがなくなると思うんです。
 作者が作った話でなしに、登場人物が勝手に動き出すと思うんです。

 最後にタイトルはぼくなら「あめやのおじさん」とか「おじさんのあめ」と
かにしますが…… 


 ちょっとわかりにくい批評ですみません。
 あえてぼくが欠点と思ったことを素直に述べてみました。

 お話自体はおもしろいし、ほんわかとした味わいがありました。好きです。
 いわれようとしたこと、テーマというか、作者が伝えようとしている情感の
ようなものを感じることはできました。
 
 また違う読者なら、ちがう角度から評価されると思います。
 ぼくのこういう感想もあるということでお願いします。
 ありがとう。また。

 

   ☆ミ    ★☆彡     ☆ミ       
                                 ☆ミ
七田治  ヾ(^^ )
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