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Date: Sat, 09 Mar 2002 02:54:50 +0900
From: soundoff <netmel@mbp.sphere.ne.jp>
Subject: [bun 01026] 重いは忍ぶ
Message-Id: <200203081758.CAA07654@mbp.sphere.ne.jp>
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 日差しが強くすっかり春の勢いですね。風が冷たいときも冬の刺すような
寒さではなくなってきました。みなさんいかがお過ごしですか? 





 すめば都も地獄も天国も  -1k  おかゆきお

「ここはどこなんだ? とは、なんとつまらないことを聞く。真実の時間だよ。少年よ。いま初めて本当の時間にいるんだ」
「なにをそ……」
 信じないぞそんなまやかしはという言葉が出てこなかった。本当かもしれない。
「そうだ。疑って確かめてみればいい。その通りだ」 悪魔は口の端だけで笑った。「どうしたらいいか? そりゃあ、君がどうしたら信じるかだよ」
「おいおい。つまらないことは考えるなよ。本当に何も無いと思ったら何も無くってしまう。何度もいうが危険な世界なんだ。つまらない希望や絶望はそれだけで自分を消してしまう。消えた世界? 言葉通りだ。消えた状態をなんとも言い換えようもない消えるんだ。そんなつまらない世界は無い。そんな目には会いたくないよ。ひとつ慎重に御願いしたいぞ少年よ」
 コーラ君なんでも出来るといわれて何も想いつかない。いやそればかりじゃないすこし怖気付いたようだ。
「おいおい少年よ。どうした、三つのお願いとかけちなことを言ってるんじゃない。想いつくことを願ってみたらどうだ。手始めに穏やかなことからはじめてみたらどうだね」
「……」
「べつに時間など気にもならないが待っているのも退屈だ。どうだひとつ楽しい気分になってみるもいいぞ」
「楽しい気分?」
「ああ。そうだよ」
 そう言われて見るとなんだかこの状態がどうでもいい様に思われて緊張が緩んで日常の自分に戻れたような気がした。
「なんだ。こんな作り物世界なんか信じないぞ」
 コーラ君がそれを言うと、何となく薄暗かった背景が絵描き舞台の作り物のようになった、由乃ちゃんは舞台女優といった雰囲気だし、悪魔は映画から人物部分を切り出して見せているような感じ、そしてカルピスちゃんと男の子はまるで夢の中のようなリアルさで輝っている。
 コーラ君すっかり楽しくなってしまった。じゃぁ由乃ちゃんを裸にして見よう。まま、コーラ君もそろそろお年頃である。と、想っては見るもののどうも言葉にならない。出てこないのだ。
 悪魔は笑っている。






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おかゆきお    
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